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God Bless You in February

春休みになった。まだ、真冬なのに。

授業もない。

学食もない。

きみとわたしの時間が止まってしまった。


わたしの時間は、
日本から少しずつ海の外へと動き出している。

交換留学の夢が現実になろうとしていた。

あと半年で出国だ。


きみの時間も、
日本から少しずつ海の外へと動き出している。

交換留学の夢が現実から想い出になろうとしていた。

あと半年で帰国だ。


きみとわたしの距離が開いていく。


ベッドに仰向けになりながら、音楽を聴く。

「そっと瞳閉じて 願いごとをひとつ」

わたしの願いごとはなんだろう。

きみと手をつなぐこと。

きみとハグをすること。

きみと両想いになること。

きみに好きって言ってもらうこと。

きみの恋人になること。

一体、何なんだろう。


どんな願いごとだって、
半年後には過去の想い出に変わってしまう。

最初から分かっていた。


だから

「言わないで でもきっと 信じてる」

きみと手をつなげること。

きみとハグができること。

きみと両想いであること。

きみに好きって思ってもらっていること。

きみの恋人になれること。


お互いがお互いを想っているからこそ
この距離は縮まらないまま
まっすぐずっと続いていくんだ。


溶けた雪をまだ覚えているように、
君との思い出はまだ消えなかった。


「3月、2人でどっか行こうよ」


最後の想い出作りの始まりだった。





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