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エクスポネンシャル思考

2017年、シンギュラリティ大学を訪問した時、Pascal Finette氏による「エクスポネンシャル思考」のセミナー参加報告です。

eBay の プラットフォーム・ソリューション・グループ リーダー、Mozilla Labsの責任者を経て、現在はシンギュラリティ大学のスタートアップとアントレプレナーシップ・チェアーである起業者のPascal Finette氏による「Exponential Thinking(エクスポネンシャル思考)」のセミナーに参加した。このセミナーでは、デジタル時代の「指数関数的(エクスポネンシャル)」要素を解説し、人類の問題を解決するためにエクスポネンシャル思考が必要であることを説いた。

未来は Exponential(エクスポネンシャル=指数関数的)

コンピュータの計算力は今までムーアの法則(Moore’s Law)に従って上がってきた。

ASCI Red, $55M, 1.3 teraflops (1997)

Sony PS3, $499, 2.1 teraflops (2006)

Raspberry PI Zero, $5, 191 teraflops (2015)

Exponential Function(指数関数)y = ex

The greatest shortcoming of the human race is our inability to understand the exponential function. – Albert Allen Bartlett
指数関数(エクスポーネンシャル)が理解できてないのは人間の最大の弱みなんだ。- Albert Allen Bartlett

例えば、線形な 30 steps で先にどこまでに行けるかを誰でも予測できるが、エクスポーネンシャルな 30 steps は、すごく頭が良い人でも実感はできない。

次の図で、金色の線はテクノロジーの発展を示す線(ムーアの法則に従ったエクスポネンシャルな曲線)、オレンジ色の線は人が実感的できる linear thinking(線形的思考)の線を示す。

最初はテクノロジーによる大きな効果がみられないので、失望(disappointment)ばかりだったが、2つの線が交差する時点(Wow Moment = 気付きの瞬間)で、人はテクノロジーの発展・効果が実感できる。

その後は、線形的思考で技術の変化の予測やコントロールができず、混乱(chaos)と愕然(amazement)の時期が続いていく。

エクスポネンシャルな成長に関して、テクノロジーは 6D の規律がある。

Deceptive 時期
最初の時期はテクノロジーの発展はかなり遅い。2倍のエクスポネンシャルでも、0.01、 0.02、0.04、0.08、0.16 のように、発展が見えず失望ばかりの時期だ。
Disruptive 時期
だが、発展のマイルストーンが 2 になったら、その後はすぐに 32 … 32,000 になる。普通の線形な発展を超えた時期だ。
Dematerialized 時期
非物理の時期、物理的な物は段々無くなって、デジタルされた物が残る。
Demonetized 時期
値段は安くなり、テクノロジーを使う人はあまり高い値段を払わない。
Democratized 時期
誰でもテクノロジーを使える時期。

例えば、音楽を例にとって考えてみよう。

Digitalized: アナログだった音楽のデジタル化技術が生まれる
Deceptive: MP3 ファイル、質が悪い、HDD の量が重い
Disruptive: 圧縮も音質も良くになって、使えるようになる
Dematerialized: オンラインで曲を買え、CD が要らなくなる
Demonetized: 曲ごとの値段が安くになる
Democratized: まだこの時期には至っていない

結論: テクノロジーを管理もしくは活用するには、エクスポーネンシャル思考が必要

特に、世界はまだ沢山解決するべき問題がある。例えば、次の 8つ。

Pascal Finette氏からのメッセージ:

人類滅亡の危機に関する課題が多いが、一方で、テクノロジーで解決できる課題も多い。積極的に考えると、今は凄く面白い時点である。

参考リンク

Singularity University
https://su.org/
シンギュラリティ・ユニバーシティ
https://ja.wikipedia.org/wiki/シンギュラリティ・ユニバーシティ
米シリコンバレーでも突き抜ける シンギュラリティ大の未来志向
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ24HDN_V20C14A9I00000/
エクスポネンシャル技術と非線形思考で 21世紀の課題をすべて解決するシンギュラリティ大学の挑戦
http://dquarterly.com/articles/-/51
文明は、過去も将来も指数関数的に進化する ~ カーツワイル氏が語る「シンギュラリティ」
http://toyokeizai.net/articles/-/57622
エクスポネンシャルを知らずに未来は語れない:「シンギュラリティ大学」で学んだ 6日間
http://wired.jp/2016/10/04/future-is-exponential/
シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法(単行本)
https://www.amazon.co.jp/dp/4822251039/
勇猛果敢に、突き抜けろ! シリコンバレーで進む経営戦略のパラダイムシフト
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46508
北野宏明氏・石黒浩氏らが登壇、「ジャパン グローバルインパクトチャレンジ Winner’s セレモニー」が2月開催へ
http://robotstart.info/2016/12/21/japan-global-impact-challenge.html

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