エッセイ『二十歳までの断片』


 死のうと思ったのは十八歳の夏だった。どうしても自分の人生というものが立ち行かなくなって、さまざまな義務を放擲した挙句、私は最後の《逃亡》に手を染めようとしていた。これで楽になるのだ。これで自分の肉体はきれいさっぱり焼き払われ、自分の骨は海に撒かれて、後にはなにも残らない。驟雨が去った真夏の路上のように、むせ返るような匂いを少しばかり放射して、それで何もかもが終わり。

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