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#7 分子栄養学とメガビタミン健康法の違いとは? メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法は全くの別モノです!

メガビタミン療法(高濃度ビタミンC点滴)と分子栄養学の違いとは?

ここからはメガビタミン健康法から少し話しがズレますが、メガビタミン療法(高濃度ビタミンC点滴)と分子栄養学の違いとその位置づけについても触れておきます。

分子栄養学では、サプリメントで栄養補給を行う以外にも、高濃度ビタミンC点滴によるアプローチを行うことがあります。この高濃度ビタミンC点滴は、一部クリニックなどでは「メガビタミン療法」「メガビタミン点滴」と言われていることがあります。

高濃度ビタミンC点滴とは、その名の通り高濃度のビタミンCを点滴することで、血中ビタミンC濃度を飛躍的に高める方法です。なぜ点滴で注入するのかというと、ビタミンCはサプリメントなど腸管から吸収する場合、多く摂れば摂るほど吸収率が下がってしまい、一定以上の血中濃度まで高めることはほぼ不可能だからです。

そのため、ビタミンCを点滴で投与することによって、経口摂取したときの何倍もの量を血中に送り込むことが出来ます。ビタミンCには優れた抗酸化作用や美白作用があることから、疲労回復効果や美肌・美白効果、高ストレス効果など様々な効果があると言われています。

また、高濃度のビタミンCには、正常な細胞に影響を与えず、がん細胞のみ特異的に攻撃するという抗がん効果があると言われています。このことから、ガン治療の代替治療として注目されている療法です。

この仕組みとしては、高濃度のビタミンCを点滴することによって血液中に大量の過酸化水素が発生します。通常の細胞は過酸化水素を中和する「カタラーゼ」という酵素を出して守ることが出来ますが、がん細胞はこの「カタラーゼ」がないため、過酸化水素を中和出来ずに死んでしまうと言われています。

このことから、高濃度ビタミンC点滴でガンが治るという認識がひろまり、高濃度ビタミンC点滴を受ける方が増えてきました。また、高濃度ビタミンC点滴を取り入れるクリニックも増えてきており、先ほど触れた「メガビタミン療法」や「メガビタミン点滴」として提供されています。

しかし、ガン治療において高濃度ビタミンC点滴だけを行ってもほとんど効果は期待出来ません。なぜなら、ガンの発病には生活習慣など様々な要因が関係しています。この元を絶たない限り、ガン細胞はずっと増え続けて「モグラ叩き」の状態になってしまうからです。

また、美肌が目的だとしても、肌はタンパク質から出来ていることから、ビタミンC以外にも様々な栄養が必要です。ストレス対策にしても、タンパク質やビタミンミネラルなど、ストレスで多く消耗してしまう栄養素も同時に補給する必要があります。特にストレス対策においては、生活習慣の改善や外部環境の改善など、多面的なアプローチが必要です。

そのため、当方が推奨するオーソモレキュラー療法では、基本的に高濃度ビタミンC点滴のみを行ったり推奨したりすることはほぼ行っていません。必ず、基本的な栄養素や特に病態改善に必要な栄養素など、基本となるオーソモレキュラー療法に加えて、必要に応じて追加して行われています。

また、当方が推奨するオーソモレキュラー療法ではメガビタミン療法やメガビタミン点滴などとは呼ばず、「高濃度ビタミンC点滴」や「IVC(Intravenous Vitamin C)」と呼んでいます。これは、高濃度ビタミンC点滴の分子栄養学的な位置づけが、「病態改善のために更に的を絞って追加するべき栄養素」の1つだからです。

具体的には、先ほど解説したタンパク質やビタミン、ミネラルなどの基本となる栄養素の補給に加え、高濃度ビタミンC点滴を行う場合は、同時に口腔からも十分な量のビタミンCをこまめに補給して血中濃度を維持する必要があります。ビタミンCは水溶性ビタミンであることから、代謝されたビタミンCは数時間で尿から排泄されてしまいます。この排泄分を補うためにも、追加でビタミンCを口腔摂取していく事が重要です。

また、ガンの予防や改善のためには、生活習慣の改善も必要です。例えば、閉経後の肥満女性は、特に乳がんのリスクが高いと言われています。これは、肥大した脂肪組織が女性ホルモンであるエストロゲンの供給源になる事が影響していると考えられているためです。この肥満の原因は様々ありますが、一例としては、生活習慣を原因としたサルコペニア肥満やメタボリックシンドロームが関係していると考えられます。

そして、乳がんの予防や、肥満、メタボリックシンドロームを改善させるためには、運動や栄養補給が欠かせません。筋肉を付けたり代謝を上げるためには、材料となるタンパク質やビタミン、ミネラルが必要です。

