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続けるモノガタリ⑤

黒い物を飲んだ。
飲まなくてはいけない。
そんな気がした。

しかし飲んだ瞬間の記憶がない。

どうやら飲んだ、
そして僕は薄暗い荒野に立っていた。

あてもなくとりあえず歩いていると
遠くで円盤上のものが見えた。

(なんだ…?)

近づくと、立てられた円盤に頭部がウサギ、体は人間のウサギ人間がくくりつけられている。

その横にはカンダタみたいな男が立っていて
円盤の上には何やらパネル?があり、何か文字が書かれている。

「お前の進路」
そう書かれていた。

(お前の進路…?)

『ルーレットスタート!』

少女が急に叫んだ

(居たか!?この子)

僕はビックリしてその子を見た。

少女の声を聞いてカンダタがゆっくりと円盤を回し始めた。

凄い回す。

物凄い回す。

ウサギ人間が残像で何体にも見える。

よく分からないけどかわいそうになってきた。

「かわいそうやろ!!」

僕は言った。

カンダタは僕の声など気にしていない様子でガンガン回す。

「やめたれや!グロッキーなってるやんけ!」

止めようと思ったが回転が凄くて危なくて近づけない

「やめるように言ったれや」

僕は少女に向かって言った
そのほんの一瞬、目を離している間にルーレットは止まった

ウサギ人間がちょうど左横になる位置で止まっている

少女がその方向を指差した

(あっちってこと?)

僕はその方向を見た

果てしなく先が何も見えない

何だが分からないけどイライラしてきた

「いやいやいや!ウサギの耳グロッキーなって垂れてる!←ちゃう!↙︎や!」

僕は少女に抗議した。

少女は指を差す方向を少し下方修正した。

視線を戻すと、さっきはなかった崖が出来ていて、下には闇が広がっていた。

「うそうそ、嘘!嘘やん。←でいいよ。大丈夫!」

少女は微動だにしない。
そういえば最初から一回も目が合っていない。

僕はココに居てはいけない気がして崖に向かって走り出した

(くっそ!!くっそ!!!)

道が終わる

僕は走るスピードを緩めなかった

「ううあああああ!!!??」

僕は飛んでいた

(そうか、僕は飛べるのか、そうだった…なんだ…焦った…)

気がつくと隣でさっきの緑の目の光る女が飛んでいた

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