d. schoolコーチの先輩からの学び⑤/綺麗なワークシートはアイデアを広げない

こんにちは。先輩からの学びシリーズも時間が空いてしまいましたが、第5回です。今後は非連続的に書いていきたいと思っています。(本当はプロトタイピングのこととか、マインドセットの話とか、書きたいことが色々ありすぎる・・・)

過去のものはこちら↓

過去4回は、ホワイトボードの縦横の使い分け、Post-itとサインペンの組み合わせの意味、ブレストのときは言葉じゃなくて絵でかく、など「僕らが何気なく使っている道具を意識して使う」という学びについて一貫して書いてきました。

今回は、ワークショップにおけるアイデアを書くワークシートについて書きます。皆さんは割としっかりした/大きいワークショップ、例えばデザイン会社や広告会社がやるようなワークショップに参加したことがありますか?
普段のチームでの小さなワークショップなどではなかなかないのですが、大きいワークショップだと、アイデアを書く際にワークシートを渡されてそこにアイデアを書くシーンがあるかと思われます。

今日はそのワークシートが実はアイデア発散の妨げになっているんだ、という話です。では具体的に説明していきます。


大きいワークショップでは、ワークシートを使ってアイデア発散をする

ワークシートといっても、古今東西色んなものがありますが、よくアイデア発想ワークショップなどでは、A4用紙横に、アイデア名とアイデアのスケッチと、機能要件とか、ターゲットペルソナを書く欄が書いてあるものが使われます。

(こんな感じのやつ)

大きめのワークショップでは、しばしば専用のアイデアシートを使ってアイデア発散をします。グループごとの机の上には、数十枚の印刷されたワークシートが置いてあって、発散フェーズではそれを使ってアイデア発想をするようファシリテーターから求められます。

「アイデアは質より量です!」「1人2つ以上アイデアを考えてください!」などとチームのファシリテーターに言われ、私たち参加者はそのシートとにらめっこしながら、空欄を埋めながらアイデアを考えます。

これはワークショップでよく見られる、なにげない風景ですが、実はこのときワークシートがチームのアイデア発散を制限してしまっているそうです。


ワークシートは僕たちの思考を整理してくれる、が

アイデア発散を制限してしまっている、なんてことを書きましたが、全てにおいて「ワークシートはいけない!やめるべき!」という意味ではありません。実際ワークシートは様々なシーン、様々な人に価値をもたらしています。

たとえば、ビジネスモデルキャンバスなんかはとてもいい例です。起業家や事業アイデアを思いついた人のもやもやとした頭の中身を、ビジネスモデルキャンバスを埋めていくことで整理し、人に伝わるビジネスモデルに仕上げてくれる、素晴らしいシートです。

そして、大きなワークショップでは全員が全員、アイデア発想になれているわけではありません。その意味ではワークシートがあったほうが、アイデアを順序に従えば考えることができるし、人に説明もしやすい。だか、ワークシートは発散フェーズにおいて役立つものだと思われているのかもしれません。

しかし、先輩曰く、特に一番最初のアイデア出し(最初の発散フェーズ)においてはワークシートは使うべきではないそうです。なんででしょう?


ワークシートは参加者に“綺麗に書く”ことを促す

なぜワークシートが最初の発散フェーズと相性が悪いのか、それはワークシートに書こうとするとき、僕たちはどうしても「綺麗に書こう」としてしまうからなのです。

なぜ綺麗に書こうとするのがいけないのでしょうか?

アイデアを出す時の最大の障害は「恥ずかしさ」だと言われています。皆さんは「ブレインストーミングは意味が無い」と書かれている記事を読んだことがないでしょうか?

私が以前そういう記事を読んだとき、記事では「ブレインストーミングだと“こんなしょうもないアイデアを言ったらみんなに馬鹿にされるかも知れない”という心理が働く」と書かれていました。
確かに、最初の頃ブレストが苦手だったのですが、それはみんなの前で披露するほど自分のアイデアに自信がなかったからでした。

デザイン会社やIT企業、広告会社が開くようなワークショップでは、ワークで使用するワークシートの1つ1つが美しくデザインされています。そんなワークシートを見ると、僕らはどうしても綺麗に書こうだとか、いいアイデアを書こうだとか、考えしまいます。逆に言うと、なんてことない、どうでもいいアイデアは書きづらい。

つまりワークシートは、ブレストを邪魔する「恥ずかしさ」に近い「見栄」だとか、いいアイデアを書かなきゃという「プレッシャー」を感じてしまう(かもしれない)のです。

ワークショップ運営側はそもそもワークショップになれているので、綺麗なワークショップでもガンガン汚し、どうしようもないアイデアをワークシートに書く勇気を持ち合わせていますが、慣れていない人はそうじゃない。

参加者には「質より量」と言っていたはずなのに、気付いたら「量より質」に参加者を誘導してしまっているのです。主催側も意図しないうちに。

じゃあワークシートをやめればいいの?と思いますが、そうではない。先輩曰く、フェーズによって使い分ければいいそうです。

ワークシートはアイデアがある程度固まった後の整理用、最初はA4白紙にアイデアを落書きする

ワークショップのブレストのとき、最初はワークシートじゃなく、まず普段印刷に使うような白紙のA4用紙にアイデアを書くのがいいそうです。適当な紙に書かせることで、参加者に「あ、これはまだラフなんだ、いいアイデアを考えなくていいんだ」と思わせる事が出来ます。

そうやって、まずは気楽にアイデアを発散してもらう。そして、発散をした後でアイデアを整理するときに、発表用にまとめるときにワークシートを活用する。

このように、発散するときはただの白紙を、整理するときはワークシートを、と使い分けることで普段のワークショップをより効果的なものに出来るそうです。


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ということで、今日の内容はこれで終わり。引き続き宜しくお願いします〜。



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