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ハッピーライヴ ショウアップ!のコンセプトを読み解く【ネタバレなし感想】

ハッピーライヴショウアップ(以下、ハラショウと呼称)をプレイしました。

『"Next Generation" FAVORITE』と謳い、ブランドロゴデザインも一新。生まれ変わりを目指した本作がどのようなコンセプトを持って誕生したのか、ゲームの感想を交えつつ独断と偏見で考察してみました。
ネタバレなしのつもりですが、物語のざっくりとした構成やキャラクターの核心には無関係な発言などでもネタバレだと感じて忌避するような方は閲覧されないほうがいいです。


目次
・制作陣営の雑感
・ゲームの中身の雑感
・ハラショウはFAVORITE製のキャラゲー

制作陣営の雑感

ハラショウ発表直後から話題になったのは何と言っても新しい顔ぶれとなったシナリオライターとメイン原画。
シナリオはゲームシナリオとして初のメインを務める高山大河氏。アス永遠のPSvita版ではサブとして参画していたとのことですが私は未プレイで未知数。
本作で蓋を開けてみると、テンポよくサクサク読めるテキストを書かれる方でした。

メイン原画を務めるのはFAVORITE初登板のベコ太郎氏。私が他作品で拝見したのは『見上げてごらん、夜空の星を』と『ニュートンと林檎の樹』。

入部したいです

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あとpixivでも時折拝見してました。同人ではお〇らし系が多いのでハラショウでも期待してましたが、ルーだけだったので私は残念に思いました。

背景美術はさくらもゆから継続のわいっしゅ氏に加え、ひつじろーむ氏などの参画で雰囲気が変わったなという印象。

SD原画はFAVOではおなじみ、ウルトラキュートなSDを描くミズタマ氏。最の高です。

CGチーフはFAVORITEの裏ボス氷山あずき氏。塗りや色彩設計のおかげでFAVORITE品質が担保されていると言っても過言ではないと私は思っています。

BGMもおなじみ忍氏。さくらもゆに匹敵する膨大な曲数を一手に引き受けられました。通常のフルプライスの倍はあるので訳が分かりませんね(いいぞもっとやれ)。

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BGMといえば、今作はロシアンテイストということでロシア民謡が3曲、チャイコフスキーが10曲、ラフマニノフが1曲、アレンジ曲として収録されています。クラシック曲のアレンジは過去作ではアス永遠Finaleでベートヴェンの悲壮が2曲ありましたが、ハラショウでは曲数多く、特にくるみ割り人形は出番も多くて大活躍でしたね。

歌唱曲のアーティストはボーカルの鈴湯氏、山本氏、作曲の小高氏など継続組と、新規組の半々ぐらいで、この比率はいつものFAVORITE。
曲数は4曲。アス永遠の6曲、もゆの5曲と比べて減少してしまいました。惜しい。

歌唱曲については何と言っても主題歌の『MAGICAL∞SHOWTIME!!』がすごい!ミュージカル調でジェットコースターのように目まぐるしく雰囲気が変わり否が応でもテンションが爆上がりするデュエット曲。OPサイズでもぶっ飛んでるのにフルバージョンでさらに覚醒!フルバージョン未視聴の方はぜひ聴いてみてください。神曲です。今はゲーム買わないと聴けないけど。でもこの曲だけで2000円ぐらいペイできてると思う。

声優陣は攻略ヒロイン6人のうち3人が新規組。継続組は3人中2人がエースヒロイン経験者(真紅、クロ)。サブキャラの女性陣には石川さんや相葉さんなどが起用されており、いつものFAVORITEといった顔ぶれ。


ゲームの中身の雑感

まずはキャラクターから見ていきましょう。
攻略対象ヒロインは6人。衝撃的なのはエースヒロインを務めるソフィアがT158, B95, W65, H88という中背巨乳(!?)であるということ。星メモから大事に受け継がれてきた小柄貧乳の聖域たるFAVOエースの座がNext Generationになって陥落してしまった。これはいけない。ほら、クロのB75ですら大きすぎると声をあげる紳士の集う従来FAVOファンが泡を吹いて倒れているぞ。
あと今作は隠しヒロインが事前に「???」と名前を伏せて公開されましたね。プレイしてみると正直名前を隠す意味があったのかよくわかりませんでした。呼び方に困るので隠さないでほしかったなと思いました。

サブキャラの友人ポジションのジャンは傑作キャラとして推したいですね。あまりにも有能すぎて男でも惚れるわ。
残念だったのは『幼女枠』が無くなってしまったこと。

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FAVOの幼女といえばキャラクター人気投票でもメインヒロインの中に割って入るほどのカルト的な人気をどのタイトルでも獲得するゴールデンポジションでありプレイヤーの生きる希望であることは既知の通りですが、ハラショウではまさかの空席。これはいけない。ほら、ソフィア√のエピローグに出てくるモブ幼女にガチ恋してしまうオタクが続出してるぞ。はやくなんとかしないと。

