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ZENONZARD懐古録”EVOLVE”

久しぶりの更新となります。生活を破壊されていました。

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生活を破壊されている間にZENONZARDの一周忌も過ぎてしまいましたが気にせずに懐古していきたいと思います。

今回懐古するのはPACKCODE:03"EVOLVE"

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ZENONZARDの対戦環境を語る上では外すことのできない最もインフレ、正確にはそれまでとは一線を画すこととなった弾を振り返っていきます。


第一章~マナベースシンギュラリティ~


それでは毎度のように今弾によって環境にもたらされた変化を三つに絞って見ていきます。

1.有色無拘束1マナミニオンの登場

EVOLVEの発表において新システム、新ギミックとして紹介こそされませんでしたが初めて有色かつ召喚の際に色マナを必要としないミニオンが登場しました。

序盤のマナベースを安定させるために荒野の旅人orマッピーラット+ベースと採用していたスペースにベースミニオンを採用せずともよくなったためデッキスペースを空けることができるようになりました。


2.エヴォーカーの登場

そして満を持て登場したのがEVOLVEの目玉、召喚士”エヴォーカー”と召喚獣”アルカナ”、新ギミック「進化」です。

エヴォーカーは従来のベースと異なり移動できないという些細なデメリットを有していますが、配置時に召喚獣を手札に加えることができます。

そして召喚獣は場に存在している状態で特定の種族のミニオンが召喚されるとゲーム中に使用される召喚獣が最大2回まで進化し、その能力が強化されます。

始めは少し物足りない性能をしている召喚獣ですが、ひとたび進化してしまえばそのスタッツは跳ね上がり、2段階目の進化をしてしまえば完全なオーバースペックミニオンへと変貌します。

このエヴォーカーはZENONZARDのそれまでの常識を一変させました。

ZENONZARDリリース当初からの常識それはベースミニオンは弱いということです。

リリース当初のベースミニオンはとても使えるような水準に無く、フォースにキマイラを採用し、ベースミニオンを極力採用しない構築が一般的でした。

その後「配置時」「加護」とベースミニオンは徐々に強力な効果を与えられてきましたが、それ単体で機能しないベースミニオンの採用には色基盤は8枚というセオリーに従い荒野の旅人含め5枚、マッピーラットが登場してからは2枚だけ採用するという構築も珍しくありませんでした。

しかしエヴォーカーは配置時にミニオンを直接手札に加えるためその役目はフィールドミニオンとなんら変わりありません。
それだけではなくベースミニオンとして色マナまで確保してしまいます。

色拘束の無いの1マナミニオンの追加も相まって、EVOLVE以前と以後ではデッキ構築のセオリーが大きく変化し、既存のものよりも圧倒的な色の安定とデッキパワーの両立を成し遂げました。

これにより一つのアーキタイプが終焉を迎えます。そう無色デッキです。
色による事故が無いというアイデンティティを持った無色アグロでしたが、その色事故の無さとデッキパワーのバランスが有色デッキへと大きく傾きました。

これまでも無色ミニオンを対象としたメタカードの追加によりその数を減らしていた無色デッキでしたが、ついに構築するメリットが一切無くなりアーキタイプそのものの消滅へと至りました。

3.Twin × Hayate fin.

能力調整により”瞬身のハヤテ”が弱体化されることとなりました。

この弱体化ですが環境で活躍したツインハヤテのコンボによるものではありません。前述の通り無色デッキは環境から減少しておりEVOLVEにおいて消滅します。

EVOLVEにて登場した黄色の召喚獣、ゴッドバードがアヴィアンを進化条件とするためすぐさま進化し、次のターンに手札に戻ったハヤテを召喚すれば最終形態に確実になることを危惧してのナーフでした。

であればテーマソングのタイトルにもなったコンボを消滅させるような調整はせずにハヤテの種族を”ウイング”みたいなわけ分からんものにしたら良かったのでは…?



