「鳴り響け "One Goal"」の巻

いよいよ明日
Jリーグ開幕。

他に先立って
ホームで初戦を迎える古巣ベルマーレは
「湘南」を背負って20周年。

自分が在籍したのはその2年目から5年目ですが、
その当時の同志が今季から復帰しています。
 

彼とは15年来
連絡を取り合ってきた仲だけれど、
このタイミングで初めて知り得て
いたく感激したことが。
   

あの当時
まだテクニカルの職務内容が曖昧な時代だったこともあり、
若さにまかせて手探りしていた駆け出しの自分。
練習生としてやってきた彼も初々しい高校生でした。
  
 
2年先にクラブに加わっていた自分は、
元日本代表のキャプテンでベンゲルさんの片腕も務めた
監督の孝司さんのサッカー観を自分のものにしようと、
メモと共に渡されたアーセナルの試合を
四六時中観続けていた頃で。

「戦術的理解の精進だけでは追いつかんな」
野球少年がサッカー小僧的感覚も肝に落とすべく、
仕事以外の時間も彼らが好むものや選び取るものを
自分のなかに置いてみたり、反芻してみたり。
 
音楽も然りで、
選手・スタッフ・下部組織の面々から
「モチベーションが上がるような映像を」と
リクエストされたときに、
選曲で迷わないためのストックを増やしておいたり。

「発信」にはまず
「受信」が肝要。
 
 
そうして出会ったのが
2000年のサッカー欧州選手権のサントラ。
まだAmazonやiTunesのない世界で
欧州盤のCDを探し当てたのは、
たしか渋谷のTowerRecordの片隅。
「イカ天」の審査員長・萩原健太氏の
素の姿を目撃できるほどの所蔵量は流石。

その日本盤には収録されていない1曲が、
自分のテーマソング的「座右のナンバー」に。
 

しばらくして 
件の彼が加入してたときには
チーム内で気に入られて多用しており、
数年後に自分が湘南を去る最期まで
ヘビーローテーションしていたものでした。
 
 
 
♪"One Goal"

All we need is One Goal.
One goal can do a lot of things
One goal can change the world
One goal can be your brotherhood
One goal is the score of your life.
All we need is One more Goal...

   
 
ポジティブなメロディとリズムもさることながら、
サッカーという勝負事に
生活のすべてをかけていた自分たちにとっては
「このゴールは人生のなかの1点でもあるんだ」
という一節が妙に身に沁みて。
 
「またあの曲が聴きたい」と
リクエストされるほど愛されたものでしたが、
新天地の仙台は古巣のライバルでもあるし
ずっと自分のなかだけの曲にしていたつもりだった・・・

ところが。
  
  
”石原選手がゴールした時の曲は、
以前の在籍時と同じ「ONE GOAL」です。
(直樹のリクエスト!)”
 
と、ベルマーレの公式Instagram。
 
 
「まさか、そこまで気に入ってくれてたんか」
 
思わず感極まって本人に訊いてみると
 
「あの曲はとても気に入っているので
 また使わせていただきました笑
 スタジアムで流せるように頑張ります(^^)」
 
 
自分が去ったあのスタジアムで
“One Goal” を鳴り響かせてくれていたということ、
21年目のあのスタジアムでも
“One Goal” を鳴り響き続かせてくれるということ。
 
苦しい時代を支えてくれた曲が
より多くの歓喜に繋がっていた・・・
という事実が、何とも嬉しく。

 
20年携わってきて、
「サッカー的なものが
 どこまで彼らとリンクできているか?」
と未だに自問を続けていますが、
Jリーグの歴史に名を残すストライカーと
共有する想いを改めて再確認できたような。
 
 
感慨深く耳をすませる
2020年シーズン前夜の
そんなひとときなのでありました。
 
 

相変わらず徹夜続きだけど
忘れられない想い出を
ここに記す

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