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リハビリの教員が対応している学生さんの問題 5選 その3

リハビリの教員が対応に疲弊してしまう学生さんの問題 5選 その3ということで、その1・2からの続きになります。まだご覧になっていない方はそちらもいかがでしょうか?

リハビリの教員が対応している学生さんの問題

リハビリの教員が対応する学生さんの問題は主に①成績の問題②生活・家庭の問題③経済的問題④学校の人間関係の問題⑤精神的な問題です。これらは単体で起こるのではなく、同時多発的に起こることが多く、複雑になるほど問題解決に時間がかかり、しかも良い結果にならないことが多いです。

4.学校の人間関係の問題

これも複雑な問題なのですが、大きく分けると①学生さん同士の人間関係、②教員との人間関係、③実習指導者との人間関係になるかと思います。

4-①学生さん同士の人間関係

まず、学生さん同士の人間関係の問題ですが、リハビリの学校をはじめとする医療系の学校は、ひと学年の人数(定員)が少ないです。少ないところでだいたい20~40人、多いところでも100~120人です。一般の大学より人数が少なく、学部学科の数も少ないため人のバリエーションも少なく、「村」状態に陥りやすい傾向にあります。特に入学初年度の学年の雰囲気はかなり高校に近いものがあります。

人間関係のトラブルが起きたとしても、顔を合わせないわけにもいかず、運が悪ければ実習でペアを組まされることもあります。学生さんも悩ましいところだと思います。

大講堂では席順は決まっていないので、いつも一緒にいる学生さんが、バラバラに講堂の端と端に座っていたりすると、「おっ、何かあったな。」とすぐ分かります。逆に小教室ではマッチングも含め結構気を遣います。

多いのは女子同士か、男女でして、男子同士はあまりありません。大人の学校ですから、陰湿な事案はほとんど認知していませんし、教員が介入することも滅多にありません。ただ最近はSNSが発達していますので、私たちの感覚では図り知れない「何か」があるのかもしれません。楽観してはいけませんね。

スクールカウンセラーの必要性


最近になって、スクールカウンセラーが入っている学校もかなり増えてきましたね。ずいぶん前からニーズはあったと思いますが、学生さん、教員ともに自分の学校にカウンセラーがいることをご存じなかったりします。

教員も、学問や臨床経験に長けていても専門家ではありません。心理学は一応習ってはいますがエキスパートではありません。やはり餅は餅屋。公認心理師さんなどは、カウンセリングだけでなく、「ツナグ」エキスパートでもあります。他職種連携で問題解決に当たっていくのは病院も、学校も同じかもしれません。

先生の中ではそういった現場の問題に対応できるようにと、心理系の大学院に行かれる方もいらっしゃいます。敬服いたします。

4-②教員との人間関係

以前に比べると教員と学生さんとの関係性も変化しました。私も学生さんが変化する中で勉強したことがたくさんあります。

「教える者はまた教えられる。」教員もまた一生涯、学びの中にあるということを気づかされました。その体験は本当に貴重なものでした。もちろん私のような未熟な者は、まだまだ熟練者から学ばなければなりませんが…。

ラーニングリンケージ

「人は自分教えられたようにしか教えることはできない。」といわれます。人に教える立場の方は、成功体験と努力を積み重ねてその立場にいらっしゃると思います。リハビリの学校を卒業して資格をとることは、ちょっとだけ大変です。自分が成功したのは○○先生の教えがあったからだ、自分が寸暇を惜しんで努力したからだ、という考え方は間違いではありませんが、どうしてもそこで自分と学生さんを同一化してしまいがちです。自分がしてきた努力はこの学生さんにもできるんだ、と思いがちです。

私も気をつけていますが、ここ最近はとても×3くらい気をつけていました。私の学生時代も理不尽な教え方をされたことは多々ありました。怖いのは、「自分が教える立場になったらこういう教え方はやめよう。」と思っていても自分もやってしまうくらい、いわゆる「教えの輪廻」は強いです。業界の慣習や伝統に逆らえない。前例がなく、他の誰もやっていないことはできない。

私はこの「業」ともいえる、自分が育ってきた時代やコニュニティーの思想・文化・哲学など、体に染みついた教えから逃れられない状態を勝手にラーニングリンケージ状態と呼んでいます(笑)。ですから、今の学生さんにこの教え方、接し方で良いのかどうか、良いものは良い、古いものは古い、と温故知新的スタンスでいかないと上手くはいかないことを痛感しました。

リハビリの学校は医学を教える学校ですから、例外なく、入学当初は「ヒポクラテス宣誓」を皮切りに医療のマインドについてみっちり学びます。人の命と健康を預かる職業ですからそれは当然。でも、先人の教えが時代に合っているものかどうかは教える側が気をつけてみていかないと、と思っています。

よく聴く学生さんと教員の問題

話はずれてしまいましたが、学生さんの問題として、教員との問題を挙げましたが、もちろん自分だけは違うとは言いません。自分が認知していないだけ、されていないだけということも十分あります…。

ただ学生さんが教員との問題を訴えてくるケースでよく聴くのは、「講義が分かりづらい、速い、聴き取りづらい、難しい」とかそういう感じではなく、「ちゃんと教えてくれない時」だそうです。質問しづらい、質問すると質問返しをくらう、袖にされる、オフィスアワーがわからない、メールの返信がないなどなど、学びたい気持ちに水を差されると教員に不信感を抱くそうです。

そして、古い教えに固執して今の学生さんの性質を尊重しない教員の方は何かのきっかけでポロっと「本音」を言ってしまいます。見ているこちらもいつ「舌禍」が起こすかと、本当にハラハラする危なっかしい方がいます。言っちゃいけないことをついつい言っちゃった方のニュースってよくありますよね。そういう感じです。

さらに、そういう事案はたいてい講堂より、個室、研究室、だれもいない教室で起きます。言った言わない。こうした行き違いが生まれるのも、日ごろからの信頼関係によるものなのかもしれません。最近の学生さんはコミュニケーションが問題とよく言われますが、私的には学生さんの方がうまくやっているなぁという感じがするときもあります。そういう意味では教員が教員に疲弊する、かもしれませんね。

その一言で

最後に私がJR西日暮里駅のエスカレーターでいつも目にして、反省する言葉がありますので、ご紹介します。特にへこんだ時ほど身に沁みます(涙)。

学校法人 道灌山学園創設者の髙橋系吾先生のおことばだそうです。

その一言で 励まされ
その一言で 夢を持ち
その一言で 腹が立ち
その一言で がっかりし
その一言で 泣かされる
ほんのわずかな 一言が
不思議に 大きな力持つ
ほんの一寸の 一言で

 ◇

取り留めもない長文になってしましましたが、最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

次回は学校の人間関係の問題で一番トラブルが多い、実習について書いていけたらと思っております。筆が遅いですが、また機会がありましたら宜しくお願いいたします。

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