糸との対話
さいきんは新しい糸を買わず、今ある糸を生かすことを考えている。
不思議なもので糸というものは自ら声を発する。
「私をこの形に仕立ててください」 と言い、
「私はこのカタチは嫌いです」とも言う。
イマイチ形がキマらないときは糸の声が届いていない。
またはテストが足りない。
そう言う時は無理に形にはしない。
ピンとくるタイミングになるまで待つ。
すると数年スパンでお声がかかる。
そんなわけでここ数日は糸と対話している。
今日はずっと見積もり計算と、テストピースを編んでいた。
数年前から手がついていないこのカシミヤはとても素敵な糸だ。
ズバッとショールにすればいいのはわかっているけれど、盛岡の冬ではカシミヤ100%は柔らかすぎる気がする。個人的にはもう少しウールが入ってふくらみとコシがあるほうが好み。高級繊維だからといってなんでもいいわけでは無いのだ。
無染色の白い糸というのは難しい。
羊の毛のナチュラルカラーならばそれなりに雰囲気があるが精錬した白い糸は、とくに中年になると白が眩しい。だから大抵別の色に染め替える。
しかし何を作ろうかとなやましい。
以前作ったこのブルーのショールと同じ編み方にして少し大判にするのも考えている。
一昨年グレーのコートを縫ったので鮮やかなペパーミント色に染めるのもいいかもしれない。ぶつぶつ言いながらルート計算をしながらサイズを見積もると、130gで横幅180センチ程度にはなりそう。悪くない。
でも年末編み物部で譲り受けた中細を使ってみたい気もする。
中細糸とカシミヤを引き揃えてガンジー柄のウェアにするかをテストした。なかなかよい。
嶋田俊之先生の「漁夫の歌」というセーターの柄をを少し編んでみたが糸の長さが足りなさそう。
なかなか良い風合いになった。デザインは一から作らないとダメそうだけど、淡いグレーのベストを作るのもいいかもしれない。これだと編み目も綺麗に出そうだし春先も着られそう。Vネックにしたら着物にも着られるかも。
もう少し糸たちと相談して決めたい。
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