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SNS上による誹謗中傷

陰謀論者シリーズにおいて医療従事者に誹謗中傷するアカウントについて取り上げたところ多くの反響がありました。そこで、SNS上による誹謗中傷について詳しく取り上げたいと思います。


誹謗中傷とは

警察庁によると誹謗中傷とは悪口や根拠のない嘘などを言って、他人を傷つけたりする行為です。つまり、「Aはバカだ」とか「永遠の眠りについてください」などの他人の人格を罵倒、侮辱する表現が誹謗中傷にあたります。また、🐎🦌などの絵文字や「氏ね」などの当て字、伏字を使ってごまかしても相手を罵倒もしくは侮辱する内容であれば誹謗中傷にあたります。

X(旧Twitter)などのSNS上で誹謗中傷とみられる書き込みをよく見かけるだけでなく、それによって自殺者が出たりと近年においては社会問題となっています。

ネット上に誹謗中傷が多い理由

ネット上に誹謗中傷が多い理由として次のようなものが挙げられます。

匿名性

Facebookは実名登録となっているが、XやInstagramなどのSNS、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)やヤフコメなどのネット掲示板などは基本的に匿名で投稿できます。

確かに匿名は個人情報保護の観点から有効ではあるが、上記のポストのようにこれを悪用して誹謗中傷にあたる書き込みするケースが見受けられます。

しかし、匿名であっても情報開示請求などの手続きを踏めば投稿者を特定することができます。匿名だからバレないだろうという安易な考えでやるのはやめてほしいと思いますね。

正義感

誹謗中傷と言えば嫌がらせというイメージがあるが、正義感でやっているケースもあるみたいです。

例えば、反ワク界隈においては医療従事者や感染症の専門家に対して誹謗中傷を行っている人を見受けられるが、彼らは「コロナワクチンは殺人兵器でワクチンを推進する専門家や投与した医療従事者は罰せられるべきだ」といった誤った情報による歪んだ正義感のために誹謗中傷を行っているのではないかと思います。

こうした誤った情報や陰謀論は敵対する者に対してブロックしたり、誹謗中傷とみられる書き込みをするなど先鋭化する傾向があり、問題視されています。

法的責任

SNSや掲示板で誹謗中傷とみられる書き込みが刑法に規定されている犯罪行為に当たる場合、以下のような罪に問われる場合があります。

  • 名誉毀損罪(刑法230条)

  • 侮辱罪(刑法231条)

  • 信用棄損罪(刑法233条)、威力業務妨害罪(刑法234条)

殺人予告を行うなど人の生命や身体に危害を加える旨を書き込んだ場合は脅迫罪(刑法232条)が成立しますし、「死ねばいいのに」などと暴言を書き込んだ末に被害者が自殺に追い込んだ場合は自殺関与罪(刑法202条)に問われる可能性があります。

事例

木村花

SNS上における誹謗中傷で有名なのは元プロレスラーの木村花さんに対する誹謗中傷ではないかと思います。

木村花 by Yoccy441 CC 表示-継承 4.0

木村さんは『テラスハウス』(フジテレビ)に出演したことがあり、その時の言動を巡ってSNS上で誹謗中傷を受けていました。そんな中、自傷行為を繰り返した挙句、2020年5月23日未明に命を絶ちました。ちなみに、自宅のリビングに遺書が発見されたことや硫化水素を発生させたとみられる薬剤の容器が見つかったことからSNS上の侮辱を苦にして自殺を図ったとみられています。

この事件で大阪府に住む20代の男性と福井県に住む30代の男性が侮辱の罪で略式起訴されたものの、どちらも9000円の科料だけしか刑罰を科すことができませんでした。というのも、この当時の侮辱罪の法定刑は30日未満の拘留もしくは1万円以下の科料しか課すことができず、刑法の中でも最も軽い罪であったことは確かです。ただ、誹謗中傷によって彼女の自殺を招いたという重大な結果を鑑みるとあまりにも軽すぎると言わざるをえず、侮辱罪の法定刑が「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」に引き上げられることになったわけです。

春名風花

「はるかぜちゃん」こと、春名風花さんもネット上の誹謗中傷に悩まされた1人といえます。

春名さんは子役時代にTwitter(現・X)を始めてから、社会問題に興味を持ち、数多くの主張を展開したものの、ユーザーからの反応は賛否両論となり、数多くの炎上や嫌がらせを経験しました。そんな中、2020年1月には兵庫県に住む男性がTwitterで春名さんに対して「彼女の両親が失敗作」とツイートしたことで名誉を傷つけられたとして横浜地裁に提訴したものの、加害男性が約315万円を支払う内容で示談が成立しています。

男子高校生

最後に逮捕された事例を取り上げます。

2015年7月ごろから東京都に住む無職の少年が滋賀県内の男子高校生に対して「さまざまな女ユーザーに迷惑行為を行い、最終的にはそんなことをやっていないと逃げ惑っている」などと誹謗中傷する内容を書き込み続けました。被害生徒は2016年9月下旬に父親と一緒に甲賀署(滋賀県甲賀市)に相談したものの、翌日に「ごめん俺、もう無理や」という遺書を残して自殺しました。その後、加害少年は名誉毀損の疑いで逮捕されています。

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