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その出会いは極めて必然的で、倫理的にも通り過ぎることは出来ない痕跡で

デジタルな技術が発展した世を謳歌できていることに、本当に感謝している。

毎週のごとく訪れる眠れぬ夜に、YouTubeをザッピング(と呼ぶのかわからないけれど)している最中、そのサムネイルの姿に心惹かれた。

一人の男性アーティストが、なにやらレーザーが出ている機器を操っている様のサムネイル。なんとなくクリックしてその動画に飛び込む。

いつぞやのライブの映像らしきその画像に佇んでいる主こそ、テクノポップの大家、平沢進氏だ。

得体の知れない楽器、映像、混沌の中に聞こえる美しい歌声、とにかく混乱した。ただしかし、その先につながる動画に飛び込まざるを得ないほど、引き込まれていた。

よくよく調べていくと、好きだった映画の音楽を担当していた。大学時代に学校で映画が見放題という、今考えたらとんでもない贅沢なシステムがあったが、そこでみた今敏監督のパプリカとい映画、この音楽を担当していたのか。

のめり込んで半年、偶然にもライブに参戦できることとなり、一人で参加したものの、こんなにも同じものを好きでいる人が、現実にもネット上という空間にもいることになんとも言えない安堵感を感じた。

自身をステルスメジャーと称し、表にでてこないということを生業にしているが、ここに来て最も有名な野外音楽フェス、フジロックに参加することとなった。

あまりの情報の重たさに、もはや最初に思ったのが、氏は半袖を着るのだろうか、という頓狂なことだった。

そして今日、YouTubeにてライブの模様が生中継されるという機会に恵まれ、またもや幸運にも手に入れることができたライブTシャツをきて、自宅の電気を消し、テレビでその様子に見入った。

もはや神々しいとすら感じる演奏の姿。

レーザーハープにテスラコイル、脇を固めるペストマスクの生物。

一挙手一投足が何とも美しい所作。とにかく暗闇でわたしは悲鳴にも似た歓声と、氏の動作に合わせ音を浴び続ける。

しかしながら、これを知らずしてみたロックフェスティバル常連の、この世界と遠いひとたちはどのように感じたのだろうか。

今日の演奏のセットリストに思いを馳せても多種多様な曲。

自身も触れたことのない曲もあり、もっともっと深めて行かねば。

音楽使いとも称されるそのお方に、またお目にかかれる日を心待ちにしながら、この余韻に浸りながらまた1週間を乗り切ろうと思う。


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