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Mt.富士ヒルクライム2019

 今年もMt.富士ヒルクライム、通称富士ヒルに参加してきました。富士ヒルといえば日本における最大規模の草レース。この大会での記録がアマチュアライダーの実力を測る一種のスケール(だと思っている)。私の初めてのヒルクライムレースが富士ヒルだったこともあり、個人的にも富士ヒルのタイムが実力のベンチマークとして地位を築いています。
 初出場の2016年が89分、2017年が74分と毎年着実に記録更新を続けていましたが、2018年は調子が悪くて中間地点で勝負を投げ出してしまい、完走はしたもののどうでもいいタイムになってしまったので、次こそは万全の状態でと再戦を誓っていました。つまり今大会は雪辱戦でもあったのでした。

◆大会前

 6月7日金曜日。日曜日に控える富士ヒル本番よりも、オタクにとって重要なイベント『コミケ当落発表』の日。夕方になるとTwitterのTLが一気に盛り上がります。私もその一人で、今夏のコミケも無事当選しました。いまから頑張って本を作らなければなりません!……が、その前に富士ヒルです。気持ちをコミケモードからサイクリストモードに切り替えます。同人活動と自転車趣味の両立は大変です。

 金曜日の夜に一気に遠征準備を整え就寝。土曜日は4時半に起きて5時から行動開始です。いままでは横浜からマイカーで富士吉田に通っていましたが、今年からは神戸から朝イチの飛行機で上京してからの富士吉田入りになります。金も時間も体力もマシマシでキツい……。
 富士吉田は会場に到着し、受付を済ませます。たくさん並んでいる出展ブースを流し見していると、ふと目に止まってしまったものがこれ。

 カンパニョーロ純正のチェーン切り。新品箱無しでなんと半額!喉から手がでるほど欲しかったあこがれの工具が半額で目の前に…!あわわわ……。でも1万5千円なんてポンと出せるような金額じゃないよ。無理無理、貧乏人の僕には買えないよ……。

 ……買いました。御布施御布施。カンパニョーロはいいぞおじさんだからね。しょうがないね。後で帳尻あわせ頑張れ未来の俺!ちなみに、高級工具の感触はやっぱり最高でした。ハンドル一回回しただけでわかる高品質。買って良かった。とりあえず飾りにします(ちゃんと使います)。
 思わぬ散財会場をしてしまった会場を離脱し、ステーキガストでドカ食い。

 これは前回の不調が熱量不足だったからではないかという反省によるものです。本番前夜のドカ食いで好成績が出るのは、昨年のハルヒルと今年の伊吹山でも証明されているので、今回もきっとこれでいけるはず。その後は宿に移動していろいろ支度。マシンはもちろん今年完成し伊吹山でも獅子奮迅の活躍を見せてくれたEQUILIBRIUMちゃん!高級機材信仰の強い私にとっての最強の切り札!210万円パワーで明日は暴れ回るぞ!

◆大会当日

 4時ちょっと過ぎに起床。Twitterを見ると会場付近にいる人達が雨が降っていると言っている。私のヒルクライムレース連続無降雨記録が終焉を迎える日になりました。残念。でも雨が降ろうが我々には関係ありません。一緒に宿泊したふぃりっぷ先輩も「台風でも走る」と言っています。さすがに私は台風だったら無理かなw

 会場に到着するとしとしとと小雨が降っています。預け荷物はギリギリまで悩みましたが、レインのトップスは預けずに着込んで、スタート直前に畳んでポケットに入れて登ることにしました。ウォーミング優先です。待機場所に自転車を置いて、じっとしていたくないので体温維持がてら知り合いに会えるか期待しながらCブロックの周りをうろうろ。この待機時間中にローラーを回せる人が羨ましい。スタート前にはtakeruさん、すなどり猫さん、雪ミクkyuさん、しばいぬさん、ひぎつねちゃんと挨拶できました。せっかく神戸からはるばるここまで来たので、横浜時代に知り合えた関東近郊の皆さん(すなどり猫さんは違うけど)と会えたのは本当に嬉しかった。関東だいすき。スタート時刻が近づき、お互いの健闘を祈りお別れ。さあ、レースが始まります。

