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適切ではない考えもなぜ確立されるのか


多くの事柄にはAやBといった複数の意見が存在すると思われます.
Aという考えが一般的, 大多数が支持しているようなものであっても, Bという意見は存在することは少なくないです.
Bという意見も一定の支持を集めているように見えることも多いです.
なぜ, Bはごく少数で支持されないものであっても存在が確立されるのか, ということについて少し個人的な考えを書いていきます.


初期: 考えを主張する

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従来のものが存在しながら新たに自分の主張を行う場合には, 主に以下の2つのタイプのいずれかで行われているのではないでしょう.
① 従来のものを認めつつ, 自分の意見を主張する
② 従来のものを否定して, 自分の意見を主張する
意見といっても実際には意見の形を取っていないものもあります. 例としては「真実は●●である」というような断定形のこともあります. つまり意見(考え)を事実のように扱っている場合です.
新たに主張された意見が適切なものであっても, 適切ではないものであっても①・②のいずれの形をとるということには注意が必要です.
①だからいい, ②だからダメ, というものではありません.

①だとAとの親和性が高いため, 受け入れられやすいと考えられます. 自分の意見の妥当性が積極的に議論されるため, 適切ではない意見を主張する場合にはその意見の存在を確立するのは難しいです. 
②だとAとの親和性が低いため, 意見自体は①より受け入れられにくいと思われます. ただし, 次に述べるような方法で議論がない状況を作り出すことが可能となります. 従って適切ではない意見を主張する場合には②の方法が用いられやすいのでは, と考えています.

さて, 従来のものを否定することはとても大変です. なぜならAという意見が生まれ, 多くの人に受け入れられるだけの実績・証拠などが揃っていることが多いからです.

従ってAを否定する場合には根本的な部分で否定する方法が取られやすいと思われます.
具体的には「西洋医学は〜」といったようなもの, あるいは「Aという意見は嘘 (陰謀)」であるいったようなものが挙げられます.


形成期: 賛同する意見・人を集める, 否定する意見・人をなくす

適切ではない意見も主張することは難しくありません.
適切ではない意見を主張すると, それに対してはSNS(主にTwitter)で問題点を指摘する内容が投稿されることも少なくありません. そして特に大きな問題のある内容だと拡散されやすい傾向があるように思います.
拡散された方が多くの人の目にも触れるようになるためにより意見に同調する人を集めやすいです.
よって「人を集める時期」は主張に重大な問題を抱えていたとしても, より炎上した方が得をします. 従ってこの段階ではより炎上しそうな意見をあえて主張する方法がとられることが少なくありません.

ただあまり継続的に拡散されると, 公開で適切性が広く議論されるようになってしまいます.
そうなると決定的な欠点を指摘される場合もありますし, 多数決で判断されてしまうおそれがあります.

このままではBの考えへの支持を維持することは難しく, 存在を確立しにくいです.
存在を確立するためにはさらなる手段が用いられやすいです.
どのような手段を用いるかというと
議論が起こらないような環境を作る
・Bの意見の支持に自信をもつように, 支持する意見のみを集める

SNSでの場合を例に挙げると, 具体的には以下のようなものが考えられます:
・賛同する意見を集める
 ・SNSではリツイートやシェアなどを用いる
・否定する意見が入らないようにする
 ・SNSではブロックなどを用いる. あるいはディスカッションが起こらない(起こりづらい)ところで意見を主張する

この方法は実はBの意見だけではなく, Bの意見が存在するとAの意見側でも同じ方法がとられることは少なくないと私は見ています. AとBの間でお互いに行われることで両者では明確な境界線がひかれるようになります. 境界線は壁のような存在です.

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Bの意見側はとても小さな範囲となりますが, これでも十分成立すると思われます. それはBのなかで受け入れられている情報を提供する人がとても少ないからと思っています. つまり需要に対してバランスがとられた供給がなされているから, ということです.

Bの意見側で高額な医療, あるいは商品が提供され, それが成立するのも似たような理由ではないでしょうか.
この考え方にマッチした医療や商品などの提供がとても少ないため, 値が張るようなものでも受け入れられるのだと思います.


流動層の存在

Aの意見側にいるようだけでも, どことなく疑問を持っていている流動層が一定の割合で存在していると思われます.

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例えば, 「予防接種は効果があると思うんだけどなんとなく心配なところもある」といったような感じです.
この考えは特別なものではなく, ごく自然なものだと思われます.
こういった方々へ適切な情報を早い段階で届けることが重要, というのが私の考えです. 似たような考えをお持ちの方は他にもいらっしゃると思います.


私は適切ではない意見に接する際には, 上記の考えを持って接しています.

ちなみに私の文章に問題があって, Aが必ず正しい, Bが必ず間違っていると思われたかもしれませんが, もちろんそうとは限りません.
最終的にはAの意見が適切でBの意見も適切なこともあります. Aの意見には矛盾があり, Bの意見が適切な場合もあります.
だたし適切な意見であれば, 議論を避ける必要はありません. むしろ議論を積極的に行なって意見を精製した方がその意見のためではないかと思います.


上記はすべて私の意見です.
これもAに入るかもしれませんし, Bにも入るかもしれません.
ただしいずれであっても, 壁を作って閉鎖的な状況を自分で作り出していないかと俯瞰しています.  そこが1つのチェックポイントだと考えていますので.

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