【完全妄想】岩政大樹監督 就任までの空白の一日

2022 年8月7日、鹿島アントラーズはレネ・ヴァイラー監督の退任を発表し、翌日に岩政大樹コーチの監督就任が発表された。
退任発表と同日ではなく一日遅れての監督就任。
この、監督不在の空白の一日に何が起こっていたのか、完全妄想してみようと思う。
(※)タイトルにも記載しておりますが、あくまで「完全妄想」なので、その前提でお読みいただけると幸いでございます。

1. 2021年のザーゴ監督解任と相馬監督就任

今年の空白の一日を妄想するにあたり、避けて通れないのが昨年のザーゴ監督から相馬コーチ(当時)への監督交代である。この話を振り返らないと今年の話が進まない。
当時、ザーゴさんの解任を決めたフロントは相馬さんへ監督就任の打診をするのだが、就任を受けるか断るか即決を求められ、相馬さんは受諾。
結果、チームをうまく立て直し、相馬さんの代名詞とも言えるコンパクトなサッカーで巻き返しを図りリーグは4位まで順位を押し上げるも、結果的には無冠に終わり、シーズン終了後に退任となった。
ここで見逃せないのが「即決を求められた」ことである。
フロントの要望通り、相馬さんが即決で受諾したことにより、この年のニュースリリースはザーゴさん解任と相馬さん就任は同日に発表された。

2. 2022年のヴァイラー監督退任と岩政監督就任、そして空白の一日

 そして迎えた2022年、シーズン序盤は鹿島に帰還した鈴木優磨とエースに成長した上田綺世の強力2トップという強みをフルに活かしたサッカーで優勝争いの中心にいたと言っても過言ではなかったが、エース上田綺世の移籍により最大の強みが失われ、結果としてディフェンスラインや中盤のバランスの悪さや脆弱性が露呈してしまい、優勝戦戦から脱落した。(まだ優勝の可能性は残されているものの、あまりにも非現実的である)
当然、時期は若干違えど昨年と同じ轍を踏む形となり、ヴァイラー監督と双方合意の上で契約解除した鹿島フロントは、岩政コーチ(当時)に対して相馬さんと同様、即答を求めたであろうことは容易に想像がつく。
だが、ヴァイラー監督退任が発表された8月7日、新監督就任のリリースは出なかった。
この日、私は「もしかして岩政さん、監督就任を断った?」と想像した。
(同じように感じた鹿島サポは多数いると思われる)
理由は上記の通り。昨年と同じ流れなら、岩政さんが監督就任するなら同日に発表されるはず。それがないということは、以下3パターンが考えられた。

①そもそも、岩政さんに監督就任のオファーが出されていない
→プロチームのコーチ自体、今年が初めての岩政さんをいきなり監督に据える、しかもシーズン途中で。というリスクを考えると、当然考えられた選択肢ではあった。だが、一方で今年のコーチ陣の組閣を考えると「もしヴァイラーさんがダメだった場合」も想定されていたとする場合、第一候補が岩政さんであったこともまた事実である。
②岩政さんがオファーを断った
→上記①で言及したリスクを岩政さん側が懸念して、オファーを断った。
これにより、鹿島フロントは別の監督候補を探さねばならなかったため、同日リリースが叶わなかった。
(前述の通り、私はこの可能性が高いのではないかと考えていた)
③なんらかの原因で、同日には岩政さんの就任発表ができなかった
→結果的にはおそらくこれが正解だったのだと思う。
同日ではなく翌日のリリースとなったのだが、この一日のラグが本稿のタイトルにもある「空白の一日」である。

