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#2 分子栄養学で使われるサプリメントと、海外サプリメントなど一般的なサプリメントとの違い

海外サプリメントなど一般的なサプリメントと分子栄養学実践専用サプリメントの具体的な違い

では、分子栄養学実践専用サプリメントの品質はどうなっているのでしょうか?

分子栄養学実践専用サプリメントでは、その人それぞれの体質に合わせてアプローチが出来るよう、消化吸収能が考慮された設計や製造が行われています。また、原材料には天然由来の生体内物質が使用されていたり、成分同士が反応して効力を失わないよう、反応抑制のためのコーティングが行われていたりなど、非常に高品質なサプリメントとなっています。

他にも、分子栄養学の実践で使われるサプリメントの条件としては、次の通りです。

分子栄養学の実践で使われるサプリメントの条件

  • 含有原料は、食品由来の生体内物質が使用されているか

  • 有効成分が効力を失わないまま、高濃度に含有されているか

  • 消化吸収を考慮した設計、配合内容になっているか

  • 体内での崩壊が考慮された設計、配合内容になっているか

  • 製品中の栄養成分同士が反応しないよう、反応抑制のためのコーティングはされているか

  • 栄養素は単体で摂取しても効果が無いため、複合体での設計、配合になっているか

  • 細菌・薬物など汚染物質のチェックは厳重に行われているか?

  • 製品管理システムはとられているか

このように、分子栄養学の実践で用いるサプリメントには、様々な条件を満たした高品質なサプリメントが用いられています。

これらの条件に当てはまるようにサプリメントを設計・製造するためには、生命科学や分子栄養学に精通する専門家の協力が欠かせません。そのため、例えば当方が推奨するオーソモレキュラー療法の場合では、医学や生化学、分子栄養学に精通した専門家のチームが分子栄養学実践専用サプリメントの研究・開発を行っています。

では、なぜこのような厳しい条件をつけてまで、専門家がサプリメントの開発を行わなければならないのでしょうか? それは、先ほども解説したようにサプリメントは単に栄養素をカプセルに詰めただけでは、体内で効率よく働くことが出来ないためです。

また、海外サプリメントなど一部のサプリメントでは、日本で承認されていない医薬品成分などが混入するなどの事件も相次ぎ、厚生労働省も注意喚起を行っています。サプリメントは毎日摂取するものであることから、安全性が第一です。

特に分子栄養学では、一般的な栄養学よりも数倍の量となる栄養素の量を摂取していくことも珍しくありません。そのため、サプリメントを選ぶ基準は、第一に安全である事と、体内での栄養素の働きを熟知した専門家が設計していることが条件です。

では、分子栄養学実践専用サプリメントは一般的なサプリメントと比べて、具体的にどこがどう違うのでしょうか?

先ほどの条件を交えつつ、分子栄養学実践専用サプリメントと一般的なサプリメントとの具体的な違いを解説していきましょう。

違いその① 含有原料は、食品由来の生体内物質が使用されているか

まず一つ目は、サプリメントに使用されている原材料の違いです。先ほども解説したように、サプリメントには栄養素には大きく分けて、「合成型」と「天然型」があります。

合成型とは、栄養素の分子構造を変化させて作られた人工的なもの、天然型は野菜や果物、魚介や酵母など自然界に存在するものから抽出したものが天然型です。天然型は自然界に存在するものから抽出しているので、合成型と比べてコストが高くなります。

分子栄養学実践専用サプリメントの製造に使われている栄養素は、すべて天然由来の生体内物質が使用されています。対して海外サプリメントなど一般的なサプリメントでは、人工的に合成された栄養素や、人工的に加工されたものが使われているものがあります。

例えば、ビタミンEと一言で言っても、大きく分けて「合成のビタミンE」と「天然のビタミンE」があります。合成のビタミンEと天然のビタミンEの大きな違いは、期待出来る抗酸化力の違いです。

ビタミンEは脂溶性の抗酸化物質で、主に細胞膜に組み込まれて細胞膜を酸化から守る働きをしています。

食品由来の天然成分から抽出した物は「d-α-トコフェロール」と言って、もっとも抗酸化力が期待出来るビタミンEです。分子栄養学実践専用サプリメントでは、この天然由来のビタミンEが配合されています。

