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移動運用100物語 第1 ~ 5話

むかしむかし大昔に執筆した”移動100物語”をほとんど加筆せずに、数話まとめて掲載しています。稚拙な表現やむやみやたら出てくる感嘆符、よく解らない頻度で出てくる句読点なども、「大昔なんだって~」と、思ってお楽しみになってください。                 2024/03 Koji

第1話 蛇の話

 六甲山系に「東お多福山」という山があります。担ぎ上げしかできない山なのですが、東方向に大変良いロケーションです。山頂は草原になっていて、木立が少ない為、景色が良くハイカーもたくさん訪れます。アマチュア無線の運用に最適な場所なのですが、担ぎ上げなければいけないということで、場所は良いのに無線家が訪れることが少なく「穴場」になっております。山頂に辿りつくまでには「蛇谷」という名の造成地を通っていきますが、名前の通り蛇を見かけることがあります。

 真夏の朝早く山頂にたどり着き、6mでの運用をしっかり楽しんだあと、夕方暗くなる前に「蛇谷」を通って、山裾のバス停に向かいました。山道の横には、コンクリートで固められた大きな溝があり、その溝で蛇がはっておりました。気味の悪さ故、足下に落ちていたサッカーボール大の岩を投げると、蛇の胴体の丁度真ん中(腹?)あたりに命中し、蛇は動かなくなりました。人気のない山道を一人で歩く不安さ(当時は若かったので・・・)を蛇をいじめることで晴らしたようで、変なすがすがしさを覚えた記憶があります。
 自宅に戻ってしばらくすると、急に吐き気がおそって来ました。ついさっきまでなんともなかったのに・・・ 一吐きすると、何事もなかったかのようにすっとしました。炎天下ずっと山頂に居たからかも知れません。きっとそうでしょう。
 でも「ひょっとしたら、蛇のせいではなかったのだろうか?」と、今になって考えると、何となくそう思えてくるのです。
 移動運用に行くと、山道で蛇に出くわす事があります。いつ出会っても、やはりいい気持ちはしません。出会ったときには、昔みたいに粗暴なことをせずに、430メガのホイップアンテナを左右に振って「ひゅんひゅん」とやって追い払い、山道を横切って行ってしまうのを待つ様にしています。
 お化けUFOの類は、一切信じない人なのですが、蛇に凄いパワーがあるんじゃないかな?なんて子供みたいな事を時折話す事があります。
 移動運用時の殺生は、極力さけたいものです。


第2話 Eスポ

 6mをやっているものであるのに付き物の「Eスポ」があんまり好きじゃなかったりします。
 Eスポが出ると移動運用局はあまり呼んでもらえなくなることがしばしば・・・ ですが、それより大声でコールしてもなかなかピックアップしてもらえないのが悲しかったりします。
 Eスポが出ていい思いをした記憶は1回だけ・・・
 徳島の奥地、三好郡池田町(現在は三好市)に移動運用に行ったときだけです。
 大学1年生の時にバイクで鳴門大橋を渡って四国に渡り、池田の母方の実家でやっかいになりました。着いていきなり挨拶もそこそこにFT690と1/2λホイップ)を持って近くの山に行きました。
 何の気なしに
「大阪周辺の局が呼んできてくれるだろう」と、CQを出しました
が、うんともすんともスピーカーからはいわずでした。それでも数十回CQを出し続けていると、1エリア局から応答がありました。
 私と一緒の帰省の方かと思ったのですが、どうも様子が変です。
 私がいつもEスポで聞こえてくる局を呼ぶときのように、必死で呼んできてくれるではありませんか・・・
 おもしろいように次々お声がかかり、フェードアウト・・・
 2ワットにホイップアンテナでも楽しくできるものだなあ。
 と、ビックリしてしまいました。
 次の日、香川県の雲辺寺山にて同じ設備でQRVしましたが、Eスポは出ず、前の日とは違って寂しい運用になってしまいました。
 3エリア内で運用するのとは、全く違うEスポの楽しみ方が出来ておもしろかったです。こんな楽しみが出来るのも移動運用ならではかもしれません。
 でもそれ以降、Eスポで楽しい目にあったことが無くて
「Eスポ出そうだなあ!」
なんて時には、430MHzSSBに逃げてしまう軟弱ハムです。
 でも私のような人は、少なからず居るような気がします。(^.^)