ゴウ・シュドルク


それでは”RANKING~SEASON:05~”で活躍していったデッキを振り返っていきます。

通常の勝率ランキングとは別にポイントを集めるランキングが事前に行われたため、EVOLVE環境でのランキングのデッキは非常に洗練されたもので開始されます。

直前のSAO環境にて最も強かったデッキ、それはフォースを回復して戦う”白単ラディウス”でした。

白のカードが一切追加されなかったSAOにて成立したデッキでしたがEVOLVEにて白はこのフォースを回復して戦うという戦術を強化されました。
これを見越していたのだとすればZENONZARDのカードデザインチームの辣腕に舌を巻くばかりです。

前弾にて最強であったテーマに追加カードが登場したとすれば最初に注目されるのは必然でした。

そうして成立したのが”白単アンドロイド”。発展形ではあるのですがあまりにも優秀なカードが多く追加されたため原型を留めていません。

このデッキの核となるのは新たに追加された”「サラの召喚獣」メタリック・スティード””「マキナスの機人侍」シュナイデン””データ解析”の3枚のカードです。

”「サラの召喚獣」メタリック・スティード”は今回の目玉の召喚獣です。

前弾の切札であったラディウスを少し小さくしたこのカードは、サイズが軽くなった代わりに参照するフォースが1つだけとなり盤面を一掃するには少々物足りません。

しかし進化することで選ばれなくなりその対処をブロックによるバトルに強要することができるため、召喚時効果で小型ブロッカーを排除し生き残った大型にブロックさせることでラディウスと遜色ない働きをすることができました。


”「マキナスの機人侍」シュナイデン”はメタリックスティードを進化させるために追加された種族アンドロイドのミニオン群の内の1体です。

味方攻撃時に相手プレイヤーのマジックの使用を禁止する効果に加えて”再起”まで持ち殴ることにリスクがほとんどない脅威的な性能を誇ります。

このカードの影響を最も受けたのが他でもないこのデッキです。

白単ラディウスはライフへのダメージをミノタウロスで軽減、フォースへのダメージを防御カードで軽減することで全てのダメージを軽減し、盤面争いをしないというコンセプトでした。

しかし、このシュナイデンは攻撃時に防御マジックの使用を禁止します。
そのためメインでマジックを使用する必要が生まれ、マジックを使った行動回数を増やすためフォースにはケイローンを採用せざるを得ず、軽減ではなく事前に回復しておくという方法が取られました。


”データ解析”は各色に追加された召喚獣が存在するとボーナスを得ることできるマジックサイクルの1枚です。

その効果はコスト5以上のミニオンの除外と、同じコストのカードを全てデッキから除外するというもの。

このカードも1枚で複数のカードに触ることができるカードで相手の脅威に未然に対処することができます。

また、デッキに対する知識が深ければ除外されたカードの枚数から相手が手札に何を持っているか予想できる他、山札の枚数も減るためライブラリアウトという勝ち筋が生まれこのカード自身もフィニッシャーになることができます。


盤面の脅威に対処するだけでなく自身も相手への脅威となるメタリックスティード。
安全なフィニッシュ手段であり盤面を支えるシュナイデン。
脅威を解析するだけでなくフィニッシャーにもなりうるデータ解析。

全てを備えたこのデッキはこの環境最強のデッキとして君臨しました。



小枝を踏み折れば、骨を折ってあがないとする。


そんな白に抗うことができたのが”緑単エルフ”です。

キーカードは”「深森の召喚士」オーブ”とその召喚獣”「オーブの召喚獣」ムーンクイーン”

緑にはベースを利用するという役割を与えられているため切札である召喚士に触ることができるカードも与えられ、エルフは数と筋肉による暴力というカードゲーマーが良く知るエルフとなりました。

切札であるムーンクイーンは”サクラツォーク”でサーチが可能で、”「デメテーの貴公子」アノーリオン”で増やすことができます。

そして召喚士自体はベースミニオンであるため”データ解析”を使用されてもデッキ内リソースが減ることがありません。
そのため白との対戦では、緑側が展開するミニオンに対してどれだけ白が除去マジックを持っているかという試合になります。


召喚士と召喚獣というシステムを上手く利用できたのはそれだけではありません。

AWAKENより存在した緑の導き手”「導きの戦乙女」ブリジット”はコスト5以上の緑のミニオンを出す度にドローできるという大型ミニオンを使用することにアドバンテージを与えます。

ですが大型ミニオンを多数採用することは事故率の増加を招くためもっぱら連携の1ドローを期待して採用し、うまくかみ合えばおまけでさらに1ドローできるという程度のカードでした。

