見出し画像

直営業に 「今頃かわいそう」

「こんな何年前の写真が出てくるようだと、吉本に芸人はいなくなりますね」

Aはそう言って、苦笑いした。


織田氏は、“闇営業”で出席していた問題について、話を聞いてみた。

「フライデーに出ていた幹部というのは、この人ですよ」

 Aはスマホで、ささっと調べ、組の幹部の名前を教えてくれた。スリムクラブの2人が出席していたという、誕生パーティの主人公だ。


「会合とは知らなかった」と本人たちは言っているが?

「それはない。初めから会ってわかって行ってますよ」

何かあれば、すぐに捕まってしまう。その辺の法律に関することはよく知っているため、席に着く前には知らせているはずと他からも聞いていた。

 では、芸人やタレントをどうやって呼ぶのか?

「個人的に知り合いがいれば、そのツテで紹介してもらったりしますよ。自分の場合は、昔からの付き合いが現在も続いているので、個人的に食事をしたり飲みいったりという感じですね。さすがに誕生会などには呼びませんがね」

「芸人やタレントの場合、人気に関わらず金銭が発生するので、この程度の依頼でも彼らにとっては闇営業になる。直の仕事として、やったことがある者は多いと思いますよ」

「今の時代になって“反社”と呼ばれるようになってますが、十数年前までは、芸人たちや芸能人らは新年会、忘年会、誕生会、ゴルフコンペ…何でも参加していたわけですから。今頃になってこんな形で出てくると、彼らもちょっとかわいそうですね」


いわゆるYと芸能界のつながりは長い。

「歌手は興行で呼ばれれば行くし、チケットは地元のYが売ってくれるしで切っても切れない間だった」

誕生パーティは毎年、老舗ホテルの大広間で大がかりに行われ、演歌歌手や芸人、落語家、タレントに俳優、相撲取りやプロボクサーらも出席し、その場を華やかに盛り上げていた。

 以前は芸人やタレントが、個人で営業するような闇営業ではなく、これも事務所やプロダクションの営業による仕事だったのだ。


「スポーツ界も芸能界と同じで、興行があれば当然つながっていたわけで。以前は興行自体が、その地域の各組織の利権でしたから。相撲のタニマチなんかにも長がけっこういましたよ。巡業の時は、部屋を提供したりしてね。昔はお茶屋の利権まで売り買いしていましたから。今は相撲部屋に迷惑をかけるといけないから、そういう人ほど表には出てきませんがね」


 親方や長が代替わりすれば、おのずと関係が変わっていくとは思うが、話を聞いている限り、関係が完全に断ち切れているという印象は薄い。

「ボクシングジムの経営にYが関わっていたところもある。それにボクシングは興行があるからね。あれこれ仕切らないといけないし、チケットも売らないといけない。

海外からアーティストを呼んでくる時だって、昔はネット販売なんてないですからね。会場の外にいるダフ屋もそうですが、チケットを売るためにYが必要だったんです。野球は野球賭博があったしね。そこでつながる野球選手や相撲取りもいましたよ」


 世間的にいえば、Yの方から芸能人やスポーツ選手に近づいていくというイメージしかないが、実際は俳優やタレントからYに近づくというパターンも存在するという。

「Y映画の俳優なんかは、実話が映画化されるとなれば、その近親者や関係者に取材することもあるわけですから、知り合いになるわけですよ。格闘家なんかが引退すると、俳優として映画に出演したりすることもありますしね。」


 その後の付き合い方は、おのおのだという。


(一部、フィクションです)

この記事が参加している募集

育児日記

スキ&コメント大歓迎です。 読んでくださり感謝しております。