第3話 ギャラリー

 移動運用は、人目に付くところで運用するもので、珍しがりの人たちがたくさんよってこられます。彼ら一般の人をどう扱うかはなかなか難しいところだと思います。ぞんざいに扱うと
「アマチュア無線家っていやな人だ!」
なんて風に思われてしまいますし・・・
 6mで東加茂郡移動での事
「1エリアまで飛ばしまっせ」と、友人に伝えておりました。
 その友人は律儀にも、三浦半島の某所に迎撃に行ってくれたそうですが、先客(6mマン)が居たそうでアンテナをたてるのを断念して、私と交信したかどうかを運用していた人に聞いたそうです。
 友人「JL3TOGって局 出てました?」
 某局「・・・」
 友人「愛知県東加茂郡からのQRVなのですが・・・」
 某局「知りません・・・(陰気に) 
    CQCQ こちらはJ*1***/1・・・(軽やかに)」
 場所を去ったあと
 友人の嫁(一般の人 有職主婦)
   「アマチュア無線家って無愛想な人が多いの? いやな感じっ」
 友人「割とそういう人多いかも・・・」
 友人の嫁
   「わたしはやりたくないわ(アマチュア無線を)」
 折角アマチュア無線の広報活動(?)をしているのですから、ギャラリーに、ちょっとは気を配りたいものです。
パイリアップをさばいているときには、なかなかそうはいきませんけどね。
 マイクの先の相手と目の前の相手とで話し方が違うっていうのは、端で聞いているとちょっとおかしいような気がします。
 人間同士のコミニュケーションという意味合いでは、無線機を介しても直接話しても同じ事・・・どちらの相手にも楽しく接したいものです。

第4話 硫酸

 移動運用は、自由に電気を使うことがなかなか出来なくて皆さん苦労して運用されております。
 私はバッテリーから電源を供給する方法で運用していますが、開局当時は我流でやっていたのでしっぱいもおおくやらかしました。
 乾電池で動作するリグFT690&290を所有していて、移動運用は乾電池を購入して運用しておりましたが、高校生に電池8本を移動の度に購入するのはなかなか大変でした。
 そこで、近くのガソリンスタンドでスクーター用バッテリー2個もらってきて電池替わりに使うようにしました。
 もらってきてはじめての運用は、どこだったか忘れてしまいましたが、たしか西宮の甲山だったと記憶しています。
 当時とっても気に入っていたオレンジ色のリュックにバッテリーと、ログやらリグやらを詰め込んで出発。
 到着後、リュックを開けると、なにやら液体でべっとりしていたのですが気にせずCQCQ。たくさんの方と交信後、帰宅しました。
 次の週、移動運用にいこうといつものリュックに荷物を詰め込んで背負って勢い良く立ち上がると、リュックの底が抜けて中身が散乱。
 リュックの中でバッテリーの硫酸がこぼれて、リュックの繊維をぼろぼろにしてしまっていたようでした。
 おまけに、移動運用の時に来ていた「CQロータリーハムクラブ」のお気に入りのTシャツ(FOXハンティングの商品)にも大きな穴が空いていてビックリしてしまいました。
 身近にある便利な道具も、取り扱いに気を使う必要があったりすることがあるのだ。と、悪い頭に刻まれた事件でした。
 それ以来、生バッテリーは怖くて使ったことがなかったりします。(シールドタイプは喜んで使っていたりしますが・・・)


第5話 中継局

 新しい運用地を開拓するときや、はじめて行くところでの運用の時、良く山の上に建っているNTTや電力、ガス会社の無線中継塔を目印にして運用地を目指します。良く整備された道がついていることがおおく、ロケーションも良く大抵の場合、いい思いをすることが出来ます。
 私が昔住んでいた阪神地区(芦屋)には、六甲山を中心にたくさんの山が連なっていて、移動運用に最適の山がたくさんありました。
 たくさんの山の中には、プロの無線塔が建っているところも多くていい目印になっておりました。
 西宮市に「大平山」という名の山があります。船越(ふなこし)峠という西宮・宝塚方面から有馬に抜ける険しい峠です。峠から少し入ったところにNTTの中継塔が建っていて、大変見晴らしのいいところに建っているため、阪神地区の市街地からならどこからでも見ことが出来ます。しかし不思議と「そこから運用したことがある」
と、いう話を聞きません。そこで「僕だけの移動ポイントに」
と、いってみることにしました。
 原付バイクで走ること40分”NTT船坂無線中継所”と、看板の立つ山道(舗装道)を20分ほど歩き、FT690のホイップアンテナを一気に伸ば
してスイッチオンっ するといきなりスピーカーから「ぎゃーーーーー!」というノイズ音・・・! ダイアルをどこに回してもだめでした。
 車で行き難い場所は、運用局が少ないのはわかるのですが、運用局を全く聴いたことがないところは、やはり何らかの原因があるものですね。
 六甲山系では、ここ以外にも私が知っている場所で2ヶ所ほどめちゃくちゃいい場所に中継塔が建っているところで、移動局を全く聞いたことがない場所があります。その2ヶ所にもきっと恐ろしい「訳」があるんでしょうね(^.^)


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