しかしベースでありミニオンでもある召喚獣は、連携、ドロー効果共に非常に噛み合い自身の種族もムーンクイーンを進化させることのできるエルフであり無駄がありません。

ブリジットの存在もあり緑はビートデッキでありながらリソース勝負では無類の強さを発揮しました。



第二章~フラッシュでも撃てましたっけ?~


SEASON:05終了後、25日にカード能力の調整が行われました。
調整されたのは”気高き騎士”、”「悪の鼠騎士」イーブ”、”「双龍頭領」アオバ”の3枚。

この中で唯一環境に影響を与えたのは”気高き騎士”が先攻でも後攻でも使い易い2コストへと変更されたことなのですが、それ以上に環境に影響を与えた変更があります。

それはAIの学習です。

AIと戦うゲームであったZENONZARDではAIのプレイレベルは日々学習し進化しています。
この学習が一定間隔で更新されているのか、それともリアルタイムで更新されているのかは定かではありませんが、突然今までできなかったプレイができるようになるタイミングというものが存在しました。

その影響を受けたのが環境トップであった白単アンドロイドです。

環境当初、AIの扱う白単アンドロイドは除去カードで相手のミニオンを処理し、ミニオンを並べて盤面を作るというカードゲームのセオリーに順じたプレイをしていました。

しかしこのプレイは白単アンドロイドミラーでは正しいプレイではありません。

盤面に並んだミニオンに”データ解析”を撃ちこむことでシュナイデンを除去すればリソースカードである”オートメイカー”もまとめて除外され、メタリックスティードを除去すれば相手の”データ解析”自体も除外することができます。

そうして除外された枚数を確認することで相手の手札にある除去の枚数、リソースの枚数を正確に把握することができ、後は複数枚除外された相手の山札に対してリソース勝負をするもよし、ライブラリアウトを狙うもよしで安全かつ確実に勝つことができました。

白単アンドロイドは高いデッキパワーに加えて人間がAIに勝ちやすいというZENONZARDのランキングで理想的なデッキでした。

しかし公式発表で26.9%ものプレイヤーが使用したこのデッキの学習は非常に高いレベルで進みます。

このデッキ同士での正しいプレイ、それは盤面にコスト5以上のミニオンを残さないことです。

場に出したシュナイデンもメタリックスティードもベースにしまい、デッキから5コストカードも7コストカードも引ききるまで何もしなければ”データ解析”はただの重たい”ビームスマッシャー”となります。

このプレイをAIが学習しました。
自分も相手もミニオンを並べずにカードただただ引いているとどちらが先にカードを引ききるかというゲームになります。

つまりデッキを引ききるほどのロングゲームをして勝率はどちらが先に引ききるかの5分です。30分ゲームをしてその結果はコイントスです。

もしこれが対人間とのゲームであれば全員がこのプレイを理解しているわけではないので白単アンドロイドは依然変わらず最強のデッキだったのでしょうがZENONZARDはAI戦です。

同系戦のあまりの不毛さに白単アンドロイドの人気は急速に失われました。

そうしてRANKING~SEASON:06~が始まります。



クリボーが勝手に!


白の後、ランキング勢の目に留まったのがです。

環境当初、赤への評価は決して高くありませんでした。

目玉の召喚獣はアタック時に2体にBP-200であり単体で破壊できるミニオンのサイズは心もとなくデバフ程度しかできません。

1段階進化した時点で得るのはドワーフへの”襲撃”付与。
すなわち手札からそのターン出したドワーフ1体にしか効果の意味がありません。複数体並べても効果のあるムーンクイーンとはその性能に雲泥の差があります。
なおかつドワーフはエルフと比較してプレイアブルなカードが少ないです。

最終形態になるとブロック不可を得るためそこそこ強いのですが他の召喚獣が1段階目でかなりの高性能となることを踏まえると扱いにくいドワーフを参照するこのカードの評価は見るに堪えないものでした。

そして同じく評価が低かったのが”サモンゴレイム”です。

このカードは「アルカナ」つまり召喚獣がいることて効果が変わるサイクルの赤のカードです。
このカードの当初の評価を説明するために先の白単アンドロイドと緑単エルフに採用されている同サイクルのカードと比較してみます。

白のサイクルカードは”データ解析”先ほど説明した通りゲームのフィニッシャーになりうるほどの強力なカードです。

そして緑は”射撃訓練”。召喚獣がいればフラッシュタイミングで使用できるようになるため攻撃ミニオンをそのまま破壊することで防御手段になります。
そうでなくてもレストはできるが破壊が苦手な緑にとっては貴重な除去手段です。

