日本パズル選手権(JPC)2019

先日11月2日に、日本パズル選手権(JPC)という、パズルの大会が開催されました。
詳細は近いうちに、日本パズル連盟のページにレポートが載るかと思いますが(*1)、簡単に大会を紹介すると、午後の丸半日、皆でひたすらパズルを解き続けよう!というイベントです。パズルを解いて得点を競う、いわゆる「競技パズル」の大会ですが、パズルの範囲は広く、ワード系、数理系のほかに、ひらめき系、謎解き系、さらにはメカニカルパズルまで出題されます。世界大会に出場している、日本代表の方も多く参加していますが、代表選抜や世界大会に比べると競技色はそこまで強くなく、色んな層のパズル愛好家が集う一大イベント、と言ったところでしょうか。

僕自身は去年に続き、スタッフをやらせていただきました。担当したのは大まかには以下の通りです。

①作問
②最終テスター
③会場係 
④懇親会幹事

懇親会幹事以外は去年とあまり変わらないのですが、今年はJPF自体のスタッフになったので、印刷準備、当日の段取りなど、全体会議にだいぶ関わりました。一方で、パズルの選定には全く関わっていないので、パズルのコンセプトや、問題の選択などについては分かりません。以下の記事は、基本的にはこれらスタッフ目線での記事になります。

①作問
「その場で初めて見てもルールが分かること」「問題が難しすぎないこと」を守れば、出題はかなり自由です。選抜のため、特に近年はどうしてもきちんとしたパズルを作る必要がある代表選抜に比べ、ある程度好き勝手やっても大体許容されるのがJPCの良いところです(他の作家陣と違い、僕の場合は選手として選抜に参加するため、代表選抜の問題をそもそも作れないのですが…)。

(1)ハニーアイランド
オンラインでかなり盛り上がっているパズルで、ハニーアイランドが出題されて欲しいと思っていたので、自分で作ることにしました。難易度は易しめと指定されていたのでとにかく易しく。配点15点でしたが、会場では5秒、10秒で解いたハニーアイランダーもちらほらいたらしいです。ルールがわかりやすく、JPC向けのパズルだとは思うのですが、正直、なぜあそこまで盛り上がっているのか、良く分かりません(笑)

(2)セレクトワーズ
ニコリ向けによく作っているパズルで、とても好きなパズルなので、スプリント用に作りました。スプリントの性質上、全単語をまじめに作らなくても解けてしまうのですが…

(3)ブロックメイズ
謎解き要素があるパズルを作りたかったので、とりあえず「謎要素があるパズル」で希望を出した上でジャンルを考えました。僕自身がトケタなどでよく作っているパズルで、ルールもシンプルで分かりやすい割には、JPFの大会では出題がなかった気がしたので、ブロックメイズで作ることにしました。
2でも1でも解けるように問題を調整し、問題文に「2マス」と入れるまでは出来たものの、問題はそのあと。部分点と完答の区別をいかにきちんとするかが難しい上、一度書いた盤面を消させるかが悩ましく、僕よりも、プロデューサーの今井さんが色々苦労されたようでした。結局、部分点を表記し、問題文を工夫し、さらにはなぜかラウンド5だけJPFロゴ入りの特製方眼紙が配られるという、多くの参加者は不思議に思っただろう方法で対応する形になりました。同じ問題を謎の一枚など、謎解きパズルとして出すのであれば、おそらく細かい配慮はせず、そのまま出しても許容されると思うので、競技パズルと表現のあいまいさの加減の難しさを感じた1問でした。それはともかく、あのロゴ入り方眼紙が普通に欲しい

(4)シームレスループメーカー~ワープつき~
ルールがややこしく、本来はJPCよりも代表選抜向きの問題ですが、上記の通り代表選抜の問題を作れないので、JPCで出題させていたたきました。ルール的にはJPCの限界を狙った問題で、見慣れないワープとシームレスの要素を入れつつ、元のパズル自体は参加者の多くが知ってると思われるループメーカーにすることでバランスを取ったつもりです。
ループメーカーとして使う手筋はそこまで難しくないのですが、シームレスになっていることで通常よりもヒントが見えにくくなっていたり、ワープを使った解き筋が増えているため、全体としては難しめの問題です(トレーディングワードと並び、最高配点です。問題自体は、トレーディングカードの方がずっと難しい気がしますが…)。それでも、ループメーカーが好きな人が解きにくると思ってたのですが、配点とルールで敬遠したのか、解いた人数は予想よりも少なかったです。

