WSC・WPC選抜大会2022

5月7日と21日に、世界ナンプレ/パズル選手権(ポーランドにて10月に開催予定。以下「WSC」「WPC」)に参加する日本代表を決める、代表選抜が開催されました。
コロナ禍の影響でここ2年は世界大会自体が中止となり、3年ぶりの開催となります。去年と一昨年も、内容としてはほぼ同じオープン大会として開催されていたものの、代表選抜としての開催は3年ぶりです。久々の選抜で何を考えていたのか、記録も兼ねて、忘れないうちに書いてみようと思います。

…と思ったら引っ越しの影響か、WSCの問題がなぜか手元に見つからず、ラップタイムが分からないため、こちらはやや簡略して書くことにします。

WSC選抜大会


〇事前準備
今年のGWは引っ越しで忙しく、直前に練習する時間はほとんど取れませんでした。そもそも、最近は競技パズル自体離れがちで、特にナンプレは、SGPなどの大会に参加する以外はほとんど解いていません(後述のように、WPC選抜大会は最低限の対策はしていました)。地力の上昇は見込めず、対策もここ2年の過去問を1回解いたぐらいしかしてない状況で、いかに選抜大会に臨むかを考える必要がありました。

元々、パズルに比べるとナンプレは実力が低く、世界大会への出場は2回だけです(WSCとWPCは同時開催のため、WPCの代表だけでも、オープン参加扱いで大会には出場できます)。どちらも、選抜大会で跳ねたというよりは、辞退者が多くて出場権が回ってきたといった感じで、他力本願なところもあったのですが、今年は参加者の層がやや薄く、うまくすれば代表権を取れるかもという感じがしていました。

〇インスト
パズル以上に難問に弱く、時間をかけても取れないリスクがあるので、基本的には低配点から取っていく方針。計算系は比較的得意なため、上から3つと、苦手な対角線を捨てつつ、倍数約数と斜めサムを確実に取って、残りは低配点からのイメージでいました。また、クラシックだけは高得点でも高効率になることが多いので(要は引ければ良いので)、クラシック3と4のうち少なくとも1問、出来れば両方取りたいな、という感じでいました。

〇本番
冒頭はクラシックから。クラシック1は調整用に残しても良いのですが、基本的に高効率のため、最初に取ってしまうことにしました。3は仮定ですんなり解けて、4は2分ぐらい触ったものの、仮定する場所が見えなかったので一旦パス。ここまでで印刷時間込みで15分ぐらいだったと思います。
そのあとは取るものを順にということで4、5、8、9、11~16を順に。意外と低得点が難しく11(等和)や15(連番)に苦戦する一方、特に12(9探し)、13(約数倍数)あたりはすんなり解け、どっちも6~7分だったと思います。ハタンは無かったのですが、最後の16で終盤の埋めミスをして全消し。終盤の埋めミスと分かっていたので、それほどかからずに修正できましたが、このあとを考えると、ここら辺で集中力が切れてしまっていた気がします。

ここまでで約85分、本番中は得点は数えていませんでしたが、478点を取れていたので、ここまではかなり順調と言って良かったと思います(約650点ペース)。特に、やや高配点の12~14が早かったのが大きかったです。
残り時間がまだあったので、17(幾何学)と3(スペリング)を取って回答送信+見直し(ここまで102分)。ところが、3の終盤で埋めミスをしていて誤答。49点とかなり痛い誤答で、これに最後まで気づかなかったのが悔やまれます。そのあとはクラシック4を触ってみるも動かなかったので、残りの15分ぐらいで4(ウィンドウズ)に手を付けたのですが、ハタンをし、最後まで取れませんでした。

〇結果
510点で6位でした。

上記の通り、終盤は誤答とハタンでほとんど点が伸びず、幾何学+解答入力であれば95分ぐらいで終わっていたため、最後の25分で1点も取れなかったことになります。これはひどい。
代表争いで重要になりそうなエクト氏、葉桜氏の両氏よりも低いことが分かっていたため、おそらく代表には足りないだろうと思っていたのですが、運よく滑り込むことが出来ました。奥間さんと杉本さんの不参加に救われたと言っても過言ではありません。スペリング、ウィンドウズ、クラシック4をすべて取っていたとしても有松さんの点には届いていなかったため、結果的には代表には影響がなかったのですが、終盤のミスは要反省かなと思います。高得点を取らない方針を取った結果、終盤で苦手ジャンルをやらないといけなかったのはありますが、それにしても崩れすぎ感。

何はともあれ、ここで日本代表の権利を取れたので、情勢が変わらない限りはポーランドに行けることになりました。


WPC選抜大会


〇事前準備
ナンプレよりは触れているものの、日頃、競技パズルのための練習はほとんどしていなく、PGPの成績も落ち気味でした。
また、3年前に比べると、層が薄くなった感のあるWSC選抜大会に比べ、WPC選抜大会は特に若手の成長が著しく、今まで以上の激戦が予想されました。panista氏こそ抜けたものの、特に6位~7位のBボーダーが上昇することが予想され、失敗しないための準備が必要かなと感じていました。