しかし”サモンゴレイム”は自分のフィールドが上限になるまで、つまり5体になるまで「S・ゴレイム・トークン」を出すというもの。

そしてトークンとシナジーがあったのがレアの召喚獣”「ロックの召喚獣」レッドスパイダー”で

1段階進化するとトークンを毎ターン出すため盤面が2枠埋まってしまいます。そうでなくとも召喚獣が場に残っているような状況では他のミニオンも残っている可能性が高いため平均して2,3体しか出ないだろうと考えられていました。

であれば2体しか出ませんがトークンのサイズが一時的に強化され盤面0の状況でもフラッシュで使用できる”ゴレイム部隊召集”の方が防御カードとしても優秀だろうと考えられていました。

つまりこの”サモンゴレイム”のデザインは順調に召喚獣を展開して押し込んでいる時はほどほどの出力で攻撃と防御ができ、対処された後にも盤面をすぐに埋め尽くすことで召喚獣を失ったリスクを軽減できる。
そういったデザインのカードだと考えられていました。おそらく開発チームもそういった意図でデザインしたカードだったのでしょう。

しかし環境が進む中で気付かれました。召喚獣とか無視して盤面空の状態で撃ってしまえば1:5交換カードなんじゃないかと。

マジックであるためフォースにケイローンを採用すれば4コストで仕様できるこのカードはまさに暴力。
先攻3ターン目に出てくる5体のミニオンは相手にブロッカーがいようとも確実に相手のフォースを破壊することができました。

ですが3枚しか採用できないカードに3ターン目の動きを全て託すようなデッキは流石に安定しません。
そこで”「大召喚士」ラス”を採用し、効果で選ばれないDP2でフォース破壊性能が高く対処が難しい”「ラスの召喚獣・人」サムライ”によるサブプランを用意することで”赤単サモンゴレイム”というアーキタイプが誕生しました。

このデッキの魅力はその構築自由度の高さです。前述の通り赤は目玉の召喚獣が微妙な性能であり進化させるうまみがありません。
そのため白や緑のようにデッキ内に特定の種族のミニオンをある程度入れるという必要がありませんでした。そのため構築のバリエーションが豊富で

除去カードを多めに採用したミッドレンジ型。

フォース破壊後に”「ゲームマスター」茅場晶彦”を安全に走らせ同系にも強い制圧型。

ブロックで対処されるラスすらも捨て、ゴレイムを多く採用することでトークンで攻めるきるウィニー型と様々な構築が存在しました。

成立の遅さからAIに対策プレイを学習しきられていなかったこのデッキは、そのバリエーションの豊富さもありSEASON:06にて多くのプレイヤーに使用されました。



この木なんの木気になる木


多くのプレイヤーに赤が選択され白が減ったSEASON:06。そんな環境のメタゲームの勝者となったデッキがあります。

それは”緑単ツインホーン”です。

選ばれず、かつ相手を一撃で屠り去ることのできるDPを獲得できる”「双角樹」ツインホーンツォーク”はEVOLVE登場当初から注目されデッキは組まれていました。

受けるダメージを1点軽減することは得意な緑ですが召喚獣は高いDPを持ち、複数攻撃したりDPが非常に高く成長したりと環境前半では1点の軽減程度ではどうしようも無いデッキばかりでした。

しかしSEASON:05にて最強の白がそうした打点の高いデッキをことごとく殲滅し、SEASON:06にてその白すら数を減らし代わりに出てきたのがDP1のトークンで殴り殺そうとしてくる赤です。

ツインホーンとのコンボで登場したレアの召喚獣”「ラバーの召喚獣」ユグシル”はツインホーンに貫通を与えるには最終進化させなければなりませんが、最終進化をするとBP700となり赤のメガトンハンマーに破壊されずダメージも軽減することができます。

赤の人気の高いメタゲーム変化のなかで前シーズンではそれほど活躍できなかったデッキが注目されSEASON:06で結果を残しました。


ランキングシーズンの長さもあり、EVOLVE期は総じてAIの学習を中心に人間の扱うデッキが変わっていくZENONZARDならではのメタゲームの変遷をたどることとなりました。



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