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アニメの第1話はロードエルメロイのようであって欲しい

先週始まった夏アニメの中でも、「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」はめちゃめちゃよかったですね。

結局のところ、人を惹きつけるのはストーリーましてや伏線ではなく、演出にあるのだと強く感じました。

ライター廣田恵介さんの言及にもある通り、

「泣けたかどうか」で映画の良し悪しを判断する風潮はすっかり定着したが、最近は「伏線を回収できているかどうか」が、優れた映画の判断基準らしい。学校のテストや受験勉強で「考える」能力を蕩尽しつくしてしまった僕らは、表現物に「回答」があると信じ込んでいる。期末テストの答えを先に知ってしまうのと同じ次元で、「ネタバレ」という概念にすがっている。「ネタ」とは映画の面白さの「回答」であり、それが「バレ」てしまったら映画鑑賞が「答え合わせ」になってしまうと、本気で信じている。

特に、1話目で難解なストーリーや、伏線にしたいのか意味ありげな指示語だらけの会話だけで進行して、視聴者は何のこっちゃわからんというアニメを少なからず目にするにつれ、どうしてもため息が出てしまいます。


僕はロボットが出るアニメを必ず観るようにしているのですが、(良い意味ではなく)思い出深い作品に「レガリア」というものがありました。

こちらの記事にありますが、4話放送した時点で放送中止、数ヶ月後にまた1話から仕切り直すという珍事でした。確かに作画と音響に力が入っているのは伝わっており理解はできたのですが、面白かったのが「最初に放送された1話は難解で指示語だらけの会話が中心だったのが、再開した1話では説明がちゃんとしていてめっちゃわかりやすくなっていた」ことでした。笑いました。

わかりにくさって地上波アニメ作品にとって必要なんでしょうか?大体の場合、スゴそうという感想を持ててもその後が退屈な場合が多く、数話で視聴を止める1つの原因になっていると思っています(今期も似た印象を持つアニメがあり心配です。。)


その点を考えても、1話目でしっかりと惹きつけてくれるアニメに出会うと嬉しくなるのです。ロードエルメロイの演出については、Fate/Zeroの視聴が前提とないますが、アンソロジー的な立場の作品が本編から視聴者をしっかり誘引するという役割は見事に果たしていると思います。

他に1話目、冒頭が印象的で心に残っているのが「東京喰種(グール)」と「翠星のガルガンティア」でした。

僕は放送当時は原作も未見で、血が出るグロいアニメがそもそも好きではありませんでした。たまたまついていたテレビでこの冒頭を観、しっかり原作もアニメも最後まで追うようになりました。冒頭のリゼとヤモリの戦い、是非観て欲しいのですが、これって原作にはないのですが(ヤモリの登場はもっと後)、グールの世界観をショッキングに見せつけることで大きな引きを作り、かつヤモリがアニメ1期の中心になるように据えることを目的としていると思われます。事実、この部分がなければ東京グールの次の話を観ようとは思わなかったでしょう。これはもちろん原作が悪いのではなく、継続形態がアニメとマンガで異なるためです。原作とアニメの冒頭が異なる例としては、鋼の錬金術師 Fullmetal Archemistも有名ですね。第1話まるまる新エピソードと新錬金術師を登場させてアクションシーンを増やすことで、前作アニメ視聴者や原作読者にもアプローチしています。

ガルガンティアの第一話は、構成と演出の最高峰だと思うんすよ。素人ながらに。冒頭にしっかりとロボットと戦闘を見せつつ(ロボットアニメにおいて戦闘シーンは世界観構築に必要不可欠)、最後に向かって全てが加速・上昇していき、拓けた先で観る真実、そこで終わる第1話。
人が何故何だろう、知りたいと興味を持つのは、登場人物が何言っているかわからない時では決してなく、世界観を理解し世界にしっかりと入り込んだ上で好奇心が芽生えた時でしかありません。これはドラマでも同じで、「ガリレオ」の第1話も世界観の提示が秀逸な例だと思います。

興味を引く第一話を作ることはとても難しい(実はその点、異世界転生ものは主人公と一緒に学べるので作り易い面がありそう)。特に国や組織が対立するものは世界観に加えて世界情勢と主人公が置かれた立場等、視聴者が知らないといけないことが多くとても難儀だと思います。それでも、ロードエルメロイのような観ているだけで鳥肌が立つような第1話で、もっと惹きつけて欲しいなと思うのです。




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