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森の暮らしに出会うとき【映画】リトル・フォレスト

空気が美味しくて、水も綺麗。

川で釣れる新鮮な魚と、畑で取れるみずみずしい野菜で昼食にしましょう。

夜寝る時は、満点の星が見えるよ。

どう?田舎の生活っていいでしょ。

映画『リトル・フォレスト』の登場人物は誰一人、そんな事は言わない。

それは、若い人もその土地に根付いているからだと思う。

自分の住んでいる土地の不便さも、自然の厳しさも受け入れた上で暮らしている。

だからこそ、自然のめぐみに心から感謝して、農作業に従事することができるのだと思う。

コンビニもスーパーもない「小森」という土地で暮らす女の子の物語。

この物語は夏から始まり、秋、冬、春と、季節ごとにその土地で取れたものを調理していく。

主人公の落ち着いた語りで説明される料理は、食欲だけでなく作る欲求も駆り立ててくれる。

「夏」

小さいのも大きいのも収穫して、湯むきをし、塩漬けにした自家製ホールトマト。

冷蔵庫に入れておいて、小腹が空いたら、小さいのを救ってそのまま口にほうり込む。

夏の冷たいデザート。


「秋」

合鴨をさばくのは、かなり手間のかかる作業。

茹でたり、ピンセットで羽毛の芯を取り除いたり、火で炙って細かい毛をとったりする。

そうしてやっと家に持ち帰れる。

フライパンで焼いて、脂ののった合鴨のローストを頂く。


「冬」

小豆を炊く。たくさん炊く。

小麦粉で生地を作り、お焼きや、まんじゅうに。

ほくほくと自家製のおやつを家の中で食べる。

冬の醍醐味。


「春」

小川の周辺に増えはじめたクレソンを摘んでくる。

じゃがいもとサラダに。

お皿に綺麗な緑が入ると、春の訪れが感じられる。

窓を開けっぱなしにして、風を感じながら食べる。


自然の近くで暮らすことは、トレードオフなんだろうなと思っていた。

都会の便利さと引き換えに、森の恩恵を受けることができる。

そう決めつけてきた。

ただ、「小森」に暮らしている人たちはそんなこと考えもしない。

毎日の農作業や食事の支度、自然が作り出す寒さや暑さも、毎日の営みに落とし込んで過ごしている。

トレードオフなんて、ちょっと高慢な考えだったな。


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