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#1 分子栄養学で使われるサプリメントと、海外サプリメントなど一般的なサプリメントとの違い

分子栄養学の実践においては、必ずサプリメントが用いられています。この時に使われているサプリメントは「分子栄養学実践専用サプリメント」という特殊なものです。

ではなぜ、分子栄養学を実践する際は「分子栄養学実践専用サプリメント」が使われているのでしょうか?この「分子栄養学実践専用サプリメント」はお店やネットで買える一般的なサプリメントと比べて何が違うのでしょうか?

また、そもそも分子栄養学ではなぜ「分子栄養学実践専用サプリメント」が必要なのでしょうか?

今回は、分子栄養学実践専用サプリメントとお店やネットで買える一般的なサプリメントとの違いについて詳しく解説します。

分子栄養学とは? なぜ分子栄養学ではサプリメントが必要なのか

まず、分子栄養学実践専用サプリメントの違いを説明する前に、そもそも分子栄養学とはどのようなものか?を理解することが重要です。分子栄養学についての理解が足りない場合は、サプリメントに含まれる栄養素が体内でどのような働きをするのか?や、サプリメントの必要性自体が分かりません。

このサプリメントに含まれる栄養素が体内でどのような働きをするのか?が理解できていないと、AというサプリメントもBというサプリメントも値段が違うだけで全く同じように見えてしまうのです。

例えば、「鉄分のサプリメント」と一言で言っても、その中には「ヘム鉄」や「非ヘム鉄」、「二価鉄」や「三価鉄」「無機鉄」や「有機鉄」など様々な種類が存在します。それぞれ原材料も体内での吸収の仕組みも異なり、体内に吸収しやすい鉄もあれば吸収しにくい鉄分もあります。これらそれぞれの栄養素の働きや違いを理解するのが分子栄養学と呼ばれる学問です。

この違いを十分に理解していない場合、どれも同じように見えてしまうことから、「みんな同じ鉄分なら量が多くて安いものが良い」という判断になってしまいます。そのため、サプリメントの違いを理解するためにはまず分子栄養学について学ぶことが必要です。

また、サプリメントは食品という扱いのため、その製造方法や製造管理体制には商品によってかなりのバラツキがあります。例えば、「カレー」と一言で言っても、レトルトカレーもあれば家庭で作るような具だくさんのカレーもありますよね。同じカレーというくくりですが、両者には大きな違いがあることは明白です。

サプリメントも同じで、レトルトカレーのように安く大量に作る事を目的としたものもあれば、ちゃんと栄養価などを考えて手間暇とコストをかけて作られたものもあります。カレーの場合なら見た目や味、使われている材料などから善し悪しを判断することは簡単ですが、サプリメントの場合は見た目や味だけで善し悪しを判断することは出来ません。

分子栄養学実践専用サプリメントと海外サプリメントなど一般的なサプリメントの違いを理解するためには、このようなサプリメントの製法を含めた知識も必要になってきます。

つまり、サプリメントに含まれる栄養素が体内でどのような働きをし、その栄養素が効力を保ったままきちんと体内で働けるよう設計・製造されたサプリメントなのか?をきちんと理解することが重要になるのです。

そのためには、まず「分子栄養学とはどのようなものか?」をしっかり理解するようにしましょう。

そもそも分子栄養学とは?

分子栄養学というと、「足りない栄養素をサプリメントで補う療法」とか、「薬の代わりにサプリメントを使って病気を治す療法」などと思われていることが多くあります。または、「食事を改善して必要な栄養を摂取し、サプリメントを使わずに体調を整える療法」と思っている方も多いかも知れません。

しかし、これらは典型的な分子栄養学の間違った認識です。分子栄養学は、単に足りない栄養素を食事やサプリメントで補う療法ではありません。

正しい分子栄養学では、生体内の乱れた分子(栄養素)を整えるために、消化管である口、胃、小腸や大腸、胆のうなどの状態や、酵素の量、働き、ホルモンや自律神経など身体の代謝全般と、個人個人の状態や病態を考慮した栄養補給を行います。

そして、この乱れた分子(栄養素)を整えるために、個人個人、必要な栄養素の量を補給することで、細胞の働きを本来あるべき状態に整え、病態の改善や予防、オプティマムヘルス(心身ともに最高・最善の健康状態)を目指すのが分子栄養学です。

先ほど挙げた「足りない栄養素を食事やサプリメントで補う」というだけでは、このような考慮が無いため分子栄養学とは言えません。

特によく間違われやすいのが、「メガビタミン健康法」や「一般的な医学」「一般的な栄養学」と分子栄養学の違いです。分子栄養学とこれらは全く異なるものですが、中にはこれらと分子栄養学との違いをよく理解していない方が多く見受けられます。

これらの違いを理解することが、一般的なサプリメントと分子栄養学実践専用サプリメントの違いを理解する上で非常に重要です。まずは、これらの違いをしっかり理解するためにも、過去記事を必ず読んでおいて下さい。


