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スウェーデンで、初の歯科検診

先週末、息子の初めての歯科検診に行ってきた。
3歳で初の歯科検診というと、少し遅いように思うけれど、欧州ではそれが普通なのかもしれない。とにかくも、土曜日の午前中に歯科診療所を開けていることに驚きながら、隣町に検診を受けに行った。

この日が子どもの歯科検診のみの受付なのかは知らないけど、受付の女性が妖精のコスプレを身に纏い、私たちを受け入れてくれた。郵送で受け取ったきた検診の予約書を見せ、呼ばれるまで待合室でしばし待つ。日本だと、こういう待合室ではクラシックやゆるいポップソングのオルゴール曲が流れていたりするけれど、欧州ではそういったことがない(見聞きしたことがない)ので、心安らかにしていられる。どうもあの手の曲は、単調で同じ音色が延々と流れるのが、私は苦手だ。リラックスどころか、ずっと同じような曲を強制的に聴かされて、不安定な気持ちになったりもする。まあ、医療機関、イコール、オルゴール曲が流れているという認識があるということも、苦手意識に取り組まれているのかもしれないけど。

特に待つこともなく、すぐに名前を呼ばれて、奥の診察室へと案内される。診察をする人とデータを入力する人、若い女性2人が私たちを迎えてくれた。診察椅子に上がる直前までバナナを食べていた息子、歯磨きをさせて水を飲ませる。
食生活や歯磨きの質問に答えた後、歯の状態と歯並びを診てもらう。エット、トゥヴォー、トゥレー・・・と、右端から歯を診ていく。私たちの、スウェーデン語の数字の勉強にもなりました。
結果、歯の状態は虫歯もなく健康で、歯並びも良しとのことで、診察は終わった。

診察後、受付でプレゼントを貰って帰ってねと言われたので受付に戻ると、先程の妖精のコスプレをした女性が笑顔で「はい、どうぞ~」と、玉手箱みたいな箱を開けて、小さい袋を手渡してくれた。後で中身を見ると、歯磨きセットや妖精のキャラクターのタトゥーシール等が入っていた。どうやら、歯磨き妖精がスウェーデンの歯科センターの(たぶんこのスコーネ地方の)、マスコットキャラクターらしい。子ども用の。
とにかく、こういったサービスは私の小さい頃にはなかったな、いいなあ・・と、羨ましくおもったのだった。私の歯医者の最初の思い出はというと、土曜日だかの休日の午後に歯医者に行かないといけなくて、そして行きたくない上に、行く前に部屋で流れていたサスペンス劇場のおどろおどろしい映像と音楽が行きたくない気持ちを増長させていたという、とても暗いものである。歯医者に行ったら女性が明るくにこやかに妖精のコスプレをして迎えてくれるなんて、なんて素敵なことだろう。やっぱり、いいなあ、そういうの。

スウェーデンの小さい子どもに対する態度や考え方は、優しくて実質的で、好きです。個人個人のモラルもあるけれど、子どもを受け入れる社会の基盤ができているということが、子どもを見守る大きな支えの部分になっているといえるだろう。普段の生活のなかで、ちょっとしたことでも、そうおもう。ショッピングセンターや公共の場に無料の大きな遊び場があるとか、電車に乗ったら子ども用の可愛い切符を貰えたりとか、スーパーマーケットに子ども用の無料フルーツコーナーがあったりとか。
小さくも心地いいことがたくさんあるのは、底の部分がしっかりしているからこそなのだと。子どもに向けられる優しい笑顔には、いつもあたたかな気持ちにさせられる。

次回の歯科検診時も、妖精が待っていると思うと、楽しい。


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