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憲法と条約どっちが強い?

憲法は国の最高位に位置するルールです。
法律を作ったり条約を締結したりするとしても、憲法の規定に違反することはできません。
憲法は最高法規なので、憲法に適合する内容でなければならないのです。
憲法に違反する内容の法律や条約は無効です。

よく意見が割れてるのを見るのでここに説明しておこうと思いました。

前置きとして、憲法と条約についてどちらが格上かという論議自体がそもそも無意味です。
条約は国際的なもの、憲法は国内のもので、カテゴリが違います。
なので厳密に比較する、ということは出来かねるんです。

本題に入ります。

国内での話に限定するのであれば、条約の発効には

➀批准 (条約に対する国家の最終的な確認、確定的な同意)

②国会での承認

➂国内の法整備(必要な場合)

という過程をとります。

国会の承認が必要で法整備が必要である以上、現実的には憲法に反する条約を批准することは不可能です。
国内で通常の法律である条約よりも憲法のほうが上位の概念になります。

通常は条約締結前に国内法(特に憲法)とすりあわせをし、矛盾のないようにするのでどちらが格上か問題になる場面はほとんどありません。
また、多国間条約であるから一国の法律よりも権威があると言うことは特にありません。

条約は国内法とは違って相手がいるものなので極力尊重はされますがそれだけです。

憲法に書かれていることに反する条約を他の国や機関等が無理矢理締結させることは出来ません。
内政干渉は出来ないということです。
また、自国の憲法で守れなさそうな条約に対しては、憲法に反しないように自分の国の中でも守れるように留保や付帯事項がつけられます。
それでも守れなさそうな条約は締結しません。
(国会の承認を得られないから締結出来ません)
つまり、憲法によって元々の条約を締結するかどうかを判断したり付帯事項をつけたりするので、憲法の方が優位にあると言えます。

外務省のサイトのスクショで説明します。
『締結した条約は国内法としての効力を持つ』とあります。

憲法は我が国の最高法規です。
条約が国内法としての効力を持つとあることから、やはり憲法が条約よりも上位であると分かります。

『条約が法律に優位するもの』と書かれてるので勘違いする人がいるようですが、法律と憲法とは違うものです。

そもそも憲法に合わない条約を締結することはできないということからも、条約よりも憲法が上位であると分かるかと思われます。

外務省のサイトリンクが埋込み出来ないのでそのまま貼ります。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/9605kaito/5b_002.html


ところで、条約が憲法より上位だと主張する人が、よく砂川事件を例にあげてます。
統治行為論は条約が憲法より上位だからという理由ではありません。
民意(国民)を優先した考えであるということです。

こちらの動画を見てもらうと、条約が憲法より上位であるというものではないということが分かると思います。


また日米安保条約については問題点がある条約です。


問題のある条約を持ち出してまで条約が憲法より上だと主張する人は何が目的なのでしょうね。



ここまで読んでもらったら、憲法が条約より上位であると理解できたと思います。

憲法は最高法規


第九十八条
この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

条約については98条2項にあるとおり、
『誠実に遵守することを必要とする』だけですよ。
憲法尊重遵守義務の方が強いんです。

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