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見えなくても泣き寝入りするな

また視覚障碍者周りで不穏な話を聞いた。

トイレットペーパーのホルダーが壊れてしまったので便利屋みたいな業者を呼んだら
ろくに道具も持っていないような人が二人来たそうだ。
1時間くらいガタガタ治して一人につき2万円、トータル4万円請求されたとか。

それが何日もしないでまた壊れた。工務店をやっているランニング仲間の晴眼者で私
が密かに「特殊工作員」認定をしている匠が見に行ったところ10分で修理完了。
匠は話を聞いて必要そうなものをちゃんと持ってきていた。ビスとか何とか必要経費
は300円くらい。
匠は実費だけもらうと言ったけど、直してもらった人は深く感謝して
せめてでもと1000円払った。
10分しかかからなかったのにもらいすぎたかなと笑っていた匠、いい人だ!!

こういう人もいる一方、できもしないくせに4万円請求する輩もいる。


見えないと何をやるのも見える人の何倍も手間がかかる。役所に訴えるにも消費者セ
ンターに訴えるにも連絡先を調べるだけで大変な労力だ。

音声ガイド付きの演劇を見に行くにもマラソン大会にエントリーするにもウェブから
申し込めない人がたくさんいるので必ず「できない人はここにメールしてください」
という案内がある。そのくらい多くの視覚障碍者がウェブを使いこなせていないとい
う事だ。
ちなみに私もその一人。頑張ればできるかもしれないが、失敗してスポーツ大会にも
お芝居にもエントリーできなかったなんてシャレにもならない。
見える人にお願いできるのならその方が確実なのだ。

写真も撮れない。録音するにしてもボイスレコーダーもスマホも音声で操作しなけれ
ばならないから相手にバレる。

だからとてここで泣き寝入りしたらやつらは味を占めてまた障碍者をターゲットにす
るだろう。


当たり屋にあった友達もいる。彼女が相談した全盲の弁護士さんは、視覚障碍者にわ
ざとぶつかってけがをしたから治療費を出せという人は一人や二人ではないと言って
いたそうだ。

故意ではなくてもスマホを見ていたり不注意でぶつかってくる人もいる。
こういう時に安易に「大丈夫」と言ってはいけない。これは外国旅行に行くときにア
ドバイスされたことと同じだ。

アメリカなどではワインボトルを持っている人がわざとぶつかってボトルを割り、弁
償しろと高額な請求をしてくるケースがあるから気をつけろと言われた。

こういうアクシデントは突然やってくるのですぐには対応できない。だから普段から
「こういう場合はこう対処する」と心に決めておく必要がある。


盲学校では弱視でも白杖を持つように始動される。
視覚障碍者は車道に飛び出そうが信号を赤で渡ろうが、人にぶつかろうが回避できな
いとみなされているから「ぶつかってけがをした」なんて因縁をつけられても白杖を
持っている限りこちらが賠償金を払う必要はない。しかし杖を持っていなければ自己
責任になるので杖なしでも歩ける弱視も持つように指導されるのである。

これは白杖を持っていれば何をやってもいいという事ではない。
実際今日も信号を探していたら「もう赤に変わってますよ」と言われた。
音声が鳴っていなかったので赤なのはわかっていたが、どうやら私は、横断歩道を探
しているうちに知らずに渡ってしまっていたらしい。

全盲の友人も何でこんなにクラクションがうるさいんだと思っていたら、歩道を歩い
ていたつもりが車道の真ん中を堂々と歩いていたそうだ。

見えないとこんなことが日常的にあるので交通法で「白杖御免」が許されているのだ



話は戻るが、ぼったくりやら詐欺やらは障碍者より高齢者の被害が問題になっている


友達のお父さんは急に使っていたPCがいきなり真っ黒になったから焦って「ここに電
話してください」という所に電話してしまった。
すると何万円分かのアップルカードを買って番号を教えろと言われたそうだ。
家族が見つけて事なきを得たが、今は銀行はチェックの目が厳しいしクレカはすぐ止
められてしまう。だからアップルやらアマゾンのカードを買って番号を教えろという
詐欺があるようだ。


見えない人は数字が見えないからこの手の詐欺には合わないだろうけど、とにかく面
倒でも何でも泣き寝入りだけはしない方がいい。

これは障害の有無は関係ない。お金も戻ってこないかもしれない。それでもヘルパー
さんに手伝ってもらってでもなんでもとりあえずそこの業者が問題だという事を役所
なり消費者センターに訴えることが寛容。


お陰様で私は今日の横断歩道の人みたいないい人にばかり出会っているけれど、明日
は我が身かもしれない。気を引き締めねばと思うと同時に、街中で親切にしてくれる
人たちの善意には改めて感謝の意を表したい。

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