見出し画像

ザカリアへのお告げ【待降節】【ルカ1:5-21】【やさしい聖書のお話】

2022年12月4日、待降節(アドベント)第2日曜日の聖書のお話です。

四福音書とも注目する洗礼者ヨハネ

新約聖書の4つの福音書のうち、イエス様が生まれた時のことが書かれているのは、マタイによる福音書とルカによる福音書だけです。
ぼくたちはクリスマスをとても大事にしてるけれど、でもマルコとヨハネは、クリスマスのできごとよりも伝えたいことがあったんだね。

一方、四つの福音書が共通して伝えていることもたくさんあります。そしておもしろいことに、福音書記者の全員が、洗礼者ヨハネ(バプテスマのヨハネ)のことをまず伝えようとしたのです。

マタイは、クリスマスのできごとを最初に書いているけれど、でもイエス様が教え始めたことよりも先に、洗礼者ヨハネの教えを書いています。
マルコは、最初の行で「神の子イエス・キリストの福音の初め」と書いた次には、洗礼者ヨハネのことを書いている。
ヨハネによる福音書も、神から遣わされた一人の人、洗礼者ヨハネについてまず書いています。
そして、ルカによる福音書では、天使がマリアに「救い主イエス様が生まれます」と告げるより先に、ザカリアに「洗礼者ヨハネが生まれます」と告げたことが書いてあるんです。

祭司ザカリアと妻エリサベト

ザカリアは祭司で、神殿で神様に仕える人でした。
ザカリアとエリサベトは夫婦そろって「二人とも神の前に正しい人で、主のおきてと定めをすべて守り、非のうちどころがなかった。」と聖書がほめているのだから、すばらしい人だったのでしょう。

ちなみにエリサベトは英語だとエリザベスで、今年2022年に崩御されたイギリスのエリザベス女王陛下(Elizabeth)もエリサベトにちなんだ名前です。

英国のエリザベス2世女王陛下(1926-2022)の名前は
福音書のエリサベトに由来する。

「エリサベト」の変化形として
Beth(ベス)、Betty(ベティー)、Betsy(ベッツィー)、
Lillian(リリアン)、Liz(リズ)、Liza(ライザ)、Lisa(リサ)
Eliza, Elisa(イライザ)
などなど、キリスト教の文化で女性の名前によく使われます。エリサベトのように「神の前に正しい人で、主の掟と定めをすべて守り、非のうちどころがない人になってほしい」という親の祈りが込められているのでしょう。

ザカリアへのお告げ

 ザカリアが神事の当番で、神殿の奥の聖なる場所「聖所」に一人で入って、よい香りを神様にささげていたときのことです。
天使が現れ、ザカリアに「あなたの妻エリサベトが赤ちゃんを生むので、ヨハネと名付けるように」と告げます。

でもザカリアは「自分は老人だし、妻も年を取ってます」と答えます。具体的に何歳かわからないけど、今から赤ちゃんが生まれるなんて考えられないくらいには、おじいさんとおばあさんだったのでしょう。
日本の昔話なら、おじいさんとおばあさんが子供を授かるというと、桃から生まれた桃太郎や、竹の中からかぐや姫の話などがあります。でもガブリエルは、エリサベトが男の子を生むと告げたのです。

天使はザカリアに言います「私、ガブリエルだよ?」
ガブリエルは旧約聖書にも登場するので、祭司ザカリアはもちろん知っていたはずです。ガブリエルという名前は「神の人」とか「神は力ある姿を現す」という意味なので、「ガブリエルを信じない」ということは「神の力を信じない」という意味にもなります。

ガブリエルは、自分が告げたことが本当だという証拠として、エリサベトが赤ちゃんを生んでお告げが実現するまで、ザカリアがしゃべれないようにしてしまいました。
それで、ザカリアが聖所から出てきたとき、待っていた仲間の祭司たちは、聖所で神様がザカリアに何かしたのだとわかりました。

エリサベトの喜び

それから五カ月後。エリサベトおばあちゃんのおなかには赤ちゃんが。
エリサベトは「主が私を見ていてくれた」と賛美します。きっと「結婚したのに子供を授からない女だ。何か罪を犯して神様から罰を受けているんだ」と言われ続けてきたのでしょう。そうした悲しい日々がついに終わった、主が終わらせてくださったのです。

聖書には、ガブリエルのお告げを受けたマリアの賛歌や、旧約聖書だとハンナの賛歌、デボラの賛歌、ミリアムの賛歌など、女性たちが歌った賛美がいくつかあるのだけど、勝利を宣言する歌詞が入っていることが多い印象があります。ミリアムやデボラの賛歌は、実際の戦争で勝利を与えた主を賛美したのだから当たり前かもしれません。だけどハンナやマリアの賛歌、そして歌ではないけれど今日のエリサベトの賛美の言葉や、ルツ記でベツレヘムの女たちがナオミを祝福した言葉は「弱い立場に置かれている女たちを主は見捨てず、共にいて勝利させてくださった」という喜びがほとばしってる感じがします。

準備を呼びかける者

四つの福音書とも、まず洗礼者ヨハネの話から始めているということを最初に紹介しました。
これは当たり前で、洗礼者ヨハネは神様から遣わされて「救い主を迎える準備をしなさい」と知らせる役割なので、救い主イエス様より先に福音書に登場するのです。それでヨハネは、レビ族の祭司の家に生まれたのに、祭司ではなく預言者と呼ばれています。

ところで、救い主イエス様はもう一度来ると約束しています。じゃあ今度は誰が「救い主を迎える準備をしなさい」と知らせるのか?
それは、イエス様が救い主であることを知っている人、つまりぼくたちです。ぼくたちは預言者ではありませんが(預言者というのは、預言する賜物をキリストから授かっている人のこと)、ヨハネが聖霊に満たされたようにぼくたちも聖霊を受けています。ぼくたちが、「救い主が来られる!迎える準備を!」と伝えるのです。

動画版のご案内

このnoteの内容は、2022年12月4日、アドベント第2日曜日の教会学校動画の原稿を加筆・再構成したものです。
動画版は毎回6分ほどの内容です。下記のリンクからごらんいただくことができます。
キリスト教の信仰に不案内な方、聖書にあまりなじみがない方には、説明不足なところが多々あるかと思いますが、ご了承ください。

動画は千葉バプテスト教会の活動の一環として作成していますが、内容は担当者個人の責任によるもので、どんな意味でも千葉バプテスト教会、日本バプテスト連盟、キリスト教を代表したり代弁したりするものではありません。このnoteの内容は完全に個人のものです。 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?