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ココロ・ドリップ2 〜自由が丘、カフェ六分儀で会いましょう〜

イラスト/vient様(株式会社KADOKAWA 刊)
https://www.kadokawa.co.jp/product/321412000263/

2015年03月刊。久々に、前巻から1年以内に続刊を出すことができた。

比較的、筆が乗っていた時期かもしれない。メインキャラが立ち、舞台がしっかりと整っていたので、あとは各話にゲストキャラを据えて、丁寧にストーリーを構築していった。

本作の目次を見ると、

第1話 スパイス・メモリ
第1.5話 美観街より愛をこめて
第1.75話 女神さまは見てる
第2話 わが夢はかくも愛しき

と、メインストーリーと閑話休題的な「X.5話」が半々となっている。
そればかりか今回は「1.75話」なんてものもある。

あとがきにも書いたが、元々は紅茶王子という新キャラをゲストに据えたエピソードを用意していた。しかしページ数の関係上、今巻に含めることが難しくなり、収録を見送ったのだ。
(原因は第2話、拓のエピソードを膨らませすぎたから……)

ただ、紅茶王子の話は3巻に入れることがほぼ決まっていた。この時点で3巻を刊行できることが決定するくらいには、本シリーズは結果を残せた、ということである。

本作でお気に入りのキャラクターは、なんといっても、1.75話が初登場の樫村遼吾。典型的な「勝手に動いてくれるキャラ」で、知磨や拓ともすんなりと絡んでくれた。懐の深さみたいなものを持って生まれてきた感じがする。おかげで、後のエピソードだけでなく、3巻でもしっかり活躍する。

1.5話、美観街、神田でのエピソードは、書いていて、ただ楽しいだけだった。彼らをひとところに集めて、そこにお酒があったらどうなるか……、深く考えるまでもなく、するするとシーンが動いていった。
この話、好きだと言ってくださる読者様の声も多くて、とても嬉しい。
作者としては彼らの賑やかな飲み会、敢えて混ざりたいとは思わないけど、日本酒を舐めながら隣のテーブルで眺めていたいような気もする。
ちなみに、神田にはモデルとなるお店がある。自由が丘に詳しい人なら、すぐに分かるかもしれない。

第2話では、作家としての拓の苦悩に触れた。
これまで主に知磨と日高にいじられるだけだった彼について、しっかりと向き合うことができた。ただこの話は非常に難しく、「兼業作家としての苦悩なんて、読者様にとっては興味が持てないのではないか」という思いが頭から離れなかった。それは事実かもしれないが、知磨と拓の関係性を核として組み上げることで、なんとか読みやすくするように心を砕いた。

彼らがすれ違ったり、ぶつかり合ったり、苦しみながら向き合ったりするシーンを書きながら、なぜか自分を客観視して、
「……なんだか遠くまで来たもんだなぁ」
なんて、わけのわからないことを感じていた……、ことを今思い出した。

本作、カフェ六分儀の店主である日高については、要所要所で適切な働きをしているものの、少しばかり影が薄いことは否めないかもしれない。
が、次の3巻ではそれを取り返すべく、いろいろと頑張っているのだが……。

2巻を書いてる時点では、作者的にも日高は依然として、どこか摑みどころのない、「本音を見せてくれない」キャラだったのだ。

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