主人公は星メモ以降の作品の中で一番明るい性格になったなという印象。まあ過去作の主人公が陰キャ揃いということもありますが。
アキト君はセリフに"!"がわりと与えられ、ハキハキと喋ります。成り行きですが集団のリーダーに抜擢され、経験不足を自覚しながらも必死にリーダーとしてあろうと努力する様子がよかったです。
反面、動揺したときなどに「あう………」と口に出してしまう精神面の幼さが引っかかりました。彼の境遇を考えると弱さがあるのは仕方ないかもしれませんが、主人公はもっと毅然としてほしいという個人的な願望があります。主人公がかっこいいゲームは名作の条件だと私は愚考するのでした。

システムはゲームエンジンを一新。美少女万華鏡のシステムを元にしたそうで、待望のバックログジャンプを会得。特に不満は無し。強いて言えばバックログ画面の表示がちょっと重いかなと思いました。

舞台のライカスクはウラジオストクを元にした架空の都市。まさかの国外です。舞台探訪をライフワークにしている一部の人は絶望しました。初見のときはなぜにロシア……と困惑したものです。
作中にはロシア文化や生活様式がちょこちょこと登場します。おそロシアネタもあって面白かった。もっと多用してほしいぐらいです。

作中の彼らは基本的にラーシャ語(ロシア語)で会話してるわけですが、とあるキャラが「付き合って」の意味を間違える場面があり、ロシア語でそんな勘違いなんて起きるのか?と引っかかったけど気にしたら負けだと思って我慢しました。

ストーリー構成は共通√の第一幕、個別√へ分岐する第二幕の二部編成。
第一幕は予選のライヴまで続く結構長めのストーリー。第二幕はマーブル鉄道旅行とグラングラードでの本戦まで+後日譚。
エースヒロインのソフィアが他ヒロインより倍近く長い事実上のグランド√。おそらくソフィア後に解放される???√は短い準ヒロイン的な扱いでした。私的にはソフィアを普通ボリュームのストーリーにして???をオーラスのグランド√にしてほしかったなぁ…。最後が短いと蛇足感が拭えない。
公式が「今作は過去最長!」と煽っていましたがボリューム感としてはアス永遠と同じぐらい?さくらもゆには及びません。もゆ級の長さだったら逆に困ってた。

演出は従来とあまり変わり無し。強いて言えばアナザービューの切り替わりがわかりづらかったので改善してほしい。
あと、見せ場であるライヴ本番はもっと頑張って描写してほしかった。というのは『冥契のルペルカリア』の舞台の演出があまりにも良すぎて未だに印象に残っているので、これに負けないぐらいのものを魅せてほしいという願望があったせい。FAVOにもできる。がんばれ。


ハラショウはFAVORITE製のキャラゲー

『FAVORITEがキャラゲーを作ったらどうなるか』という回答がハラショウだと感じたのが、今作の総評です。
個別√に入ってからは、従来はシリアスな過去と向き合っていくところを今作では恋愛重視のストーリー展開になります。ここから起きるトラブルも色恋に起因するものが多い印象です。鬱展開はほとんど無く、喧嘩があってもすぐに解消するなど明るい雰囲気を守ろうとする姿勢を感じました。
反面、従来ならここをもっと深掘りするだろうなと思うところに突っ込んでいかないのが惜しいと思いましたが、キャラゲーだと思えばまあこんなところかと納得はできます。
各ヒロインはそれぞれ魅力的だし、読みやすいテキストもキャラゲーにマッチしています。今後もこの強みを生かした作品を期待したいです。

いままでシナリオ重視だったFAVOがNext Generationでキャラゲーにコンセプトを転換した狙いはユーザー層の拡大…とりわけ若い層へのアプローチでしょうか。
昨今の美少女ゲーム市場はゆずソフトを筆頭にキャラゲーが存在感を放っている印象で、プレイヤーも若い層に勢いがある雰囲気を感じます。
さくらもゆの感想を追ってみると、いにしえのオタクは涙に溺れて感動している一方で若いオタクが読み切れずにギブアップしていく姿も珍しくありません。いにしえのオタクは雑食が多いのでキャラゲーでも食べられますし。
オッサン化の進む私にとってはちょっと寂しい気がしますが、ソシャゲに流れないだけマシかなとも思います(八月お前のことだぞ)。

次回作ではエースヒロインが貧乳小柄になり幼女枠が復活することを祈って、ここで筆を置きたいと思います。


追記 私はロリコンじゃないよ。

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