つまり、高濃度ビタミンC点滴を行う前に、基本的な栄養素となるタンパク質やビタミン、ミネラルなどが必要であり、まずはこれら栄養欠損の改善と、生活習慣の見直しが重要です。

しかし、多くの方はこのような基本となる運動や栄養補給、生活習慣の改善を行わないまま、単に高濃度ビタミンC点滴だけを行ってしまいます。これではすぐにビタミンCの血中濃度が低下してしまうことに加え、ガンの発生源となる肥満や生活習慣の改善など「元」を絶っていないことから、最終的にはがん細胞が増殖する結果となってしまうというわけです。

つまり、ガン治療で高濃度ビタミンC点滴を用いるにしても、生活習慣の改善やその目的を行うために必要な栄養素を摂取するなど、分子栄養学の基礎的な部分も同時に行う事が必要です。いくら高濃度ビタミンC点滴に抗がん効果があるとしても、ただ単に高濃度のビタミンCを点滴で投与しているだけでは、身体本来の機能を取り戻すことは出来ません。

このことから、当方が推奨するオーソモレキュラー療法では「メガビタミン療法」や「メガビタミン点滴」など単品で効果があると誤認するような表現はほぼ使われていないのです。

分子栄養学は、栄養素における体内での働きを理解し、至適量の栄養素を補給することで身体本来の機能を取り戻す療法です。何か特定の栄養素を摂取しただけで病態改善が得られるような療法ではありませんのでご注意下さい。


分子栄養学とメガビタミンの違い。分子栄養学とメガビタミンは全くの別モノです!まとめ

以上が、メガビタミン健康法と、分子栄養学であるオーソモレキュラー療法の違いでした。

メガビタミン健康法では、海外サプリメントや市販されているサプリメントを、症状に応じてメガドーズする療法です。対してオーソモレキュラー療法では、「体内の分子(栄養素)が乱れるのには必ず原因があるとし、専用の血液検査を行って体内の栄養状態や健康状態を客観的に分析してから、治療と併せて専用のサプリメントで根本原因から栄養アプローチを行っていきましょう」というのがオーソモレキュラー療法の基本的な考え方となります。

メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法は、どちらも分子栄養学と称していますが、その考え方や行い方は全く異なります。メガビタミン健康法では検査などで身体の状態を調べないのに対し、オーソモレキュラー療法では専用の血液検査などによって身体状態の把握を行っています。

また、使っているサプリメントも大きく異なり、メガビタミン健康法では海外サプリメントや市販されているサプリメントを用いますが、オーソモレキュラー療法では分子栄養学実践専用に作られた高品質なサプリメントを使うことが特徴です。

このメガビタミン健康法で使われる一般的なサプリメントは、主に欠乏症の予防や病気の予防、健康増進を目的として作られたものです。あくまで「食品」という位置づけのため、有効成分の効力や消化吸収能の考慮、体内での崩壊などは殆ど考慮されていません。

酷いものでは、体内で全く溶けずに排泄されてしまったり、日本では認可されていない医薬品成分などが混入しているものもあります。いくら海外サプリメントが安くて高濃度だったとしても、それがきちんと消化吸収されて体内で安全に利用されなければ、分子栄養学とは言えません。

対して、分子栄養学実践専用サプリメントは病態の改善や予防、オプティマムヘルスの推進を目的とし、分子栄養学を実践するために開発されています。分子栄養学では一般的な摂取量よりも遙かに多い量の栄養素を摂取する事から、品質と安全性が第一です。

このため、分子栄養学実践専用サプリメントでは高品質な原材料の使用し、体内での崩壊や消化吸収能を考慮するなど、サプリメントの専門家が設計・製造を行っています。併せて、細菌や汚染物質などが混入しているかどうかなどの厳しいチェックも行い、小ロット生産による鮮度の高いサプリメントが作られています。

そして、この分子栄養学実践専用サプリメントを用いて、それぞれの消化吸収能力を考慮したり、病態を考慮したりと、個人個人に合わせた最適な栄養アプローチ(至適量)を行っていくのが分子栄養学であり、オーソモレキュラー療法です。

このような考え方ややり方などの違いが、メガビタミン健康法とオーソモレキュラー療法の大きな違いになります。

もし、分子栄養学に興味ある方は、是非分子栄養学を学んでみてください。分子栄養学についてはメガビタミン健康法で解説されているよりももっと奥が深く、一生かけても学びきれないほど奥が深い学問です。

分子栄養学を学ぶ際は、間違った情報に注意し、必ず学問として信頼出来る所から学ぶようにしましょう。



※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓


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