対して、海外サプリメントや市販されているサプリメント、薬として処方されるビタミンEでは「酢酸 d-α-トコフェロール」や「酢酸dl-α-トコフェロール」が配合されている物が殆どで、いわゆる「天然型」や「合成型」と呼ばれています。こちらはビタミンEを酸化・劣化から守るために「エステル化」という加工がされています。

エステル化とは、いわゆる「コーティング」のようなもので、抗酸化力を発揮する水酸基の部分をアルコールや酢酸などの物質と結合させて安定化する加工のことです。この水酸基をエステル化させることによって、空気や光などからビタミンEが酸化されないよう防いでいます。

しかし、このエステル化を行ってしまうと、デメリットも大きくなってしまいます。それが、先ほどの「抗酸化力の低下」です。エステル化を行うと、水酸基から「H」の水素が外れにくくなってしまうため、十分な抗酸化力は望めません。このことから、合成ビタミンEが体内に入っても、本来の栄養素としての働きが十分に行えない可能性があるのです。

また、もう一つのデメリットとして、海外サプリメントや市販されているビタミンEサプリメントの殆どには、単品のd-α-トコフェロールしか含まれていないことが挙げられます。

ビタミンEには大きく分けて「トコフェロール」と「トコトリエノール」があり、この二つにはそれぞれα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類、計8種類が存在しています。少し分かりにくいですが、α-トコフェロールやα-トコトリエノール、β-トコフェロールやβトコトリエノールなど、それぞれのトコフェロールやトコトリエノールに種類があり、合計で8種類あるということですね。

このトコフェロールとトコトリエノールの大きな違いは、分子構造の違いと、その作用の違いです。トコトリエノールは炭素同士の二重結合があり、この二重結合がある事で細胞膜への侵入が容易に出来ます。そのため、トコトリエノールはトコフェロールと比べて速効性があり、生理活性がトコフェロールよりも高いという特徴があります。

対してトコフェロールは、炭素同士の二重結合が無いことから細胞膜への進入速度が遅く、代わりに持続性があるのが特徴です。

また、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類はそれぞれ生理活性や抗酸化力に違いがあります。最も生理活性が強いのはα型で、次にβ型、δ型、γ型と続きます。この生理活性とは、主に妊娠をサポートする力やホルモンの活性作用などがどれだけ強いかです。

生理活性の一つである抗酸化作用については、γ型が最も強く、次にδ型、β型、α型と続きます。つまり、α型のビタミンEが最も生理活性が高く、抗酸化作用についてはγ型のビタミンEが最も高いということになります。

では、海外サプリメントや市販されている大半のビタミンEサプリメントはどうかというと、これら様々な種類のビタミンEのうち、α-トコフェロールのみしか含まれていません。

実は、ビタミンEはこれら8種類が補い合って作用していることから、8種類すべてをバランス良く摂取する事が大切です。

例えば、持続性のある「トコフェロール」と速効性のある「トコトリエノール」両方を同時に摂取する事で、体内のビタミンE濃度を高濃度で維持することが可能になります。

また、α型のビタミンEが最も生理活性が高く、抗酸化作用についてはγ型のビタミンEが最も高いことから、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類、それぞれ8種類すべてのビタミンEをバランス良く摂取する事が、最も生理活性と抗酸化作用が期待出来る方法です。

食品に含まれているビタミンEにはもともと複数のビタミンEが含まれていて、α-トコフェロール単品のみが含まれているなんてことはありません。そのため、食品由来の成分から抽出した天然由来のビタミンEサプリメントでは、8種類すべてのビタミンEが含まれています。分子栄養学実践専用サプリメントでは天然由来の植物成分から抽出していることから、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)を含むすべてのトコフェロール、トコトリエノール8種類が含まれています。

対して、大半の海外サプリメントや市販されているサプリメントのビタミンEでは、α-トコフェロールのみしか含まれていないことから、ビタミンEが本来持っている生理活性と抗酸化作用は殆ど期待出来ないのです。

それから、合成ビタミンにはもう一つの問題もあります。それが、d体とl体のビタミンEが両方含まれている可能性があることです。

ビタミンEには、d体とl体があって、先ほどご紹介した「d-α-トコフェロール」「d体」になります。対してl体は、このd体の光学異性体、つまり鏡映しにした形のものです。

d体のビタミンEは植物や生物に含まれている主要な形であり、ほぼすべての生物がd体のビタミンEを利用しています。逆に、l体のビタミンEは植物や生物には殆ど含まれておらず、生物内、生体内においての合成や利用も難しいことから、ほぼ利用されていません。

