4/27の手紙

泣きながら電話したら、
「月見える?いま同じ月を見てるんだよ」
って言ってくれたね。
そばにいてくれるみたいで
うれしくてさみしくて、よけい泣けた。
こんなふうに泣いて電話してごめんね
と謝ったら、
どんなに謝っても謝り足りないのは俺の方だよ
って言ってたけど、二人でしていたことだから
二人ともごめんだったんだよきっと。


一緒にいたころも、私が
「今日は満月だから月を見てね」とか
「今日の星はすごく明るいよ」とかLINEすると
喜んで見てくれてたの思い出す。
素直に見てくれる君が大好きだった。
すごいね!きれいだね!って
電話してきてくれる君が大好きだった。
同じものを見て、感情を共有できて、
すごくしあわせだった。


何でも一緒に食べたいし、
何でも一緒にしたいし、
どこへでも一緒に行きたいね。
いつもそう言ってくれてたね。
冷えたコンビニのおにぎりでも、
売れ残りのお弁当でも、
二人で食べればごちそうだった。
クリスマス、仕事が終わらなくて
コンビニでやっと買えたパサパサのチキンでも
おいしいねって笑いあえた。
あんなにもしあわせな時間、
もうこないんだと思うと、毎日が怖いよ。


あのね、毎日さみしいよ。
毎日朝起きて、この毎日が夢ならいいのにと思う
でも、消えてしまったのはあのしあわせな毎日で。
あっちが夢だったのかなと思うくらい
しゅわっと一瞬で消えちゃった。

君にとって自分が
どんどん特別じゃなくなっていくのを
ひしひしと感じてつらいよ。
特別なのはずっと変わらないよって
ずっと登場人物だよって君は言ったけど
私もいつかCGになるのかなって思うと、
生きるのが怖いよ。


君の頬についたまつ毛を、
いつものクセでとろうとしたらいけないんだよね。
プリンを同じスプーンでひとくちあげるのも、
だめなんだよね。

ねえ、さみしい。
こんな世界は、意味があるのかな。
多くは望んでなかったつもりなのに
欲張りになってたのかな。
私が失敗したのかな。
私が迂闊だったのかな。
そんなことはどうでもいいね。
ねえ、とにかくさみしい。
君の目にもっと映りたい。
何でも話してほしい。
私が君のいちばんの相棒でありたい。
ねえ、さみしい。その席だけは私に残して。


もう緑のアイコンはつかない。
君から来るのは職場のチャットと
社用携帯からの電話だけ。


さみしい。
自分も消えてなくなってしまいたい。



大好きなきみへ
今日も、心からの愛を込めて。






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