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炎節(えんせつ)

コンクリートジャングルを歩いた後に食べるかき氷は美味しい。

でも涼しい日に食べると、価値の半減どころではなく必要のないものに感じてしまう。

高級なものを美味しいと感じるには、毎日食べていたらわからないように、夏の暑さがあるから感じられる氷の美味しさというのがあるのだと思う。

ただ、季節を感じることは難しくなっている。

暑い日に食べるそうめんや、かき氷は美味しいけれど、クーラーなしでは過ごせない。冷え切った体では、涼しい美味しさを堪能することはできない。

だから旅に出て、感覚を取り戻すのだ。

暑い道を歩いて、それから入る甘味処。しっかり涼を取らないと次の目的地に向かう気力すらなくなってしまう。

クーラーで冷え切った体は温泉で癒す。誰かが敷いてくれた布団に入ってゆっくり眠る。

そして朝、宿で出されたごはんをしっかり食べて動き出す。

感覚を呼び覚ますためには、暑い夏も必要なのかもしれない。

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