『試薬代理店営業マンの戯言』アドレノクロムについて

初めてnoteを作るのがこれになるとは思いませんでした。

初めまして、私にゃんますと申します。

身分を明かしておりますが、某大手試薬メーカーの代理店の営業マンをしております。

代理店とはなんぞや?というのはまた別な記事で説明するとして…

タイトルにもある通り、新型コロナウイルス流行以降でよく耳にするようになったアドレノクロムと言われる化合物について書いておりますが、巷で話題になってる陰謀論などを肯定するような内容ではなく、むしろ否定する内容となります。

では、そもそもアドレノクロムとは何?というところからですが、下記のような化合物になります。

・D,L-アドレノクロム(別名:3-ヒドロキシ-1-メチル-5,6-インドリンジオン)
 CAS:54-06-8
分子量:179.17(メーカーによって小数点以下の誤差の可能性あり)
分子式:C9H9NO3

上記のようにこんな感じになりますので、更に詳細な情報を知りたい方は、CASナンバーで調べていただくと論文なども出てきます。

そして、よく陰謀論がお好きな方が仰っているのが、国内だと富士フイルム和光純薬(株)が製造してるだのなんだのと。
ただよく見てください、そもそも製造元の品番が和光の品番と違いますね?

これ、僕らでもたまに間違える時はあるんですが、製造すらしてなくて単に輸入の取次をやっているだけです。
じゃあ、和光純薬が取り扱ってるアドレノクロムの製造元は?ってなりますよね。
これは品番を辿っていくと、カナダのトロントリサーチ社というところに当たります。
そしたらそのトロントリサーチが子供拉致って作ってんじゃないの?って陰謀論者の方々は絶対考えますが、そもそも人体から生成されるものは基本的に不安定な上、日本国内ではカルタヘナ法などの法によって、また国外でもそれに似た法で規制されています。
カルタヘナ法については各自でお調べください。

また、人からとれるものは生体試料として取り扱われますが、そんな事は和光純薬、トロントリサーチ社の両方ともどこにも書いていませんので生体試料では無いです。
隠してるんじゃないの?って言う人も絶対出てきますが、そもそもそれならこんな試薬として堂々と出してません。
また試薬や試料として使う以上は生体に投与厳禁ですので、よほどのバカしか直接投与しないでしょう。
それと、アドレノクロム自体が冷凍はされていますが、溶液として存在しており、溶質となるアドレノクロムを溶液にするための溶媒としてメタノールが用いられてるので、こんなもの生体に使うもクソもないでしょう。
アル中や本当のバカなら知りませんが。

また、陰謀論者の方々がよく富士フイルム富山化学(株)が製造しているアビガンと結びつけたがっていますが、富士フイルムグループ自体横の繋がりは非常に弱い企業なので、アビガンとどう結びつけるのかが分かりませんね。

価格についても、とあるYouTuberさんが上昇しているとご自身の動画で取り上げていましたが、そりゃ年度も変わったんだし値上げもあるでしょうが、と言いたいです。
アドレノクロム以外でもこの4月以降から順次値上げされてる試薬なんか山ほどあります。
それだけを見て「原料となる子供の奪還作戦が行われてるからだー!」とか、普通に考えて言えません。
むしろこの前ニュースになってたさんまにそれを言えよって個人的には思っちゃいました。

以上、僕が知っている事から反論材料として並べましたが、もし現役のケミストや分析者、バイオテクノロジーを学んでいる方で間違っている箇所、更なる反論材料を持ち込んでいただける方は大歓迎でございます。

また、もし陰謀論が確実だと言える証拠をお持ちの陰謀論者の方々も大歓迎でございます。

急に書きましたので、文章がおかしいところがかなりあると思いますが、そういった内容についてはこっそり教えてください。