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人間関係の悩みが「ふわっ」と消える生き方

「この人はこういう人」
「嫌な人」
「もう関わりたくない」

もやもやした気持ちのまま、一方的に心のシャッターを閉ざした経験はありませんか?

私達は生きていく中で、沢山の人間に出逢います。その中で苦手だと思う人から離れる事は時には必要ですが、それだけで関係が終わってしまうのは少し寂しい気がします。人とのお付き合いの悩みは、幾つになっても永遠の課題です。

今回、人間関係を円滑にするヒントについて、看護師歴20年のSさんが優しく教えて下さいました。

人の印象は、自分の思い込みが作り出す

「誰かに自分の話をするのって、ちょっと緊張しますね」
Sさんはそっと胸に手を当てながら、穏やかに微笑みました。

今回お話を伺ったテーマは、「特技」。Sさんのそれは、料理でも楽器演奏でもなく「人の魅力探し」でした。

「この人はどんな人かな?どんな素敵なところが隠れているのかな?そうやって知らない魅力を見つけ出す事が好きなんです。第一印象がその人のすべてではないと、私はそう思うんですよ」と、優しいまなざしで語ってくれました。

人の印象は出逢って3秒で決まる。人は見た目が9割。そんな言葉が流行したことは、まだ私達の記憶に新しいところです。

でも、たった一度の関わりでその後の対人関係が決定されてしまうとしたら、人と出会う喜びよりも緊張が勝ってしまいませんか?必要以上に自分を良く見せようとして取り繕って、やがて疲れてしまう事もあるのではないでしょうか。

Sさんの言葉は、自分は他人からどのように見られているのだろうか……という不安な気持ちを和らげてくれるものでした。「硬い鎧を脱いでも、いいんですよ」そう話しかけてくれているような、安心感を与えてくれます。

「病院で働いていた時にも思っていました。○○の傾向がある、という人はいても○○の人、と断定できる人は存在しないなって。その時々の状態によって現れてくる感情も違いますし、それによって受ける印象も異なるものでしたから」

それは、患者さんの人生に数多く触れてきた、看護師という経験から生まれた柔軟な視点なのでしょう。確かに肉体的なつらさは、精神状態に大きな影響を及ぼすものです。心の辛さや病気が、その人を変えてしまう事もあります。

固定観念を取り払って目の前の人を真っすぐに見つめようとする、Sさんの考え方が生まれたきっかけは何だったのでしょうか。

自分探しの旅の果てに見つけたものは

「今、目の前で話している人が私に見せている顔は、その人のほんの一部分です。私の知らない姿が、まだ沢山あるのだと思っています」

そう思うようになったきっかけは、小学校時代のある経験からだそうです。

Sさんは友人関係がうまくいかずに、同級生に意地悪をされていた時期がありました。独りで学校に向かう、その小さな背中にそっと話しかけた人がいます。それは母親でした。

「意地悪な子だなって思い続けていたら、その子はあなたの中でずっと嫌な子のままになってしまうわよ。きっとまだあなたが見つけられないだけで、良いところが隠れているのじゃないかな?」

母親は幼いまゆみさんを見つめながらゆっくりと話してくれました。でも正直なところ、あまりピンと来なかったそうです。

大人になったSさんは、「本当の自分って何だろう?」と悩んだ時期がありました。

自分探しの本を何冊も手にとってきましたが、求めている答えはどこにも書かれていませんでした。思い悩んだ末に、あることに気付きます。

「本当の自分は、捜し歩いた外の世界には無いのかもしれない。うまく出来ない自分も調子の悪い自分も、いろいろな自分が私の中にいて、その全部が紛れもない本当の自分なんだ」と。

そして、他人から「Sさんはこういう人よね」と、一方的に自分の人間性を決めつけられたまま、変えてもらえない事はつらいものだとも思うようになりました。

その時、ふと子供時代の情景を改めて考えてみたのです。たった一度のすれ違いの経験で、相手の全てを決めつけてしまうなんて、それは違うのではないかな、と。その気付きは「どんな自分も自分である」という、自分探しの旅の果てに生まれた想いでした。

ランドセルを背負って俯いていた小さな女の子は、母の言葉を「どういう意味なのだろう?」と、問いながら胸の中で温め続けていたのです。それは長い時を経て、自分も相手も受け容れる、深く柔らかな心を育んでいたのでした。

「色々な私がいるように、色々なあなたがいる。それでいい、それがいい」

そうやって互いを認め合い、受け容れ合おうとする生き方は、しなやかで美しく見えました。

今は人との距離を声高に叫ばれ、分断されがちな時代です。「人の魅力を探す」というSさんの特技は、心と心を優しく結びなおす力になってくれると感じました。

もし、あなたに少し苦手な人がいたら、今度会った時に少しだけ見つめなおしてみませんか?その人との世界が繋がって、新しい扉がそっと開かれるかもしれません。

~この記事を書いたのは~

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かよさん
1974年生まれ 埼玉県出身。夫と二人暮らし。看護師歴20年。
身体のあらゆる部位に腫瘍が出来る、先天性神経線維種症(NF1)という難病患者。
ハイ・サービス日本300選に選定された消化器専門病院で、10年間ホスピタリティの精神を学ぶ。その後、転職先でキュア優先の医療現場の実情に直面し、葛藤の日々を過ごす。
生きる事に寄り添うケアの探求をするべく、2015年緩和ケア認定看護師資格を取得。
緩和ケア病棟・在宅型有料老人施設・訪問看護を通じて1000人以上の看取りを経験した。
人の命に携わる自分自身の心身が整っている事が大切だと実感し「心・息・体」の調和を軸とする、禅の思想を学び始めている。肺がんの父を自宅で看取った経験から、生活の中に緩和ケアの視点を生かす活動づくりを目指している。

緩和ケア認定看護師
グリーフケアアドバイザー二級取得
がん教育外部講師研修履修
健康管理士
禅療法士

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