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スマスマ最終回で思い出すこと

中居くんが泣いた。

下を向いて膝に手を当てて、ついには後ろを向いて、それからしばらくはカメラを見ようとせず。
ものすごくSMAPファンだったわけではないけれど、その姿にもらい泣きをした私です。

SMAPが大好きだった中居くんは、この一年、自分たちが解散へと続いている大きなうねりに巻き込まれていることを知りながら、その巨大動きから降りることもできないまま、いつのまにか最後の収録の日にたどりついてしまったんだろうなぁ。

そっちへ行きたくない、行きたくないよと思っているのに、後ろから権力とか空気とか世の中とか、そういう自分の力ではどうにもならないものが、自分を無理矢理意図せぬ方向へと押し出してくる、そういうことが時々ある。なんとかできそうなのに、そうなりたくないと言ってくれている人たちもたくさんいるのに、何故かそちらへ歩かされる。
中居くんの場合はある程度の報道を信じるならばメンバーの覇気やモチベが生み出す雰囲気、信じないならばバックについている巨大権力から発される圧力……だったのかもしれない……。

何故こんなにもしつこく語っているかというと、SMAPのラストステージをみながら私の頭に甦ってきたのが、かつて編集していた月刊誌の休刊(という名の廃刊)を告げられた記憶だったからなのだった。

…………

………………

一緒にするの!

失礼!!

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とはいえ、国民的スーパーアイドルが目を赤くしながら歌っている姿や、中居くんの見せたカウントダウンをするかのような指の動きを見て、思い出したのは呼び出された会議室で、編集長の口から告げられた「休刊」の二文字に、一瞬頭が真っ白になってそのあと目の前が真っ黒になって、気づけば目から涙が溢れ出してきたあの瞬間なのでした。

部数がーとか広告がーなんて言葉は右から左へ流れていき、ただただ悔しさだけがじわじわと心を侵食する。
そしてその感情は脳で吟味されたりふるいにかけられたりすることなく、ダイレクトに水分となって瞳から流れてゆくのでした……。

我々の場合は、クライアントという大きな権力とか、出版業界のシステムとか、そういう自分ではどうにもできないいろいろが、ビッグウェイブとなって、これまでの努力とか、少ないけれど雑誌を楽しみにしてくれている読者の気持ちとか、そして私たち現場の人間の感情とかを跡形もなく流していった。

デスクに戻り、一番にしたのは、手帳に数字を書き込むこと。
最終号の発売日を0にし、日にちを遡りながら12345……と小さなカウントダウンをすることにした。毎日目でみることで、悲しみに耐えられるよう気持ちの準備をしたかったのかもしれない。
なんでかもしれないなのかというと、自分でもイマイチ理由を覚えていないからなのだった。

***

中居くんが泣き、私は会議室で号泣一歩手前まで泣いた自分を思い出す。

レベルはもちろん違うのだけれど(そりゃもう例えるのが申し訳ないくらいに)、中居くんが感じているであろう、ファンに対する申し訳無さは、私たちが感じた、読者にたいすることにした。申し訳無さに匹敵する……と自負したい。

サポートをご検討いただきありがとうございます! 主に息子のミルク代になります……笑。