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2024年3月の新譜記録

こんにちは!タイトルの通り、私が3月に聴いて良いなあと思った新譜について、感想とともにまとめておく記事です。

良かった新譜

アルバムタイトルからsongwhipのページに飛べるので、気になった方はそちらからどうぞ!

Underlight & Aftertime - downt

私は四季の中で春が一番好きなのですが、これは春そのもののようなアルバムだと思いました。燃え上がらずに燻る生暖かい温度感と、春の匂いを纏って滞留する空気のように濁った音像、そして終わっていくものを想う寂しさが、スリーピースの演奏の余白を「春」で満たしていて、3月という時期にはあまりにも合う1枚でした。これは意図的なものなのか、たまたま3月リリースだったからそう感じただけなのか……でも既存曲の1stアルバムでのテイクと聴き比べると、それはもう圧倒的な「春」がある気がするんですよね。

どいつもこいつも - くだらない1日

downt新譜と同日リリースのWACK移籍作。焦燥感とフラストレーションで相変わらずヒリヒリとしている一方、1stよりも地に足がついた感じがするというか、シンプルに演奏や録音の問題なのかもしれないのですが、苛立ちながらも覚めた目で何かを睨みつけている気迫のような、以前とはまた違った意味でリアルな感情を強く感じます。4/6のリリースパーティーに行く予定なので、そちらも楽しみです。

night time is the grace period - Hill View #73

ジャケットのイメージの通り、寂しい田舎の夜道で1人車を走らせているようなときに流したい音楽。真昼間に公園でボーっとしているときでもいいかも。フォークやグランジの素朴な粗さの魅力と、宅録でしか出せないチープさもとい寂寥感とが、寂しくも心地良くもある孤独に寄り添ってれます。Alex GやWeatherdayなどにも通じるものがある。

The Time Machine School - kinoue64

宅録作ではこちらも素晴らしい作品でした。アップテンポながらどこかよそよそしい打ち込みのドラムと、ノイジーなギターと、低い声で囁くようなボーカルとが、どれも絶妙に不整合で、だからこそ作家が一人でギターを掻き鳴らし歌う姿が際立って見えて良い。先日調布でのライブを見ることができたのですが、わざわざステージの端っこに立って一人楽しそうに踊りながら演奏するステージングがまさにそんな感じでした。これまではVOCALOIDを使った楽曲が中心でしたが、本作では自身での歌唱がメインで、個人的にはこちらの方が好きかも。

The Messthetics and James Brandon Lewis - The Messthetics

Fugaziの元リズム隊を中心に結成されたインストバンドが、サックス奏者のJames Brandon Lewisを迎えて制作したアルバム。そもそもそんなバンドがいたことも知らなかったし、音楽的にもジャズのインプロのスリルとハードコアの緊迫感がめちゃくちゃ良い化学反応を起こしていて、かなり驚きました。生演奏観てみたい。

TYLA - Tyla

南アフリカ出身のシンガー。アフリカで独自のダンスミュージックが発展していることは寡聞にして最近知ったのですが、独特の余白というか静謐さがあって非常にクールです。本作ではそれがさらに広範な訴求力を持った上質なポップスへと昇華されていて、その大胆かつ鮮やかな編曲と、あくまでも南アフリカというルーツから世界へアピールしていこうとする気概に痺れました。音楽的特徴についてはRollingStone掲載のaudiot909氏の記事が必読です。

Bleachers - Bleachers

同郷のブルーススプリングスティーンのようなアメリカンスターへの憧憬を思い切り顕現させたM2 "Modern Girl"がカッコよかったです。ちょっと芝居掛かってるところまで含めて愛せる。

離婚伝説 - 離婚伝説

なんつーバンド名だよと思ったら元ネタはマーヴィンゲイのアルバムの邦題らしい。それはそれで何?メロウかつファンキーな、濃厚なAOR歌謡サウンドはそれだけでも聴き応え十分なのですが、強烈なインパクトのあるM1「愛が一層メロウ」をはじめ、全体的にユーモアというかどこまで本気でこの「濃さ」をやってるのかわからないある種の低徊趣味のようなものも感じられて、でもそれこそがAORの「アダルト」部分の魅力を強めているように思います。かっこいいです。

The Collective - Kim Gordon

一曲目の冒頭であちゃ〜……みたいな気持ちになったのですが、不協和なノイズの塊を聴けば聴くほど中身のソニックユースが見えてきて嬉しくなりました。むしろこのくらい低音が効いていて、ソニックユースにあった歌心も抽象的な形を取っている方が「塊」を食らっている感じが強くて良いかも。

ROCKMAKER - The Dandy Warhols

ベースの重たいリフにぶっとい四つ打ちドラムの圧倒的なパワーで有無を言わさず体を揺らす強力な一枚。色んなものの二番煎じ感が否めない部分もありますが(特にM8 "Alcohol and Cocainemarijuananicotine" はモロにQOTSAのアレでは……)、このヘヴィな圧力もサイケデリック具合も個人的な好みにはドンピシャです。

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3月はこんな感じでした。新年度もぼちぼちやっていきましょう。


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