見出し画像

陰謀論者(15):法輪功

中国発祥の気功集団である法輪功について取り上げてみました。中国政府から弾圧を受けていることから反中・反共のスタンスを取っているものの、法輪功系のメディアの一つとされている大紀元時報では反ワクチンとみられる記事を掲載するなど陰謀論に乗っかっている側面もあるみたいです。

法輪功とは

法輪功(法輪大法)について簡単にまとめると

  • 「真・善・忍」の3つの基本理念を柱とした道徳的な哲学と緩やかな気功動作・瞑想の実践を組み合わせた中国発祥の気功集団

  • 仏教の道徳、徳の修養、気功法を重視しているがその教えには道教の伝統的な要素も含まれている

  • 創始者は李洪志で1992年に中国・長春(吉林省)を拠点に普及活動を開始した

  • 世界各地で法輪功を学ぶサークルがあるものの、無料で気軽に参加できる。そのことから中国本土で急速に普及し、1999年初頭には約7000万人の学習者(修練者)を抱えるほど勢力が拡大した。

  • しかし、急速な拡大や宗教的な要素が含まれているといった特異性などから中国共産党にとっては危険視され、1999年に1万人の学習者が中南海(中国・北京市)にある陳情受付所に押し寄せる事件が発生したことをきっかけに法輪功に対して激しい弾圧を行うようになった

  • 中国政府からの大弾圧(迫害)によって、中国本土にいた数百万人以上の法輪功学習者が投獄され、2019年時点で少なくても4363人が亡くなったとみられる

  • 駐日中国大使館によると法輪功のことを「中国のオウム真理教」と説明されているが、明確な組織体制がなく、緩やかなネットワーク集団となっている。ちなみに、オウムは尊師である麻原彰晃を頂点としたピラミッド型の組織で尊師の命令は逆らうことができなかったりと法輪功とは異なる。

という具合にあくまで宗教的な要素を取り入れた気功集団にすぎないといったところです。

大紀元時報

法輪功系のメディアとして大紀元時報(The Epoch Times)や新唐人テレビ、明慧ミンフイなどが挙げられますが、特に知られているのが大紀元時報ではないかと思います。

大紀元時報のサイト

大紀元はエポック・メディア・グループが発行する多言語メディアで2000年5月に法輪功関係者によって創刊しました。基本的に反共のスタンスを取っており、チベット民族やウイグル民族などの少数民族に対する人権蹂躙や中国共産党による国外スパイ活動などの中国共産党政権の闇について暴く報道に定評があります。また、法輪功系のメディアということから中国本土における法輪功の迫害問題にも力を入れているみたいです。

ただ、Medhia Bias/ Fact ChackにおいてはQuestionable Sourceと評価されています。

編集方針から中国関連記事に対して中国共産党政権を痛烈に批判するのは分かるが、上記のポストのように親トランプとみられる発言をしたりと右に傾斜していると思います。

ただ、ナワリヌイ氏の死去に対して、プーチン政権に責任があることを報じている点は評価できることからZero HedgeやNatural Newsなどの一般的な陰謀論サイトとは一線を画すといえます。と言っても、ウクライナの侵攻があったにも関わらずロシアと中国が仲がいいだけでなく、中国政府による法輪功の弾圧に協力したりと法輪功自身がロシアを嫌っていると思いますね。

臓器狩りとQアノン

大紀元が陰謀論を報じていないかというはそうではなく、2020年米大統領選においては終始トランプ前大統領を擁護したり、新型コロナウイルスは流行当初から武漢ウイルス研究所(中国・湖北省)から流出したと主張し続けているといった感じです。なお、後者についてはその可能性は排除しないものの、直接的な証拠は発見していないことが報じられています。

また、法輪功は親トランプの立場であることからQアノンと親和性はあったのことは否めないと思います。Qアノンは「世界規模の児童買春組織を運営している悪魔崇拝者や児童性愛者らによる秘密結社(カバール)が世界を裏で支配しており、ドナルド・トランプが密かに戦っている」といった陰謀論で中国の違法な臓器狩りにリンクするような内容だといえます。

しかも、法輪功学習者も臓器狩りの被害にあっていると主張していることもQアノンを信じやすくなっているのかなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?