②最終テスター
最後の段階で、本番と同じ時間を計って解きました。別解のチェックや検証はしていません。
第1・2ラウンドは1~2問ずつ残り、第3ラウンドは18~20問程度、第4ラウンドは5~10分、第5ラウンドは自作抜きで45分ぐらい(Photoマッチ誤答)でした。言葉系パズルも苦手ではなく、日本代表レベルの中では早い方ではと思っているのですが、60度ループ2分台、LITSO2分台、20プレース約2分、スターバトル5分台など、全体的に高得点の数理系パズルが配点に比べて早い印象でした(非対称分割が7分台、ナンプレが5分台と、苦戦したパズルもありました)。そのため、LITSOは変動ありませんでしたが、それ以外の高得点の数理系パズルは概ね、テスター時から5点程度配点が減っています。

③会場係
当日のスタッフは大きく、会場係と採点係に分かれているのですが、会場係だったので主に受付、問題・解答用紙の配布と回収などをやっていました。ラウンド中は採点に回って、採点係の手伝いをしていました。
受付時は参加賞のチロルチョコを渡して説明する係だったのですが、拙い説明にもかかわらず、全体的に反応は良かったです。周囲の人と話すきっかけに、という酒井さんのアイデアだったのですが、皆さん楽しんでいただけましたでしょうか(*2)。

④懇親会幹事
去年のJPC後、スタッフからのフィードバックをする機会があったのですが、そこで懇親会について色々コメントをしたところ、今年の幹事を任されることになりました(苦笑)。去年一番気になっていたのは、スタッフが端の方に固まっていて、参加者との交流があまりなかったことで、折角色んな人が集まっているのに、これでいいのかな…とモヤモヤしていました。

懇親会では30分弱の時間をいただいて、ミニパズル大会をやらせていただきました。立食パーティーだったので目で見て解けるパズルを出題することにし、第3ラウンドなどのボツ問に、新たに作った問題をいくつか加えて、15問のセットとして出題しました。
全体的に反応は良かった気がしますが(希望的観測かもしれません笑)、2時間程度しかなかった懇親会で30分弱を使っているので、時間が足りなかった、もっと話す時間が欲しかったという方もいるのではないかと思います。20時過ぎに終了で2次会もあったので、話したい人は2次会でと思っていたところがあったのですが、実際に2次会は参加者がそれほど多くなかったので(その分、2次会は割と真面目な話をじっくり話す場になっていた気がします)、そうすると懇親会の時間をもっと取った方が良いのかなと思ったりもします。それはともかく、隣の会場が大音量だったり、マイクが切れたりで声を出すのが予想以上に辛かったです。

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最終ラウンドの配点が多く、採点に時間がかかるといった改善点はあったものの、現在の方式のJPCも3年目になり、運営面ではかなり安定してきたように思われます。来年も特段の事情がない限りは開催されると思いますが、出題内容などは変わるとしても、大会のコンセプト自体は大きくは変わらないと思いますし、かつてJPCが行われた時代と同じように、年に1回開催される、国内最大級のオフライン大会として、安定した内容が求められていくのではないかと思っています。

JPC自体について言えば、第1回から第2回の人数がかなり増えたこともあり、今年は100人行くのではと期待していたところもありました。でも実際には去年の第2回よりは増えたものの、100人には行かなかった。他のイベントのスケジュールの問題だったり、広報不足だったり、まだまだ足りないところはあると思います。大会内容は大きく変わらないとした上で、大会の魅力をどう伝えるかなど、課題が残ります。
一方で、去年のJPCからの1年強で、オンラインを中心に、ペンシルパズル界は大きな変動を迎えています。8月にこの点に触れたツイートをしましたが、その後もペンシルパズルwikiができ、来週にはパズル会議が始まり、年末には去年よりもパワーアップしたペンパアドベントカレンダーが始まります。先週も7638をテーマにしたパズル(*3)が100問近く集まっていました。このペースで今後も動いていくとなると、正直、1年後は何が起きているか分かりません。ちょうど今日、JPCプロデューサーの今井さんもこの点に通じるツイートをされていましたが、いつブレイクスルーが起きるか分からない変動の中で、パズルの大会としても、JPC以外の大会やイベントが今まで以上に求められているのではと思います。安定した最大級の大会として、JPCは継続的に開催する、その上で、さらなる方向性を広げていく、そんな1年になればと思います。

(*1)https://jppuzzles.com/ 現在は順位表とアンケートのみ
(*2)大会に参加された、QuizKnockのふくらP氏の動画が話題になっていますが、氏の動画ではチロルチョコについて予想以上に長く好意的な言及がされており、そういう視点で大会を見るのか、と気づきがありました。
(*3)#SUPER7638WEEK タグ参照。他の企画の注は省略します。適当なワードで検索してください。

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