【コラム】楽曲コンペってはたして仕事なの?

  作曲を生業とする人のライフプラン(収入プラン)についてたまに考えることがあるのですが、
たまに思う疑問「”楽曲コンペ”って仕事なの?」について書こうと思います。

フリーの音楽家にとって収入を得る方法は様々だと思いますが、
音楽事務所に絡むと大体、楽曲コンペというものに参加させられます。

そこで疑問。
楽曲コンペは果たして仕事と言えるのでしょうか?

例えばあるアイドルの曲の募集があったとします。
何百曲集まっても、採用されるのは1曲で、採用から外れた曲は全てノーギャラになります。
アレンジと仮歌込みで、速くても2日間は作業に費やすので、採用されなければ
2日間タダ働きということになります。
楽曲コンペを経験している方ならわかると思いますが、良いレベルに達していても、そうぽんぽん決まるものでもありません。
仮歌の方にギャラを払ったとすればマイナスですね。

仕事って、働いたものに対する対価があって初めて仕事と言えるわけで、
これは仕事ではなくて楽曲オーディション、または楽曲コンテストですよね。

それ自体否定するつもりはないけど、かなりギャンブル性の高いスタイルになるのは事実です。


曲を集めたい人がいて、曲を書きたい人が大勢いる、そこに受給は成り立つわけだし、
もちろん、センスと努力で採用率も上がるだろうし売れているアイドルグループで採用されれば一時的にまとまった金額にもなりえます。(今、確実に印税が見込めるのはアイドルかアニメなんて言われています)

でも、採用され続けなければ、このやり方で仕事として続けていくのは極めて困難です。
仕事って継続できなければダメですよね。何しろすぐ生活に困ってしまいます。

いわゆる”仕事”として捉えるにはあまりにも心もとない話になります。

新人がまず一旗あげてブランド力をつける!とか所属事務所に一目置かせて仕事を融通させてもらいやすくする!
という狙いではアリなのかもしれませんが。

僕の知っている方々にも、ものすごい才能と努力で採用され続けている方もいますが、
一握りで、それでもバイトをしたり、作曲を辞めてしまったりと様々です。
だから、コンペで長年戦い続けて食べていけている方々のことは尊敬の念以外ありません。

最近、周りで多いのは別に仕事を持っていて楽曲コンペに参加するパターンです。
僕はこれ、すごくいいと思います。なぜか。
継続できるからです。専業で作曲するより、作曲に当てる時間は少なくなるかもしれませんが
生活費の心配がないので、長く戦えるからです。長く戦えれば多少実力は劣っても何か引っかかったりするもので諦めさえしなければ、時間はかかりますが着実に実績は積めます。

ちょっと嫌な言い方ですがSNSなどで「このアイドルの曲を書きました!」と言いたいだけでしたらなおさらこのスタイルは向いています。

ただ、音楽だけの収入で一生食べて行きたい、という僕のサラリーマンを辞めた当初からの考え方にはこの方法はそぐわなかったわけです。自分自身の才能と冷静に向き合ったと言ってもいいかもしれません。

ちなみに僕は、今歌物コンペは全くと言っていいほど出していません。
採用率の比較的高い、極めて少人数コンペの、インストもの(歌ではない)だけ参加することにしています。

歌ものを思い切って切り捨てて、ちゃんと対価が支払われるBGM制作や劇伴の仕事に専念する道を選んだからです。

営業をしたり、交流会に出かけてみたり、たくさん人に会ってみたりと、作曲作業以外にもやることは多くありますが、自分にはこの方法が合っているみたいで、特に苦痛もなくなんとか食べれています。
食べ続けていける保証はどこにもないので、常にあらゆる収入スタイルは模索していますが。

皆さんはどういうスタイルで作曲ライフを構築しますか?
僕的には、これは早いうちにどういうスタイルで仕事をするか決めておいたほうが良いと思うんです。
なぜなら、使用する機材、音楽の研究の仕方、営業スタイル、取得する情報の種類がことごとくそれによって違ってくるからです。要するに、お金と時間の投資のしどころが違うんです。

色々書きましたが、何が正解かなんてもちろんわかりません。しかし何となく腑に落ちるスタイルっていうのは誰にもあるとは思うんですよね。

以上、今日は散文になってしまいましたが思ったことを書きました。


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