4/25の手紙

今日は何してるかな。仕事の山を片付けて、
夜はまた友人と食事をするのかな。
変異ウイルスのせいで感染者数がまた
ぐっと増えてきたから、
外食でなくても気をつけないといけないよ。

これを、直接伝えられなくてもどかしいな。

ねこちゃんは元気かな。
今日もまたベランダから
お隣さん家のお庭を見下ろしてるのかな。



今日わたしはね、
『きみに読む物語』を観たよ。
君が良い映画だって言ってたから。
ノアとアリーみたいに、
わたしたちも出会ってすぐ、
どうしようもなく惹かれ合ったのを
思い出して泣いた。

火がついたみたいだったよね。
今まで見ていた景色が、
途端にカラフルになって、
どんなに話しても、どんなに笑っても、
どんなにくっついていても、
ちっとも飽きなかった。
あのまま一緒にいたかった。
あんなふうに最期を遂げられないことは
わかっていたけど、
それでもずっと一緒に笑っていたかった。


それで手紙を書いてる。
君を想うのをやめられないから、
行き場のない感情をこうやって文字にする。
たとえ今君がこれを読まなくても、
あんなふうにいつか
君に届くかもしれないと思って綴る。


ほんとはすごく落ち込んで、
ごはんを食べる気もしない。
疲れているはずなのに、
寝ても何度も目が覚めるよ。
君からの連絡なんてないに決まってるのに、
起きたらすぐスマホを確認してしまう。
それでやっぱり何もなくて、
また悲しくなってひとりきりで眠る。


このままじゃ朽ちてしまいそう。
でも、できるだけうつむかずにいようと思った。
こんなわたしを知ったら、きっと君が悲しむから。
鼻のところをくしゃっとして笑う顔が
大好きだって言ってくれた君の前で、
ずっと笑顔でいたいから。


だから、君が教えてくれた本や映画を、
ひとつずつ吸収していこうと思った。
君を形づくったものたちを感じたくて、
君の感情が動いたものを知りたくて。
でも君と気軽に
共有できない距離になってしまったから、
君の目に写った世界を感じてみることにしたの。

君に触れるみたいで、じんわりしたよ。



今はまた、世界がモノクロになってしまった。
いつか君が、あの日みたいにまた
この世界を色づけてくれることを願ってる。


大好きな君へ
今日も、心からの愛を込めて。




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