PuzzleGP2020 Round6

※本記事の内容及び公開につきましては、JPF(日本パズル連盟)に確認済みです。

こんにちは、にょろっぴぃです。

少し前になりますが、PGPの日本ラウンドが開催され、作問を担当しました。まさかの1ヶ月延期がありましたが、何とか無事に開催されて良かったです。以下、少しだけ運営の話と、自作の話をします。

少しだけ運営の話

競技パズルに普段参加されている方であればすぐに分かると思いますが、今回の作問は、普段のJPFのイベントとは作問者が大きく異なっています。今回はJPFから委託を受ける形で、去年のPGP上位者で作問を担当しました(私と青木さんはJPFの問題を作問したことがありますが、他の3人は初です)。作問内容はほぼ自由です。パズラバなど、JPFスタッフをやっているということで一応私が主担当でしたが、私がやっていたのはJPFとのやりとりを担当したぐらいで、実際の作問などはほぼ共同作業でやっていました。

問題ですが、久々の日本ラウンドということで、Japaneseと付く問題をテーマにしました。これはpanistaの発案です。Japanese sumsのようにJapaneseの方が定番で、それに合わせる形でsumsが作られたものも、ハニーアイランドやcolumn danceのようにそもそもJapaneseバリエーションが初出のものもありました。ジャンルのバランスは取りつつ、基本的には各自が作りたいものを作りました。問題数は実際の問題の多くがそうであった通り、Classic2問と、Japaneseバリエーション1問の3問セットで作っています。
なお、出題された問題ですが、最終的な内容や配点は、作問者やJPFではなく、WPF(World Puzzle Federation、PGPの主催団体)が決めています。

各問題について

Honey Islands

カジュアル枠。国内での高い人気に反して、海外の大会ではほとんど出題されません。
上位層殺しも兼ねて、闇のハニーアイランドを作ろうとも思ったのですが、ラウンドが全体難になりそうだったのと、ハニーアイランド嫌いを増やす訳にはいかないので、去年のJPCに続き、大人しめの出題にしました。

Japanese Honey Islands

理詰めで解けないハニーアイランドから一転、理詰めで解ける黒マスパズルになりました。すごいよハニーアイランド。先日のPre PGPの問題が比較的難しかったため、人によってはこっちのハニーアイランドの方が易しく感じるかもしれません。序盤はハニーアイランドの基本である「白マスは6マスつながり」を意識すると、黒マスが少しずつ決まって行くと思います。後半は本家ハニーアイランドのように、直感で引いた方が早いと思います。そこはあくまでハニーアイランドです。

おっと、ついつい、「ハニーアイランド」と6回も書いてしまいました。そう言えばハニーアイランドも6マスの塊を6つ作るパズルでしたね。読んでるあなたの脳内でハニーアイランドがゲシュタルト崩壊して来たら大変申し訳ありません。

Railways

1番が先に上がっていて易し目だったので、少し難し目に作りました。ただ、これで72点はかなりの配点詐称で、実際は半分の36点でもおかしくない位ではと思います。
引きを使いやすいパズルですが、きっちり理詰めでも解けるかと思います。入り口は右上からで、反時計回りに進んで行くのが作者の想定ルートです。数字のつながりと全マス通過による制約が強く、数字部分の二択を検討すると、一方は矛盾して進んでいくところが多いかと思います。

Japanese parking rot

大会ではマイナーですが、日本っぽいパズルをということでパーキングを出題することになり、バリエーションを担当しました。
作問時に意識したのはクラシックとバリエーションのバランスです。このルールならではの入口をということで、序盤はバリエーションルールメインで進んでいくようにし、逆に、クラシックルールでは決まらないようにしました(クラシックルールだけだと、初期配置から、おそらく1つも配置が決まらないと思います)。一方で、他のパズルでJapaneseルールが数多く使われていることもあり、特に後半はクラシックルールを重視しました。

海外ではマイナーなパズルであることを踏まえての配点だった感もあり、慣れている方にとってはこれも配点が詐称気味だったのではと思います。序盤はまずは車の位置ではなく、車が通るマスかどうかを検討してみましょう。最下段の33と右上の25あたりから車が通るマスが決まっていき、その過程で次第に車の位置も決まっていくかと思います。概ね、右下の方から時計回りに決まっていきます。

