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姪っ子に会った

 トップ画像は内容と関係ない過去にやった焚き火の写真。焚き火がしてえ。


 妹の娘、言わば姪っ子と初めて対面した。髪が生えており目鼻もありずいぶん人間らしい姿をしているが、まだ赤ん坊で会話もできない。妹に抱かれたまま「あ」だの「え」だの言っている。恐る恐る話しかけても意思疎通が全然できない。姪っ子から見れば俺は未知の生物だろうが俺から見たお前だって未知の生物なんだからな、わかっているのか。

 妹に聞いたところ姪っ子は大人の男が嫌いらしく、近づけるとすぐに泣くらしい。だが俺のことは真顔でじっと見つめていた。感情がわからない。表情がない。おそらくは俺がロン毛なので男だか女だかジャッジに困っているのだろう。

「これは珍しい」ということで俺が姪を抱っこしてみることになったのだが、赤ん坊の持ち方がわからない。どう持てばいいんだ。変に力んで痛たがられては困るがしっかり抱かねば落ちてしまいそうだ。なんだこのパンみたいな生き物は。姪っ子も姪っ子で自分からしがみつくなどの工夫を見せてくれ。されるがままになってるんじゃないぞ。お前は抱かれのプロかもしれないが俺は抱っこビギナーなんだぞ。

 最終的に椅子に座った俺の膝の上に姪っ子が座る形で落ち着いた。見上げづらそうに首を捻って俺の顔を見てくる。相変わらず泣くでもなく笑うでもない。表情がない。一応大人として作り笑顔で挨拶してみるが姪っ子はうんともすんとも言わない。まあ、ゲームでも初めてみるオブジェクトは処理に時間がかかったりするしな。だが俺は俺で姪っ子を見ても「可愛い」という感情より「わからん」「大丈夫か」「うっかり壊しそうで怖いので身動きが取れん」と言った戸惑いで脳が処理落ちしている。これが赤子。これが成長したら俺や妹のような人間になるというのか、信じられん。

 そのようなことを考えながら姪っ子と見つめ合っていた。先に動いたのは姪っ子だった。「あ」などと言いながら体を捻って手を伸ばしてくる。何をするつもりだと思いながら見ていたら今度は「え」などと言いながら俺の胸をペタペタと触り出した。

「まさかな」と思いながらもされるがままに胸を触らせていると、案の定グズり始めた。マジかよ。聡明な姪っ子は俺におっぱいがないことから性別を見破ったということか。なるほど、名探偵だ。よくぞ見破ったな明智くん。

 姪っ子は急遽現れた母(姪っ子からみた祖母)に抱かれてどこかへ行ってしまった。今回は勝ちを譲るが明智くん、その判別法はいつも使えるとは限らないことを覚えておくんだな。また会おう明智くん。

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