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看護師が撮って出しエンドロール〜初体験って難しいよね〜

後方の撮影のために挙式中に振り向き手を頭上に伸ばす。これほどまでに自分の腕を高く掲げたことがあっただろうか。おそらく私はボクシングのフェザー級チャンピオンになったとしてもここまで腕を高くは上げないだろう。私は手を高く上げれば上げるほど先生に褒められると信じている子供の様に夢中になった。もはや撮影する人ではなく腕を高く上げる人だ。もはや目的は「どれだけ高く伸び上がれるか」だ。そして身長が6cm程伸びたところで思い出した。


「あ、これは得意の嘘だな」


そう、安心して頂きたい。そんなに必死に伸びて撮ったわけでは無い。ちょっと手を頭の上に乗せる位の軽いノリで撮影していた。
どうやら新郎は緊張している。まあ無理も無い。人生に一度の晴れ舞台を迎える女性の兄の義理の弟だからな。表情が硬いがこれも思い出だ。
「おい、そんなことよりも次の絵が大事なんだからな。」そんな従兄弟の声が聞こえた気がしたが気のせいだった。だが、従兄弟が言った気がした通り重要な場面である。新婦とその父親の入場だ。妹と父どちらを重点的に撮ろうか迷うところだが、みなさんならどうするだろう。妹はこの先ずっと主役だからな。私は父親の顔のアップを第一優先とし、その後二人の引きの絵、足下の順で撮ることにした。時間はそれほど無いぞ。扉が開く。

ああ!扉が開く瞬間を取り逃した。
ああ!父の顔のアップ何となく暗い感じになっちまった。
ああ!以外と歩くの速いーー・・・。
ああ!父の手から離れる妹、そして新郎の元への場面がなんか完全に後ろから撮ってるって感じでいまいちだぞ・・・。
ああ!壇上に昇ったら俺の位置からは妹の背中中心のショットになっちゃうじゃ無いかぁ・・・。
ああ!もう、なーんか、いまいち!!

以上、駆け足だが妹入場から二人が壇上に上がるまでを振り返ってみた。やはり初めてのことはなかなかうまくは行かないものだ。納得行く絵が撮れた!と思った瞬間は無い。焦りと絶望と焦りしかなかった。あ、それと失望と失意と焦りもあった。

その後は、なんとなく、ただだらだらとカメラを回す時間が続いた。ここで私のテンションはどん底まで落ちる。「俺ってここぞって時に決めるやつだと思ってたのにな。もういいや、妹が次結婚する時にがんばろう。明日から、いや来月から頑張ろう。」挙式中ずっとただだらだらとカメラを回す。途中、賛美歌を歌う歌手の方々の表情がすごすぎてテンションが3あがったが、それもカメラに収めるにはいまいち角度が悪くやっぱりテンションが3下がった。

一番前の端の席は撮影がしにくいことを痛感する。


せめて、と祈る。「せめて退場のシーンがステキに撮影されていれば。」妹夫婦の退場を見送りながら私はそんなことを呟いた。

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