Easy as Japanese Railways

理詰めハイブリッド、かつ最高配点枠として作問しました。時間はかかるが、時間をかければ確実に解ける問題を目指した問題で、ルールの難しさとややサイズが大きい一方、局所的に難しい解き筋は入れていません。本来はEasy as ABC+Japaneseなのですが、BACAというパズルが既にあり、名前にJapaneseが入れられなくなることから、この形になりました(ちなみにこの「BACA」は日本語ではなく、トルコ語で煙突という意味です。去年の世界大会では「バカ」だけではなく「バカー」なるBACAAも出題されました)。

トケタvol.7で1問だけ作ったパズルで、本問制作時には、これ以外の出題はおそらくありませんでした。しかも難易度5。トケタの作問からそれほど経たずにこんなクソハイブリ…ではありません、このような素晴らしいハイブリッドパズルを作る機会が来るとは思ってもいませんでした。
上位層はトケタの問題で事前対策することが予想されたため、トケタの問題とは傾向を変えようと思ったのと、Easy as ABCのバリエーション枠で出題していたことから、Easy as ABCの比重を多めにしました。全体の配置が決まるまで、アルファベットの位置はほとんど決まらないのですが、最後の埋めパートで苦戦した方も多かったのではないでしょうか。

想定難易度は100~120点程度で、実際の配点は若干高めでした。ルール理解の難しさも込みでしょうか。作問に際し、難易度を下げるために初期版よりもいくつかヒントを追加しており、例えばRailwaysパートでは、4・7・9・15と4つもヒントを加えています。余剰ヒント警察に捕まってしまわないか、心配です。
特別な解き筋はありませんが、「各マスが「ループが通るマス」「黒マス」「アルファベット」のどれかになる」ということを意識すると解きやすいかと思います。初手は一番上の行からで、右上のマスにアルファベットが入らないので、アルファベットが入るマスがすべて決まります。


終わりに

以上、簡単ですが全体の話と、自作の解説でした。

ところで、上でも少し書きましたが、最終的なラウンドの内容や配点は、WPFが決めています。
twitterで、初月葉桜が「自作が32点しかない」と言っていましたが、逆に拙作は350点ぐらいあります。何と10倍以上です。担当した難易度の違いを踏まえても、差が大きすぎます。それ以外にも、パーキングだけ2問しかないことが気になった方もいるかもしれません。

そう、出題に際し、パーキングの1問をはじめ、いくつかの問題がボツになっているのです(逆に、個々の問題に対する修正は行われていません)。

問題数が増えていくにつれ、PGPのラウンドにしては分量が多くなることが予想されました。その一方で、作問メンバーでは一つの目標が出来つつありました。それは「(最強の参加者である)枝豆氏をフィニッシュさせないこと」です。上記のEasy as Japanese Railwaysを筆頭に、どれぐらい持ちこたえられるかが注目されました。
ところが、実際にはフィニッシュは勿論、過去最高点である1000点越えを達成されました。しかも、氏がとびぬけていた訳ではなく、他の参加者にもフィニッシュや今季最高点を次々と達成されました。これは、作問メンバーの完全敗北です。この結果をどう受け止めるべきでしょうか。

5月に行われたパズルボスラッシュで、特に終盤は出題ミスラッシュをやってしまったのですが、その際、今回の作問メンバーであるSP1がこんなことを言っていました。

「不備による詫びラッシュを所望する」


そうです。完全敗北には詫びをしないといけません。

幸い、上記のボツ問に加え、そもそもJPFに提出する前にボツにした問題もあります。詫びパズルには困らなさそうです。となると、詫びPGPをやらざるを得ません。

ということで、近いうちに、作問者有志により詫びPGP、改めPost-PGP(仮)を開催する予定です。もっとも、今週末には本家PGPやpre-PGP、さらには来週末にはJPF主催の夏休みパズル大会2020もあるため、開催時期はこれらのイベントとの調整になるかと思います。少なくとも、夏休みパズル大会後にはなるかと思います。

それでは!

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