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これから妊婦加算をされた話をしよう。

またしても周囲(乳飲み子を抱えた母親や妊婦が多い友人周り)が騒がしくなってきた。

年末に生まれた息子は、あと少しで生後5ヶ月。
昨年5月に胎内にやってきて、12月に生まれた我が息子。
昨年4月に開始され、1月に凍結された妊婦加算。

何を隠そう私は、全妊娠期間中に「妊婦加算」を加算された元妊婦なのである!(ややこしいですね……)

***

私が妊婦加算の存在に気付いたのは、その言葉がtwitterのトレンドワードに上がるようになってからだった。

初診料と再診料に、妊婦加算として数百円が加算されている……?

当時私がかかっていたのは、妊婦検診で行く産婦人科と、妊娠前から月1で通っていた持病がらみの病院だけだった。
産婦人科はもちろん、その病院からも、妊婦加算なんてものについて一言も説明を受けた覚えはない。
私は首を傾げながら、前回病院へ行った際に受け取った診療明細を引っ張り出してきた。
妊娠してから、薬が変わったり検査をしたりしたこともないし……あ、もしかして、妊娠前から通院していて特に何の変化もない患者には、加算分をおオマケしてくれてたりしてー☆

そして確かめた診療明細の「再診料」の項目には、バッチリと「妊婦加算」の文字が記されていた。

加算されとる!!

知らないうちに!!

診察料上がっとる!!

私の妊娠発覚は、昨年のゴールデンウィーク明け。
その時点での妊娠週数は4週の終わり。
心拍確認(子どもの心臓が動き始めたかどうか確認すること。この確認ができれば、妊娠が継続していると判断され、母子手帳をもらいに行くよう指示される)ができたのは7週のはじめ。
その間にも私は一度病院に診察に訪れていた。……が、実はそのときは妊婦加算をされていない。
私に処方されていた薬は、妊娠・出産に問題ない薬だということがわかっていたから、不安定な妊娠初期に妊娠の事実を告げる必要性を感じなかったのだ。

妊婦加算をされたのは、母子手帳、そして手帳と一緒にもらった「マタニティマーク」をバッグにつけて診察室に入ったその日のことだ。

「あっ。赤ちゃんできたの?」

数年来の付き合いである先生が、おめでとうと声をかけてくれた。
「ええと、じゃあ薬は……」
「以前、先生に紹介していただいた『妊娠と薬』外来で問題ないと調べていただきました」

そう、あまり知られていないかもしれないが、都内にはいくつか「妊娠と薬」外来というものが存在している。ここに飲んでいる薬を送っておくと(要予約)、その薬が胎児に影響のないものなのかを調べてくれ、その結果を産婦人科医と薬剤師がそろって丁寧に説明してくれるのだ。ただし、保険がきかないのでやや高額。しかし、薬を使った実験結果や考えられる可能性などを時間をかけて話してくれるので(もちろん質問にも答えてくれる)、その価値はあった。

「じゃあ、だいじょうぶだね。いつも通り出しておくね」
そして診察は終了。
会計では特に何も言われず、しかし数百円の医療費の変化に私が気づくこともなく、私は病院を後にした。

先生はとても親身になってくれるお医者さんだし、妊娠中も産後もいろいろ気遣ってくれるので文句を言うつもりはないのだが、

『おめでとう!』

私の妊婦加算はあの言葉とともに始まったのだと思うと、何だか複雑な気持ちではある。

***

そんなわけで、私が妊婦加算について思うことはただ一つ。

「雑」
いろいろと

その一言に尽きる。
以下に、雑の例を挙げてみる。

・説明が「雑」
……というか結局一度も妊婦加算について説明してくれた人はいなかった。

・確認の仕方が「雑」
おなかの大きくなり方には個人差があるし、マタニティマークをつけるつけないにも考え方の違いがある。妊娠に気づかず、とるべき人からお金をとらなかったパターンはかなりの数あったのではないだろうか。

・加算の仕方が「雑」
コンタクトレンズの処方に妊婦加算されていたというのは、まったく意味がわからない……。

・医者の診察が「雑」
「妊娠されているなら薬は出せませんね」「検査(レントゲンとか)はできませんね」で普段より多い診察料が加算されたら、そりゃ腹が立つだろう。

***

妊婦だから、丁寧な診察を、高度な医療を。

それはわかるし、そういう世の中であってほしいと心底思う。
ただ、その言葉が建前なしの本音だったとして、それが本音であると払う側が信じられるような制度になってほしい。

たとえば「妊娠と薬」外来のように、医師と薬剤師で処方する薬が安全かどうか検討してくれるとか。
妊娠している患者には、病気が蔓延している待合室とは別の部屋で診察まで待たせてくれる(順番を早くしてくれとは言わない)とか。
薬がもらえないなら、それに代替する治療法を教えてくれるとか。

そのどれもができない場合、もしくはしなくていい場合(コンタクトレンズの例はこれに当てはまる)、妊婦に対して何の配慮も処方もせずに患者を返すならば、「加算せず」を選択できるようになっていてくれれば。

加算され続けた元妊婦からの、切なる願いだ。
(……と、書き連ねながら、「加算されるなら出産後でいいや」と後回しにした通院が多々あることを懺悔?しておきます。いや、それも自由意志ですが)

#COMEMO #NIKKEI

サポートをご検討いただきありがとうございます! 主に息子のミルク代になります……笑。