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未読の方が絶対読みたくなるように魔法少女育成計画シリーズの魅力を書きまくる

未読の方が絶対読みたくなるように魔法少女育成計画シリーズの魅力を書きまくる

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 本編の方では3年ぶりとなった「魔法少女育成計画」の新刊を読み終えました。数年待っただけはあり、文句なしの百点満点! 上下巻構成でまだ前半のみなのですが、過去の実績から絶対に最高の後編が待っていると確信できる出来。いかなる時も予想と期待を数倍上回った絶望と展開を仕掛けてくれるだろうとわかる積み重ねが違う。

 まほいくの楽しさって、まほいくでしか満たせないんですよ。出版社視点でみると、まずこの時代に黒が基調の表紙で売上があるだけでも凄い。それくらい黒くて雰囲気が暗い作品は売れなくなった。マルイノ先生のイラストがダークに映える綺羅びやかさであるのもありますが、それだけ読者が期待する「黒さ」を満たしてくれるのです。

 今回は、まほいくを未読の方に向けて何が凄いかの話をひたすらしていきます。

・読み始める前の高揚感

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 魔法少女育成計画は、基本的に16人前後の新規魔法少女(過去作のキャラが数名混じっている場合もある)が、なんらかの事態に巻き込まれて殺し合いや生き残りゲームを行う作品です。

 つまり、新刊を買う度に毎回キャラ紹介ページの見開きを眺め、今回はこのような魔法少女たちが、急な事故のせいで互いを殺し合うのか! 誰と誰が仲良くて、誰がどう裏切ったり、この能力とこの能力の相性が最悪だったりするのか! と一旦予想してから本編を読み進めます。

 新キャラだらけで行われるため、毎回どのキャラがどう進んでいくのか全く読めない。そして魔法の説明が無限に解釈できる書き方なため、本編での活躍も無限に想像できる。例えば先程貼った画像なら「魔法のミトンでなんでもつかめるよ」という料理のための可愛らしい能力が、文字通りなんでも掴んで投げることができるため戦闘でも最高クラスだったり。

・濃密な日常パート

 まほいくの登場人物たちは、なんらかの事態に巻き込まれて殺し合いさせられる前は基本的に平和な魔法少女として暮らしています。

 学生やOLだったりするのですが、大きな悩みが恋愛や友人関係であったり、これから命を賭けて戦うことを考えると非常に等身大な悩みを抱える。

 そして、本編開始前にだいたいのキャラクターの日常パートが入るため、感情移入や平和な状態でのお互いの関係性の把握を行うことができる。つまり、16人分の魔法少女としての役割や能力だけでなく、彼女たちの普段の少女らしい姿と性格が設定されている訳ですね。それを毎回行う。しかも最高に面白い。

 毎回16体の新キャラを用意することが、どれだけ大変な労力かは想像に難くないでしょうし、現にイラスト担当のマルイノ先生は、自分がデザインした魔法少女たちがガンガン死んでいくことに毎回耐えております。

 この日常パートのおかげで、16人の魔法少女たちは全員ある程度の出番が保証されており、明らかなカマセや捨てキャラが予想できないように。更には、まほいくは短編集が充実しており、そこで本編外での彼女たちの普段の日常を垣間見ることも。既に死んだりこれから他人を殺すキャラクターたちの平和な姿を、一冊の本として別に発売する。これも、まほいくならではの楽しみです。

・変わっていく関係性

 なにより、僕がまほいくの中で一番好きなのは、普段の日常では取り敢えずの友人や、なんとなくで付き合っていた関係性が、急に互いを殺し合う状況に突入したことで大きく変わっていくことです。

 このまま学生同士として絡んでいただけでは、お友達で終わっていた女の子たちが、死地に置かれることで、互いが本当に信頼しあっていたり、自分の命を賭けるほど相手が大事ではないことに気づいたり……。女と女(しかも魔法少女に変身すると全員強制的に顔が良い)の歪な関係と感情が無限に見れる……これが一番好きな点です!!!

・まとめ

 あと、洗脳系の魔法が決して友情や愛情なんかでは破れないの好きですね。魔法の効力は絶対なので。そういう非情な点が非常に良いわけですね。

 最近、ようやくKindle版で配信開始され勧めやすくなりました。新刊のペースも上がりましたし。まずは1巻目を読んでください。魔法少女という概念の説明が多いため、まだまだ物語の下地という感じではありますが、手探りゆえの無情さも詰まった良い一冊です。

 そして、話の土台と雰囲気を理解したら、次巻であるrestertに入りましょう。restertは本当に凄い。ここから基本が上下巻(または一冊がめっちゃ厚い)になっていくため、伏線の貼り方から各キャラクターの下積みや感情移入度、そして濃密に絡み合う女と女たちの関係と、それを無残に引き裂くような展開の連続は、必ずオタクの心を揺さぶります。

 まずは、この3冊を読んでください。


 魔法少女育成計画が大好きという話でした。

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