合成ビタミンEは、化学的な合成過程からl体のビタミンEも発生することから、このd体とl体が両方混ざっている場合があります。もし、仮にl体が半分入っていたとしたら、体が利用できるのはd体のみです。その場合、半分は「異物」として捨てられてしまうことになります。

このように、一言で「ビタミンE」と書かれていても、天然のビタミンEと合成のビタミンEではその栄養素の構造や働きが全く異なります。分子栄養学の実践で用いるサプリメントは、必ず天然由来の成分である事が重要です。当方が推奨する分子栄養学実践専用サプリメントのビタミンEでは、原材料にビタミンE含有植物油を使用し、天然由来のビタミンEを高濃度で配合しています。

ただし、天然のものであっても、製造方法や製造管理、保管方法などによっては、体内に入るまでに酸化、劣化してしまう場合があります。このような酸化、劣化した栄養素を摂取すると、逆に体内で悪影響となるので注意が必要です。

例えば、先ほどのビタミンEで言えば、酸化されたビタミンEが体内に入ると酸化ストレスを増加させる可能性があります。酸化ストレスとは、体内の酸化反応が過剰になり、細胞や分子がダメージを受ける状態のことです。

酸化されたビタミンEは、元々の抗酸化能力を失っているため、体内の酸化反応を調節する能力が低下しています。すると、逆に他の物質から水素(H)を奪い取ろうとするので、今度は他の分子や細胞が酸化され、ダメージを与えてしまうのです。

このような酸化した栄養素を摂取する事による酸化は、細胞内で活性酸素種と呼ばれる反応性な分子が生成される原因となり、これが細胞やDNA、たんぱく質などの構成要素を攻撃してダメージを与える可能性があります。

サプリメントは通常の食事と違って濃縮された特定の栄養素を大量に摂取するので、もしサプリメントに含まれる栄養素が酸化していた場合、その影響は計り知れません。例え「天然型」「保存料不使用」「添加物不使用」などと書かれていたとしても、そのサプリメントに含まれる栄養素が酸化・劣化しておらず、体内で安全に利用出来る形になっているとは限らないわけです。

そのため、当方が推奨する分子栄養学実践専用サプリメントではビタミンE含有植物油を酸化から守るために、徹底した品質管理のもと、天然由来の成分を用いて対策を行っています。例えば、「γオリザノール」天然由来のビタミンEなどです。これらの天然由来成分が、栄養素の酸化から守ってくれています。

昨今では、健康ブームによって「保存料」や「添加物」などを過剰に避ける方が多くなってきました。しかし、本当の天然由来の栄養素は腐りやすく、何も対策しなければすぐに酸化・劣化してしまいます。保存料や添加物が入っていないもの=良い物という認識は大きな間違いです。

いくら天然由来のビタミンEだとしても、酸化や劣化から守るための成分を配合しなかったり、保存料として合成のビタミンEなどを配合した場合では、栄養成分が酸化・劣化しやすくなり、本来の栄養素の働きが望めなくなってしまいます。

本当に良いサプリメントは、天然由来の成分を使って栄養素を守る工夫や、医薬品と同じようなコストがかかる製造方法・管理方法で栄養素の品質を守る工夫がされています。分子栄養学で用いるサプリメントは、天然由来の成分である事に加え、その栄養素がきちんと体内で安全に働くことが出来る状態になっていることが特徴です。

特定の栄養素をサプリメントで過剰に摂取することは、むしろ生体内に分子の乱れを引き起こし、ガンなどのリスクを上昇させる可能性あり

上述したように、一般的なサプリメントや海外サプリメントでは合成した原材料などが主に使用されていることから、特定の栄養成分のみしか含まれていない物が大半です。

このような特定の成分のみしか含まれていないサプリメントで分子栄養学を実践すると、むしろ生体内に分子の乱れを引き起こし、ガンなどのリスクを上昇させてしまう可能性があります。

例えば、フィンランドで行われたα-トコフェロール・β-カロテンがん予防試験(ATBC)で、29,000人以上の男性喫煙者に20mg/日のβ-カロテンおよび/または50mg/日のα-トコフェロールを与えて効果を調べた研究があります。

