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0707

Dear V,

今日であなたの顔を忘れなくなって5年の月日が経ち、
あなたの声を忘れて4年の月日が経ちました。

思い出は作品にすれば昇華できると聞いて、
あなたとわたしがいた時間を、場所を、
もう一度歩いてみたんです。
当時、使っていたウォークマンと音楽と一緒に。

昇華できたのでしょうか。

思い出をいい意味で忘れられたのでしょうか。

わたしには、これが昇華でも忘却でもなく、
愚行としか思えないのです。

わたしたち両想いだったよね。
わたしたちいっぱいデートして、いっぱい写真を撮って、
いっぱい笑って、泣いて、抱きしめあったよね。
いろんな壁を壊せたらわたしたち今でも一緒にいたよね。

そんな確信の心は空っぽになってしまいました。

作品にすればするほど、
言葉を打てば打つほど、
全ての出来事はいつでもどこでもある単純な片思いの話で、
何の味もしない事実の列挙になっていきました。

もう少しドラマチックな1年だった気がするのに。


いつもわたしの1.5歩先にあなたの影があって
影を踏むように前に進んでいたのに
今、わたしの目の前には影も光もなく、
横殴りの雨がずっと降っています。

きっとあなたの住む世界では見れない景色だろうな。


これから、どんな世界を見ればいいのだろう。

わたしの世界はあなたを追いかけることで成立していたんだから。



今日、ふと思い出したの。
最後にデートする数日前に偶然会ったこと。

あなたとわたしの空気になにかの違いがあって、
きっと次が最後になるなと確信したこと。


いくらSNSが発達したって、
いくら半永久的にアドレスを知っていたって、
きっとわたしたちはもう会わない。


あの1年、感情に支配されながらも幸せを感じていたと思う。

あなたはどうだったかな。


また会おうね。

どこかで。

坂道の上の丘で。

夜明けを待ちながら。

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