3. 「空白の一日」に何が起こっていたのか

繰り返しになるが、本来鹿島フロントとしては昨年同様岩政さんにも即答してもらい同日リリースしたかったものと思われる。
となると、空白の一日発生の原因は岩政さん側にある、と考えるのが妥当である。
ここからは"私から見える"岩政さんの性格や嗜好からの完全妄想であるが、岩政さんが「何かしらの交渉・調整をフロントとした」と考えている。
では、何を調整したのか。これを妄想するにあたっての前提条件として、以下2点を挙げたい。
・昨年、同様にシーズン途中にコーチから監督へ昇格して、チームを立て直しゲームの内容も改善した相馬さんですら、シーズン終了後に退任した。
・鹿島アントラーズは「すべては勝利のために」という名のもと、勝利を義務付けられたクラブであること
・・・この2点から容易に見えてくるものは、「チームを立て直すだけなら来シーズン以降の続投は難しく、道半ばでチームを離れることになる(かもしれない)」という懸念である。
この辺りはメルカリが株主となり、諸々の意思決定のスピードが従前とは比較にならないほど早くなっていることも要因の一つであり、またノンビリとチームを作り上げていても先を行っている他クラブに追いつけないのでは、という懸念もクラブとしてはあるだろう。

こんな状況でのクラブからの監督就任オファーに対して、岩政さんならどう考えたか。
ただでさえプロクラブでは実務経験のない自分が、長年選手として過ごした古巣とはいえ使い棄てられた場合の未来のキャリアに影を落とすことは、容易に受け入れられるものではなく、ましてや即決なんて論外だ、と感じたのではないか。
そこで、岩政さんは「空白の一日」で言わば"監督就任の条件"のような形で以下のような目標設定/中長期的なクラブのビジョンについてフロントと調整して目線合わせをした上で監督就任にOKを出したのではないか、と妄想している。

・今シーズンのリーグタイトルを取れなくても許容すること
・来シーズン以降の巻き返しのため、残りのリーグ戦も使いながら戦術の落とし込みや戦術と各選手との親和性の確認、からの来年も残す選手の選択、といった、言わば「未来への投資」にも使うこと
※昨年の相馬監督就任時と異なり、残留については問題なさそうな貯金を前半戦に作れていたことは、この条件にOKを出す後押しになったと考えられる。 

おそらく、これまでの鹿島フロントであれば上記条件提示にNOを突きつけていたはずである。今回も初めはそうだったかもしれない。
なぜなら、鹿島アントラーズは勝利を義務付けられたチームであり、「勝たなくて良いからチームの形を作ることを優先してくれ」という選択はせず、「勝ちながらチームの形も作ってくれ」というチーム" だった"から。
(今回も「天皇杯は取れ」という条件になっているかもしれない)
だが、私の妄想上ではこの条件を鹿島フロントは飲んだ、と考えている。
これは元々鹿島フロントに「ローマは一日にして成らず」かつ「二兎を追うものは一兎をも得ず」という思考があったのか、岩政さんがその思考をするよう説き伏せたのか、いまだに内心納得していないもののそれでも鹿島フロントはどうしても岩政さんを監督に据えたかったのか、理由はわからないが。
ちなみに私も岩政さんの意見(私の妄想上の、ですが)と同じ考えをしており、今優勝争いをしている川崎も横浜も長い年月をかけて今のサッカーの成熟があり、広島は今年新監督が就任したとはいえ、昔から欧州路線のチームであり、ミシャ→森保さん時代の可変フォメをはじめとしたモダンな戦術を採用していた、という地盤があった上でのスキッべ監督の仕上げの結果が現在の躍進だと考えている。
対して鹿島は個人主義なサッカーで、選手の質の高さで殴っていくサッカーで覇権を握ってきたチームである。
顕著なのが3連覇した時期の中盤である。小笠原満男を筆頭として、本山雅志、中田浩二、野沢拓也、ダニーロ、青木剛、増田誓志、遠藤康、(中後雅喜、船山祐二)といったメンバーが何も言わなくてもお互いを補完し合う、相手からすると規則性がないため掴みどころのない、なんなら若手だったとはいえあの遠藤康に対して「判断悪いな」と感じてしまうぐらいのレベルの高さを誇っていた。