◆レース本番

 Dブロックのスタートを告げる号砲が鳴り響き、パレードランが開始。位置どりとかなにも考えず、とりあえず目の前の人に着いていく。路面は完全にウェット。雨は小降りのまま。アナウンスによると、5合目付近は視界10mらしい。厳しいコンディションだけど、やれることをやろう。
 計測ポイント前のコーナーから加速。まずは落ち着いて自分のペースに乗せる。長丁場になり、標高も高い富士ヒルでは序盤のオーバーペースは禁物。周りに流されず心拍をずっと観察し、ほどほどを維持。1km, 2km地点は走りに集中してて見逃したけど3km地点でペース表を見る。今回用意したペース表は70分ジャストのペース。伊吹山の記録からすると68分ぐらいは狙えそうな実力らしいけど、なにぶん持ちタイムが2年前の74分なので68分のビジョンが浮かばない。そんなわけで70分を目標に据えたのだ。で、3km地点の通過タイムはペース表より30秒以上前倒し。とりあえずいいペースみたい。5km地点では約1分前倒し。辛さはまだまだ無い。いけるぞこれは。
 序盤の比較的斜度強めの区間が終わり、中盤になると斜度が緩めになる。上手い人たちはここでトレインを編成してかっ飛んでいくらしいけど、私はヘタクソなのでそういうのはしたくてもできない。後ろから凄い勢いで追い抜いていく人を見送ったり、前から落ちてくる人を千切っては投げをしていく。ひとり息を切らせながら頑張って後ろに付いてくる人がいたので、「がんばれ!後ろついてていいんで!」と声を掛けてあげたらお礼を言われ、しばらくの間エスコート。でも降ってきた格下の大きめの集団をパスするためにちょっと踏み込んだら彼は消えてしまった。アディオス。
 レースは後半戦。蓄積する乳酸や薄くなっていく空気の影響で、オーバーペースだと辛くなってくる場面。前回はオーバーペースじゃないけど試合放棄したところだ。でも今年は全然平気。もちろんペース相応に疲労はしてるけど心拍もパワーも安定して出力できている。ペースはずっと70分のペース表の1分前倒しを維持したままだ。これなら69分いけそうか?わくわくしてくる。
 富士ヒルのコースは全体としては24kmだけど、ゴール前の2~3kmはほぼ平坦になる。なので21km地点ぐらいで一旦登りが終わるのでそこを目指してペースアップ。私の調子がいいのか、それともたまたま周りにへばった人しかいなかったのかわからないけど一番ゴボウ抜きした区間だった。奥庭駐車場を通過し、登りきるかというところに3人の集団。ギリギリで抜き去って平坦区間に入り加速したが、隣の集団先頭が私以上に鋭く加速。張り合ってもしょうがないので先に行かせる。前から2番目の選手が私に「ここ入って!」と間をあけてくれていたけど、霧と雨で視界が悪くて集団が怖いので「行って行って」と遠慮し全員前に行かせる。私は怖いのでその集団から2車身ほど間隔を開けてついていく。素人丸出しである。最後のトンネルに入るとゴールまで登坂スプリント!そしてフィニッシュ!お疲れ様でした。

 5合目はもう滅茶苦茶寒い。さっさと預け荷物を受け取り、レインウエアを着込み、ちゃっかり無料のラスクを食ってから第1グループの下山クラスタで下山開始。雨でブレーキの利きがガタ落ちしていたので、登りと同じぐらいじゃないかと思っちゃうぐらいのペースで命からがら下山。リザルトを発行してもらうと、タイムは68分39秒!リベンジ成功!万歳!

 下界の気温はちょっとマシになっていたけど、それでも震えが止まらない。うどんを食っても薬物中毒者みたいに震えるので急いでクルマに戻って暖を取り、一命をとりとめました。こんな辛い下山はあんまりしたくないですね。

 以上のような感じで今年の富士ヒルが終わりました。公式リザルトは年代別72位/924人、男子総合217位/6964人です。昨年の雪辱を晴らし、目標の70分切りも楽々クリアでとりあえず満足。神戸に来てから会うのが難しくなってしまった人とも挨拶ができて楽しかったです。神戸から遠征してくるのは一苦労なので、2020年はハルヒルは出て富士はいいかな~と思ってましたが、両方出たくなりました(そのかわり伊吹山はもういいかな)。ゴールドはまだ難しいと思いますが、いつの日かそれを手にする日を夢見て。 了

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