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【エイプリルフール】嘘ジョークを言うときの注意点

エイプリルフールとは、4月1日は嘘のジョークが許されるという、起源が不明な謎習慣ですが、あくまでも習慣に過ぎないので、法的なお墨付きがあるわけではありません。

「冗談のつもりだった」では済まされない場合あります。要注意です。

以下、要注意な類型を挙げておきます。

●エイプリルフールだからと言って虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出てはダメです(軽犯罪法1項16号)。

オオカミ少年のいたずらも、公務員を巻き込んでいたらこれになります。
たまに、恋人や夫婦で、相手からかまって欲しくて強盗被害に遭ったかのような演出をしたりして、おまわりさんを巻き込んでしまうニュースがありますが、そんなとき問題になったりします。
エイプリルフールでマンネリカップルが手の込んだいたずらをするのは二人だけでやる分には勝手ですが、公務員(警察とか消防とか救急とか)を巻き込まないようにしてください。


●ジョークのために、何らかの偽造文書を使用したり、自分の印を勝手に使ったり、偽造した印を使ったりすると次のような犯罪が問題となります。
あまり手が込んだことはしない方がいいです。

偽造公文書行使(刑法158条)
偽造私文書等行使(刑法161条)
不正作出された電磁的記録の供用(刑法161条の2第3項)
偽造有価証券行使等(刑法163条)
不正作出された支払用カード電磁的記録の供用(刑法163条の2第2項)
御璽不正使用等(刑法164条2項)※天皇陛下の印
公印不正使用等(刑法165条2項)
公記号不正使用等(刑法166条2項)
私印不正使用等(刑法167条2項)
なお、偽造文書を使う前には偽造文書を作るのが普通だと思いますが、作成は作成で作成罪があります(公文書偽造罪、私文書偽造罪等)。


●法廷や国会の証人喚問では、残念ながらジョークは全く通じません。

偽証(刑法169条、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律6条1項)
虚偽鑑定、虚偽通訳等(刑法171条)
※これらは、法律により宣誓した者が嘘をつく(記憶や真意と異なることを言う)場合です。結果として間違っていた場合はセーフ。


●告訴や告発等はジョークでは済まなくなります。

虚偽告訴等(刑法172条)


●エイプリルフールだからと言って他人の名誉を毀損したり、人の信用をおとしめたり、おかしな噂を流してよいわけではありません。
特に、「あの会社は潰れる」「あの店で食事をしたらおなかが痛くなった。きっと食中毒だろう」等のデマはくれぐれも気をつけてください。

名誉毀損(刑法230条)
信用毀損(刑法233条)
風説の流布(金融商品取引法158条)
※罰則とは別に、民事でも損害を受けた側から莫大な損害賠償請求をされるかも・・。


●エイプリルフールでも、嘘の肩書きや身分を詐称してよいわけではありません。

官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いると、軽犯罪法1項15号違反です。
非弁護士が弁護士や法律事務所を名乗ると弁護士法74条違反です。


●冗談で契約を結んでも、場合によっては冗談だったとはいえない場合があります。

心裡留保(民法93条本文)


●「**をした人には100万円プレゼント」などのジョークを公開した場合、一見してジョークとわかる場合は別ですが、通じない可能性があります。

懸賞広告(民法529条)


●ジョークを信じて何か損害を受けた人がいたら、損害賠償を求められることもあります。

不法行為(民法709条)

・・と、まあ、法的には、細かく考えればかなり色々出てきますが、主に問題となるのはこんなところでしょう。

法的な問題点以外では、次のような、本当かどうかパッと分からないネタはリアクションに困るので個人的には苦手です(笑)。

(例)
「結婚しました」「離婚しました」「転職しました」「異動になりました」「○○大学大学院に入学しました」


・・まあ、いずれにせよ、エイプリルフールでは、

① ジョークは楽しめるものを
② 誰かの名誉や信用、気分を害しないように

の2点を意識したいですね。

誰かの期待を高めるジョークは、ネタばらしでがっかりさせるので①に反する気がします。誰かが死んだとか怪我したとか、不吉なジョークも、言っている人はいいですが、対象となった人は気分を害するかもしれません。②に反する気がします。

なお、本記事にはエイプリルフール的な嘘は含まれておりません(笑)。

おわり

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#エイプリルフール #法律雑学

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