インストラクションが公開されるのは1週間前であり、また、WSCに比べると内容の範囲が広いため、きちんと対策を取るとすると、かなり広い範囲の練習が必要になります。
上記の引っ越しの件もあり、そこまで時間が取れないことは見えていたため、とりあえず過去問(現在の形式に落ち着いた2018以降)で感覚を取り戻しつつ、どうしても苦手なところだけ対策をするイメージでいました。結局、過去問以外はほとんど対策は出来なかったのですが、インスト公開直前に解いた2度目では、2020年で1300点ぐらい、2021年で1130点ぐらいは取れていたので、一部問題の内容や全体の傾向が把握できていることを差し引いても、感覚は戻ってきているかなという感じがしていました。

〇インスト
基本的な傾向は2019以降と同様ですが、今年の特徴として、①変種が出ない②ニコリ系が多い③高配点が苦手寄り、の3点を感じていました。
①は個別対策が取りにくくなるため、若干ベテランに有利、②は個人的にはやや有利ですが、一方で③が懸念点となります。特にループメーカーは周囲に得意な人が多いため、不安要素となりました。全体の難易度は層の厚さを考えると去年と同じぐらいと予想をしていて、特に高難度が難しくなるのではという予想をしていました(結果としては、高難度は2021年ほどは難しくなく、2019~2020と同じぐらいの難易度感だったと思います)。

僕自身のプレースタイルは2019年ごろとあまり変わらず「ジャンルを問わず、2番より1番が早い」「ジャンルごとの得意不得意の差はあまりない」「やや慎重に解く分、誤答が少ない」プレースタイルです。比較的守備寄りで、跳ねにくいが崩れにくいタイプなのですが、特に、一定順位に入れば良い代表選抜では、メンタル的には強くなりやすいです。WSCで代表を確保していたり、WPC選抜で代表を逃したことがない点も、メンタル的には有利になっていただろうと思います。また、2019年の経験も踏まえ、基本的には6位(誰か新人は入りそうだったので、おそらく7位でもOK)狙いとし、3位は入ればラッキーぐらいのスタンスでいました。

インストですが、各問題の1番とクロスマッスは全て取る想定、セルフスケルトン・サムクロス2・バトルシップ2の3問が恐らく捨てで、残りをどこまで取れるかという想定でいました。コーラル2・ループメーカー2・点対称分割2の3問も、手を付けても取れない可能性が十分にあり、ここら辺が連続して取れなくなってくると苦しいなという印象です。過去問で高効率だった覆面サムが取れるといくらか楽になりそうです。
事前対策としては、ニコリ系は作者的に対策がしにくかったこともあり、パズラバなどで対策をしていました。ウォールロジックの作者予想は外しましたが、特に、しろまるくろまるの手筋(偶数×偶数、奇数×奇数)を復習しておいたことが役に立ちました。

〇本番
ラップタイムは以下の通りです。
(解答入力をまとめてしているため、ラップに入力時間は含まれていません。実際のラップは平均して各問+10秒ぐらいで、若干効率は高めに出ていることになります。)

最初の覆面サムをいきなり飛ばし、そのあともスネーク2、パールネックレス2、間仕切り1と3問飛ばした問題がありました。一方で、高得点のウォールロジック2、コーラル2、ループメーカー2、点対称分割2をしっかり取れたのは大きく、サムクロス1が終わったときの体感は悪くない感じがしていました(実際、この時点で114分、844点)。
パールネックレス2は捨てましたが、間仕切り1と覆面サムはきちんと回収し、残していた低配点ラテンもある程度回収できました。ただ、得意ジャンルだからと言ってこだわって時間を溶かしたスネーク2と、ビルディング1の全消しが響き、ABCプレース1とビルディング2を取る時間が無くなってしまったのが懸念点です。特に、ABCプレース1は、最後の見直しをしなければ取れたので、この判断がどう出るかと思っていました。

〇結果
1062点で3位でした。
ABCプレース1とビルディング2(またはスネーク2)が取り切れなかったので4位かなと予想していましたが、3年前と同様に、ギリギリで3位に滑り込む形となりました。スネーク2とパールネックレス2で溶かしているものの大きなミスはなく、耐えきった内容だったのだと思います。ABCプレース1ともう1問取れていたら2位だったのも、見えやすいラインです。それにしても、ここから+200点は遠い…


本記事は結果にかかわらず書こうと思っていたのですが、結果的にはどちらも80点ぐらいの内容ながら、代表権としてはうまくいった内容となりました。競技パズルを頑張れというメッセージと受け止めて、本番までにうまく調整できればと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?