衝動買い【4】幸せの座り鳥マグネット

前略(前置き省略の意)。俺の衝動買いを見ろ。

これだ。これは幸せの座り鳥マグネットだ。


用事で立ち寄った駅の売店を冷やかしていたらなんだか気が抜けまくった鳥のイラストが目に入ったんだ。

一目惚れした。稲妻に打たれたかのようだった。

表情の無い丸い鳥が、足を前に投げ出して、座っているんだ。

俺はいわゆる、可愛いゆるキャラのたぐいに魅力を覚えたことが今まで全然なかった。

だがこいつからはなぜか目が離せなかった。

なんなんだこいつは、さては俺を幸せにする気だな。


俺は商品の横に置いてあったペーパーを夢中でひっつかんだ。そして鳥のイラストを存分に眺めた。チクショウ、幸せになる。

たまらない、脳のコリがほぐれていく。

そして俺はほぐれた脳を使ってイラスト下に添えられた文を読んだ。

なるほど、この鳥は窯元の娘が描いたイラストなのだな。それで商品がお皿や箸置きなど、全部焼き物なのだな。なるほど。なるほど。なるほど。

以下、ペーパーから引用。

ある日娘が言いました
「お母さん 立ってる鳥と座ってる鳥と寝てる鳥と どれを描いてほしい?」
「そぉねぇ 座ってる鳥って見たことないから それを描いてくれる」
・・・・・・・・
そうして生まれた座り鳥
見ているだけで心がほんわかあたたまる
鳥栖生まれの 座り鳥
いつも一緒に

最高だ。

鳥を座らせようなんて、俺はこの歳まで生きてきて一度も考えたことがなかった。

それなのにこの子供は(おそらく)俺の人生の半分以下しか生きてないのに鳥を座らせてのけた。俺はこの座り鳥と、それをデザインした子供に完全に敗北した。

買わなければ。俺はこれを買って、手元に置くんだ。

そして俺は、俺は幸せになるんだ。

俺は商品の中で一番手頃な値段だった座り鳥マグネットを引っ掴むと、ペーパーと一緒にレジに持って行った。


そして今、とりあえず石油ファンヒーターに貼り付けている。可愛い。

チクショウ、可愛い。幸せになる。俺が幸せになるぞ。


最後に、この座り鳥を販売している窯元のウェブサイトを紹介して終わりにしよう。座り鳥のお皿がとてもいい。お皿も欲しい。

魚蓮坊窯

幸せの「座り鳥」皿

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