不倫の代償
何かと『不倫』ネタが世間を賑わせている日本。
このタイミングで日本語訳が出版された、その名も
『不倫(原題:Adultery)』
ブラジルで最も影響力のある作家の一人と言われるパウロ・コエーリョの新作はエロティックな不倫もの....ということで、2年前アメリカで英語版が出版された時も少し話題になっていた。
ストーリー
スイスのジュネーブに住む主人公のリンダは、大成功した夫に愛され、可愛い子供、ジャーナリストとしてのキャリア、最高級のアウトフィット、と誰もが羨む贅沢な日々を送っている。そんな生活とは裏腹に、情熱に欠けた毎日に孤独感を抱えている。
ある日、リンダは取材で高校時代のボーイフレンド、ジェーコブと再会する。政治家となった彼は、「きみは幸せなのか?」とリンダに聞き、その質問にリンダは、失われていた情熱が再び湧き上がるのを抑えられず、二人は刺激と情熱を求めて情事を重ねていくようになるが....
実は、英語版が発売されてしばらくして手にとってみたのだけど、正直、世界中で300万部売れている、というのが信じられない。
リンダに全く感情輸入できないし、他人のダーティーな秘密を『覗き見』しているようなワクワクやゾクゾクはなくて、スポイルされた中年女のどうでもいい鬱屈とセックスに延々と付き合わされるだけだった。
もしかしたら原文のポルトガル語だったら、もう少し面白いのかもしれないけれど。
リンダは、ジェーコブとのアブノーマルな関係に中毒状態になり、次第に理性と自分を失っていくのだけど、最後にはある結論を導き出す...
という、肝心の過程も突拍子もなくて、とってつけた感が満載。
なぜ、このクオリティ....?
最近、日本でも不倫で世間から責められている人も多いようだけど、不健康な関係というのは、一番手痛い形で本人に返ってくるものだ。
それは、自分を見失う、ということ。
ときには、大切な人も失う、ということ。
そして、こっち側の世界に戻ってくるまでに、膨大な時間とエネルギーを浪費する、ということ。
人間は過ちを犯す。それでも、なんとか自分を取り戻して、歩み続ける。人生とはそういうもの。
という著者のメッセージは分かったけど、巨匠の物語より、実際のゴシップの方がよほど面白い、というのは悲しい。
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