正しい分子栄養学では、消化管の状態や酵素の状態、その人の状態を知るためにオーソモレキュラー療法という血液検査を行っています。この検査はおよそ60項目以上にも及ぶもので、全身の健康状態や栄養状態を把握することが出来る検査です。

このオーソモレキュラー療法の血液検査では、主にその人の健康状態や栄養状態を知るために行われ、この検査結果を基に、その人それぞれに合わせた最適な栄養アプローチが行われています。

血液検査というと病気の時に受ける血液検査や、人間ドックなど検診で受ける血液検査を思い浮かべる方も多いと思いますが、これらとオーソモレキュラー療法の血液検査は全く異なるものです。

具体的には、健康保険で行われる血液検査は、病気である場合や病気の疑いがある事が前提に行われる検査になります。こちらは、主に病気に関連する項目のみで、病気を診断したり経過を観察したりする目的で行われています。

もう一つの人間ドックで受ける検査は、病気が隠れていないかを判断するためのものです。こちらは保険で行われている検査と比べて項目数は多いですが、分子栄養学の実践を目的としていません。

対してオーソモレキュラー療法の血液検査はというと、体内での栄養状態や、体内で栄養がどのように働いてるかを調べるためのものです。血液には、食事から取り込んだ栄養素や、それを代謝して体内で産生した様々な物質が溶けています。この血液中の成分を詳しく調べることにより、身体の栄養状態や健康状態を正確に把握することが出来るのです。

そのため、分子栄養学を実践する際は、定期的に血液検査で身体の状態をモニタリングしながら行われています。この60項目以上の検査結果は、分子栄養学に基づく独自の分析方法によって行われるのが特徴です。

そして、分子栄養学やオーソモレキュラー療法を実践する際、必ず必要となるのが「分子栄養学実践専用サプリメント」です。クリニックでオーソモレキュラー療法の検査を受けた後は、必要に応じてこの分子栄養学実践専用サプリメントで栄養補給を行っていくようアドバイスされます。

ただ、オーソモレキュラー療法を受けてみた方ならご存じかと思いますが、この分子栄養学実践専用サプリメントは、ドラッグストアやインターネットで販売されているサプリメントよりもかなり高額です。

どのくらい高額かというと、例えばドラッグストアで売られているサプリメントが1,000円前後だとすると、分子栄養学実践専用サプリメントではその3倍〜5倍、ものによっては10倍近くするものもあります。

また、最近ではインターネットを使って海外サプリメントを手軽に個人輸入することが出来るようになりました。海外サプリメントでは、日本で販売されているサプリメントと比べて、かなりの高濃度です。この海外サプリメントは高濃度でありながら値段も手ごろで、1つあたり1,000円〜3,000円程度で購入することが出来ます。

このような安くて高濃度のサプリメントを駆使すれば、わざわざ「分子栄養学実践専用サプリメント」なんて必要ないのでは?と思いますよね。

ですが、このようなドラッグストアで販売されているサプリメントや、海外サプリメントでは、残念ながら分子栄養学やオーソモレキュラー療法の実践は出来ません。何故かというと、これらサプリメントは単に栄養素が配合されているだけであって、生体内での利用効率や消化吸収能などは考慮されていないからです。

例えば、サプリメントに含まれる栄養素の中には大きく分けて、「合成型」と「天然型」があります。合成型とは、栄養素の分子構造を変化させて作られた人工的なもの、天然型は野菜や果物、魚介や酵母など自然界に存在するものから抽出したものが天然型です。

栄養素というものは、体内で酵素と結びついて初めて利用出来る状態になります。そのためには、限りなく天然に近い形である事が必要です。人工的に合成された栄養素や、もともと天然物を使っていても保存性を良くするために誘導体をつけたり加工したりしたものでは、体内で酵素と結びつけずに、異物として排泄されたり効果が弱まったりしてしまう可能性が高くなってしまいます。

また、サプリメントは体内できちんと消化吸収されて初めて意味があります。人によっては、胃酸の分泌量が少なかったり、胆汁の分泌量が少なかったりして、上手くタンパク質や脂質が消化吸収出来なくなっている状態の方もいます。

このような方でも問題なくサプリメントを摂取していただくためには、消化吸収能を考慮したサプリメントの設計・製造が必要です。通常、市販されているサプリメントの多くは、コストを抑えるために人工的に加工した栄養素を使っていたり、単に栄養素をカプセルに詰めただけなど、その人の状態や体内での栄養素の利用効率は考慮せずに作られていたりしています。

そのため、一見すると安くて良さそうに見える市販品や海外サプリメントでも、それがきちんと体内で消化吸収され、きちんと利用されているとは限らないのです。このような理由から、ドラッグストアなどで売られているサプリメントや、海外サプリメントを用いて分子栄養学を実践することは推奨していません。



※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓


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