だが、時代は変わった。
それだけのポテンシャルのある選手、特に鹿島で若くしてチームの中心になれるような選手は程なくして海外に行ってしまう時代であり、「質で殴る」ことが非常に難しくなった。
事実、まさに今年も質で殴れていたものの、上田綺世という「質」を失ったチームは勝ち星を落とす試合を増やしていった。
(それでも彼の移籍後にリーグで負けたのは横浜・川崎・広島ぐらいであり、このチームの持つ底力は決して悲観すべきレベルではないのも事実である)
また、今年に限らずここ数年川崎に勝てていないこと、ミシャ時代の浦和にもなかなか勝てなかったこと、森保さん時代の広島にも結構負けていたことから、戦術的に上回ってくる相手はここ10年強苦手にし続けていることがアンサーではないのかと個人的には考えている。
それでも古き良き「鹿島らしさ」を大事にして目の前の一戦必勝を積み重ねた先にタイトルがある、というスタンスを継続するのか、新しい風を取り入れて今までとは違う形で鹿島アントラーズというクラブを進化させて未来の勝利を掴み取っていくのか。
私個人にとってはどちらも「すべては勝利のために」というビジョンから全くブレておらず、どのルートを通って山頂を目指すのか、というだけの話であるが、これまでの流れを見ると従来スタンス継続ルートはやたらと厳しく険しい道程に見える。一方新しい風を取り入れるコースはこれまで通ってこなかったルートなので、自分達にどこまで合うのか、どれくらいの時間で登れるのか、そもそもその道が山頂までちゃんと繋がっているのかすら分からないルートなのだ。また、そのルートはすでに他のクラブが何年も前に登り始めているルートであり、今さら後ろから追いかけて追いつけるの?という懸念もあるだろう。

それでも鹿島は岩政監督のもと、後者(新しい風を取り入れるコース)を選んだ。
だから、岩政監督はメディアの取材に対して堂々と言い放ったのだ。(と、私は妄想している)

「(川崎戦の)試合前のミーティングで常勝の看板は下ろして良いと言いました」

4. あとがき、追伸(近年の複数年優勝クラブの共通点と未来への展望)

本稿の主旨はここまでで全て書いたので、ここからは余談となる。
ここ数年で複数年優勝しているクラブといえば広島(2012、2013、2015)と川崎(2017、2018、2020、2021)だが、この2チームと言えばどちらもミシャさん→森保さん、風間さん→鬼木さんと、タイトル一歩手前の下地のあったチームを監督交代によってさらにアップデートしてタイトルを獲得してきたのだが、それだけではない。
広島には森崎和幸や青山敏弘が、川崎には中村憲剛や大島僚太がいた。
(川崎は中村憲剛が引退し、大島僚太がケガがちでもタイトルを取り続けているが)
この事実は、おそらく外から見る以上に大きいはずだ。
かつて鹿島の中盤に小笠原満男がいたように。

鹿島の中盤も彼らとスキル面で大きく劣っているとは思えないが、「チームの心臓」と呼べる選手はいない。
今年CBが中心である三竿健斗をカウントしても心臓には一歩足りず、サントスであれだけ愛されているディエゴ・ピトゥカですら「心臓」としては合格点を与えられない。
前年以前を考えても、鹿島への移籍前のクラブでチームの心臓だったレオ・シルバ、永木亮太、白崎凌兵らをもってしても、「鹿島の心臓」には足りなかった。
もちろん前述の三竿やピトゥカはもちろん、名古新太郎や中村亮太朗、若手の舩橋や小川、来年ルーキーの下田栄祐、津久井佳祐(中盤もできるそうなので)から心臓が出てきてもらうのも重要だが、そろそろあの男が帰ってきてくれないものだろうか、と期待せずにいられない。

柴 崎 岳

・・・カタールW杯終わったらいい区切りよね?
真野ちゃんの仕事的にも、そろそろ日本に帰るのアリじゃない?
・・・東京からでも鹿嶋に通えるよ??

寡黙な東北人ボランチの譜系を下田くんに同じピッチ上で継承させられるのは柴崎だけやぞ!笑
(とはいえ過度な期待はしておりません、J復帰してもウチとは限らない時代なので・・・w)

という個人的願望は置いておいて、岩政さん就任までの空白の一日について、これまでの岩政さんの言動とチームの動きを見ていると、こんなやりとりがされていたんじゃないかなぁ、という完全妄想の記事でした!!
(無駄に5,000字近く書いてしまった・・・簡潔にまとめられるようになりたい・・・!!笑)







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