また、米国で行われたβ-カロテンおよびレチノール有効性試験(CARET)では、30mg/日のβ-カロテンと25,000IU/日のレチノール(ビタミンA)の組み合わせを、喫煙者、以前に喫煙していた者、または職業的にアスベストに接していた18,000人以上の男女に与えて効果を調べた研究があります。

この結果としては、β-カロテンのサプリメントを摂っていたグループの肺がんリスクが、ATBCの参加者で6年後に16%増加し、CARETの参加者でも4年後に28%増加したという結果になりました。

このことから、1996年にアメリカ国立がん研究所が「β-カロテンにはがん予防効果が無く、また喫煙者では逆に肺がんを増加させる恐れがある」という研究結果を発表しています。多くの専門家は、特に喫煙者やその他のハイリスク集団においては、高用量β-カロテン補給の危険性の方ががん予防効果を凌ぐのではないかと考えているようです。

このように聞くと、サプリメントで栄養素を摂取する事はむしろ危険な行為のように思えますよね。ですが、27,000人以上の男性喫煙者を14年間調べたフィンランドでの研究では、β-カロテンを除いて全カロテノイド、リコピン、β-クリプトキサンチン、ルテイン、およびゼアキサンチンの食事からの摂取が、逆に肺がんリスクを有意に減らしていたという結果になりました。また、全カロテノイド、α-カロテン、およびリコピンの摂取が最も多かった男女は、摂取が最少であった男女よりも有意に肺がんリスクが低かったという研究結果があります。日本微量栄養素情報センター カロテノイド

この結果から、食事などから全カロテノイド、リコピン、β-クリプトキサンチン、ルテイン、およびゼアキサンチンなどを摂取した場合はガンのリスクを低下させ、逆に合成のα-トコフェロールや合成のβ-カロテン、レチノールなど特定の栄養素を大量に摂取した場合はむしろガンリスクを増加させてしまう恐れがあると考えられます。

特に、前者の研究(ATBCやCARET)で被験者に投与されていたのは合成のβ-カロテンでした。合成のβ-カロテンでは100%オールトランスβ-カロテンで構成されています。

通常、食品に含まれる天然のカロテノイドには、オールトランスβ-カロテンの他にもシス体のβ-カロテンやα-カロテン、リコピンなど様々なカロテノイドを含んでいます。何か1種類のカロテノイドだけが大量に含まれているなんてことは基本的にありません。

このような何か特定の1種類のカロテノイドを大量に摂取した場合、他のカロテノイドの吸収や組織での利用を妨げてしまう可能性があります。また、ある種の抗酸化剤が単独で大量に摂ると、条件によっては抗酸化剤としてよりも酸化促進剤として作用してしまう可能性があります。

そのため、サプリメントを選ぶ際は食品由来の原材料を使用した高品質なサプリメントを選ぶことが大切です。特定の成分のみしか含まれていないサプリメントで分子栄養学を実践すると、むしろ生体内に分子の乱れを引き起こし、ガンなどのリスクを上昇させてしまう可能性がありますので注意して下さい。

市販されているサプリメントや海外サプリメントでは、上述したように合成のβ-カロテンのみや、レチノールのみ、酢酸 d-α-トコフェロールや酢酸dl-α-トコフェロールのみといったように、特定の栄養成分しか含まれていない物が殆どです。

このようなサプリメントでは特定の栄養成分しか含まれていないことから、大量に摂取すると生体内の分子の乱れを引き起こし、ガンなどのリスクを上昇させてしまう可能性があります。

対して、分子栄養学実践専用サプリメントでは、天然由来の食品成分を原材料として使用し、なるべく食品と同じになるよう複数のカロテノイドや複数のトコフェロール、トコトリエノールなどの栄養成分が含まれています。このような設計や製造がされているサプリメントを選ぶことが、安全に分子栄養学を実践する際のポイントです。

同じように見えるサプリメントでも、含まれている栄養成分や使われている原材料には大きな違いがあります。また、それによって得られる結果も変わってくる恐れがありますので、分子栄養学を実践する際は必ず分子栄養学実践専用サプリメントを使用するようにして下さい。



※この記事は、下記記事から一部を抜粋・改編したものです。記事全文は下記記事をご覧下さい。元記事はこちら↓


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