「素面の春 / ワレカビン feat. 可不【サクラ】」の感想

いつもの調子では語りきれないので、きちんと文章にします。
が、あくまで一個人の感想です。適当に流してください。

言葉選びが本当に凄い。
私はもともと文章の方になじみが深いので、歌詞の比重が高いんですが、これは鳥肌立ちました。

「流れる季節を私は碌に拾いもせず」
ここでまずやられました。心ここにあらずといった空気が、あまりにも情感豊かに表現されていて。

「足が縺れ転ぶ先に孤独」
酔って転ぶ、それを支える人もない。ゾクッとするほどに孤独で、それなのにどこか軽い。
悲しいとも淋しいとも言われないからこそ、この一言が強く刺さります。

「貴方が棄てた私には肉も骨もありますから」
人間であること、感情があること。「肉も骨もある」と表現するの凄まじい……
生々しい説得力を感じるのに、音が綺麗なのですっと入ってくるんです……

「飢えも乾きも手紙如きでどうにかなると思わないで頂戴な」
手紙如きが良いです……
しっとりとまとわりつくような情念。
何を望むわけでもないけれど、その深さが感じられるようです。

「部屋に籠ってダバダバ」
滑稽で楽しそうですらあるのに、だからこそ哀愁が感じられるんです。
そのような擬音で表現する、どこか冷静で客観的な自分がいる。それが余計に淋しい。

「私と素面の春」
そしてこれですよ……
夜の街灯に照らされた自分と春。
酔った自分と素面の春。
みじめさが際立つようで、どこまでも綺麗で。
「のをあある とをあある やわあ」
萩原朔太郎を思い出すようです

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