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【積まれプラを崩せ】悲劇の機体・ミカエリスと向き合う時が来た

 時はガンプラブーム。
 「水星の魔女」放送時にブームは最高潮に達し、ガンプラ棚は今以上にスカスカだったのじゃ。
 新しい水星キットが出るたび行列ができ、素性のわからなかったシュバルゼッテやキャリバーンですら予約完売になる有様。
 安定供給がなされた今からしてみれば考えられない狂騒の中、それでも売れ残ってしまったキットがあったそうな。

 それはご存知、ミカエリス。
 こいつが売れ残ったのには考えられる理由がある。
 まず、憎まれ役だったシャディクの専用機だったこと。
 傲慢な噛ませ犬から第三の主人公に上り詰めたグエル、エアリアルをつけ狙いスレッタを誘惑するもその途中でノレアの想いを知り受け止められるようになったエランに対し、シャディクは最後まで汚れ役のまま。ミオリネに未練タラタラなのもキモいと言われたりして……
 また先発のベギルベウからあまり変わり映えのしないワンオフ機なのも祟った。部下のベギルペンデの方は複数買い需要が出て人気があったが、ミカエリスは1個あれば十分。
 そんなわけで、ミカエリスは全国のガンプラ売り場の壁を一色に染め上げることになってしまった。
 いつでもどこでも買えるガンプラの代名詞的存在となったミカエリスに向き合おうと思ったのは、2期後半のダリルバルデとの大立ち回りとそれを再現できる拡張セットの販売が契機なのじゃ。
 やっぱあのベストバウトを完全再現できるとなったら、欲しくなるのは世の常というものだ。

 ところがこいつはただ組むだけだとモールドが少なく、ややのっぺりとした機体になってしまうのだ。
 そこで塗装とスミ入れを追加し情報量を増やしている。本当はデカールとか貼るといいのかもしれないが、デカールを貼っていないダリルバルデと並べたときの統一感を出すためにそのままで仕上げた。

 頭部センサーやクリアパーツで覆う肩や脚の部分にはホイルシールを貼っている。
 ホイルシールに対し苦手意識を持つ人も多いと思うが、綺麗に貼れるしクリアパーツでカバーしてしまうので剥がれも気にならないので、塗装よりも効果的だったかもしれない。

 組んでみたフィーリングとしては、水星HGというより鉄血HGに近しいものを感じた。
 足が珍しくフレーム構造になっているのだ。
 最近のバンダイが推すC型ジョイントでの改造性を切り捨ててはいるものの、四肢の軸穴は共通規格なのでカスタマイズが出来ないわけではない。30MSにもポン付けできそうじゃ。
 また、異端なデザインにも目がいく。水星世界で広く流通しているディランザやデミトレーナーに比べると、白亜の騎士を彷彿とさせる外見はまさに異端児だろう。

 右腕は取り外してリード線で繋いで伸ばすことができる。
 ミカエリスのゲテモノ感の一端となっているであろうギミックだが、これは一時期のアナザーガンダムであった伸びる腕(アルトロンとかドラゴンとか)の伝統なのかもしれない。

 水星HGきっての「イロモノ」「不人気キットの代名詞」といわれるミカエリスじゃが、こうして組み立ててみると正統派なかっこよさがありなかなか味のあるキットに仕上がっていることがわかる。
 一見コワモテだけど、付き合ってみるといいやつ感がある。
 しかしなんといっても2期での大立ち回りが忘れられないので、プレバンの拡張パーツを取り付けてダリルバルデと並べるのが楽しみだ。
 週末にさっくりと組み上げられる程度のボリュームなのも魅力のひとつ。
 悲運に見舞われた白亜の騎士は今でもガンプラ売り場であなたを待っているだろう。
 悲劇に思いを馳せながら、騎士と向かい合い、新たな魅力を見出す週末もオツなものだ。
 

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