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浴室にうずくまった状態で発見


そして、振り出しに戻る。


何も知らず呑気に仕事をしていた私の元に半泣きの母から連絡がきた。
獅子丸が逃走して大家さんの家に居ます、と。

事情を聞いても母は、やっと懐いてくれたのに、手も舐めてくれてたのに…と延々嘆いている。

母はあの後、大家さんと一緒に家宅捜索したが、獅子丸は発見できず、我が家の猫とも言い出せなかった。
そして大家さんが病院に行く時間だと言うので、保護猫団体と繋がりがあるから見つかったら連絡して、とだけ言い残し一旦帰宅した。
もちろん母にそんな繋がりは1ミリもない。

嘆く母に、とりあえずは家の中には居るから安全、大家さんからの連絡を待とうと伝え、私は仕事に戻った。
どうしてウチの家の猫たちは変な事件ばかり起こすんだ。そんなことを考えながら仕事をしていた。


…数時間後、母から獅子丸が見つかった!と連絡があった。
どうやら風呂場に隠れていたらしい。
大家さんがお風呂に入ろうとした時発見し、どうすることもできず、風呂場にいた!と家まで助けを求めにきたそう。
母は洗濯ネットを持参し、風呂場で怯える獅子丸を捕獲。そのまま保護猫団体に引き渡すから安心して!とだけ大家さんに伝えてそそくさと帰ってきたらしい。もちろん母にそんな繋がりは1ミリもない。


獅子丸は我が家に来てすぐの頃、鋭い目で人間なんて絶対信じない、という顔をしていた。意志を感じた。そして1日の半分以上を隠れやすい衣装ラックの下で過ごしていた。
しかし、一緒に過ごす中で信頼関係が生まれ、彼はリビングのど真ん中でヘソ天で眠り、いつのまにか目も満月のようにまん丸になっていた。


そんな獅子丸が逃亡事件以降数日、再び誰も信用しない鋭い目つきになった。
また一から信頼関係を築き上げるために母が大奮闘していたのは別のお話で。



おしまい。



ぴょくにちょっかいをかけすぎて
注意された獅子丸の顔、おもろ
家族でも距離感は大切
保護して2日目
まだ人が怖くゴミを見るような目をしてる頃


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